わんわん。
(т-т)と🍷
(т-т)くん🟦の初期設定に合わせ16歳くらいで想像していただければ。🍷さんが(т-т)くん転入当時23歳だというので驚き。
子犬。
ぐしょぐしょになって店前に座っていた子犬。
抱き上げて暖炉の前に連れて行けば泣き出してしまった小さな子。
この哀れな泣き顔を、愛おしく思うのは罪だろうか。
大粒の雨が窓を叩いて、日没前というのに外は暗い。
やっと暖炉の火が大きくなって、店内がじわじわと暖まっていく。
「ラディくん、タオル。着替えも用意したるから、とりあえず頭拭き?」
お山座りで膝を抱き込んで、何かから隠れるように丸まっている。仕方がないからフードを脱がしたら、綺麗な茶色の髪が姿を現した。
兄を嫌うこの子の逃げ場になれていることは嬉しい。らだおくんが嫌われるような人間では無い事はもちろん承知の上だけど、ラディくんがここまで避けるのにも、きっと何か理由があるのだろう。
「……ヘラシギさん。」
「ん、どおした。欲しいもんあったら何でも言い。」
「ココア、飲みたいです。」
「ふふ、ええよ。とびきり美味しいの淹れたるから、この服着替えるんよ?」
暖炉でいくらか体が温まったのか、はたまた発熱してしまったのか、受け答えはゆっくりでどことなく幼い。
丸い頭を一撫でして、お湯を沸かしにカウンターへ向かった。
電気ポットのぐつぐつ言う音と、薪の爆ぜる音。ラディくんが鼻をすする音、衣擦れの音。静かな店内にそれらだけが木霊している。
「ラディくん。寝ないの。」
「……んん、」
「お着替えしなきゃココアお預けやで?」
「んー……。」
半分寝ているような曖昧な返事を返されて、思わず笑ってしまう。
スティックのココアをマグに入れて、一旦置いておく。暖炉の側へ立って視線を合わせ、水滴の付いた仮面を外した。
「はーい、バンザーイ。」
「……ん。」
「これ僕のやけど、多分着れると思うから。」
「……おっきい。」
「んふ、似合うとるよ。」
体躯のあるラディくんに合わせてオーバーサイズを持ってきたのだが、少し大きすぎたようだ。長い袖を持て余してしまっている。
立てる?と問えば首を横に振るから、脇の下に手を差し込んで抱える。そのまま下履きを脱がせてスウェットパンツを履かせた。こっちはピッタリ。
「いい具合にお湯も冷めたんとちゃうかな。マシュマロ浮かべたろうね。」
「…のむ。」
くっついて歩くのはさながら雛のようで、あるはずの無い父性がちらちら顔を出す。
「美味しい?」
「ん……おいしいです。」
「そらよかった。おかわり欲しかったら言ってな。」
ひとくち飲んで、ほぅ、と息を吐く。指先がまだ冷たいのか、マグを両手で握ったままでいる。それがなんだかとても、か弱そうに見えてしまうのだが。
「俺ヘラシギさん好きです。」「へ、」「お兄ちゃんみたいで。」
ああそっち。
しかしその「お兄ちゃん」は、その役は。
「僕はお兄ちゃんやあらへんよ。ラディくんのお兄ちゃんにはなってあげられへんわ。」
「……わかってます。例えです。」
余計なお世話かもしれないけど、僕はらだおくんのことも気に入ってるんでね。
兄弟の話題を出したのはそっちのくせに、今は口を尖らせるラディくん。曰く「俺は兄貴をお兄ちゃん呼びしない」らしい。うーん扱いが難しい。
「あ、でも!お節介なお隣さんくらいには、なってあげられるからね。」
「おとなりさん…。っふふ、じゃあ、それで。」
ああやっと笑った。仮面を外せば案外分かりやすくころころ変わる表情。それこそ子犬のような、まるくて柔らかな笑顔。
……お隣さんが頭を撫でるのは、アリだろうか。
入れられなかった設定
(т-т)
雨が降ると自分と同じく雨が苦手な兄を思い出してしまう。今日は特別酷くてついフィズに来てしまった。自分を兄と比べない🍷さんへの好感度がとっても高い。ヒモ適正〇なので大人の人をすぐ引っ掛ける魔性の男。
🍷
(т-т)のことはかわいい弟分のように思っているが、🟦のことも好ましく思っているので(🟦くん差し置いて)(т-т)の兄にはなれないよなぁ、の気持ち。いつでも来てくれて構わないが雨の中店前に座ってるのは肝を冷やした。先に連絡ちょうだい。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!