ー烏野バレー部ー
武田「と、取れました!青葉城西高校との練習試合!」
この声で烏野バレー部は土下座したんじゃないかという不安と、強豪との練習試合が出来る嬉しさの2つの感情が混ざった。
武田「でも、条件があって、影山君を正セッターにいれることなんですけど、影山君ってここに居ないですよね、?」
皆は頷く。
菅原「日向が誘ってはみたらしいんだけど断られたらしい、、」
武田「その代わり、影山君を連れてくるという条件に変えてもらいましょう」
そういうと、すぐに1年生は影山の元へ行った。
影山はクラスメイトと校門付近で立っていた。
日向「かげやまー!!」
影山「げっ」
日向「あのさ、青葉城西との練習試合があるんだけど試合に出なくていい!着いてきてくれるだけでもダメか、、?」
影山「もう関係ねぇだろ」
日向「1度でいい!大事な、練習試合なんだ!」
影山のクラスメイトは日向をジッと睨みつけるが、日向はお構い無しにお願いしにいく
影山はうぬん、、と迷っている様子だった。
日向「先輩、顧問からのお願いなんだ!」
それを聞いて影山は「1回だけな」と言った。
クラスメイトは大丈夫か?と心配してくれた
日向が部活に戻り、その話をしたら次の日皆が感謝しに来たのは言うまでもない
ー青葉城西との練習試合の日ーside影山
俺、こんなに弱かったっけ。
王様とか天才とか我が蓋とか、今まで言われ慣れてきたのにまだ怖いんだ。
またあの目で見てくるのだろうか、あの、冷めた目。いや、もう関係無い。
今回はこっち(烏野)が青葉城西高校に行くらしい。
着いた頃に、影山の顔色が悪いと気づいた菅原先輩や東峰先輩が心配してくれた。
青城生徒「なぁ、今日バレー部が烏野と練習試合なんだって」
青城生徒「え、烏野ってあの『王様』が居るところだよな?」
青城生徒「ああ、どんな独裁やってんだかw一緒に見に行こうぜ」
烏野の人達は皆聞いてたと思う。
俺はもっと不安になった バレー部でもない生徒が俺の事を知っていて、王様なんて言ってる。ならバレー部はそれ以上なんじゃないかって
だんだん俯いていく俺を菅原先輩は優しく頭を撫でてくれた。中学生の頃に、無かった暖かさが頭にあった。
(中学生の頃の俺は本当に馬鹿だったんだなぁ。嫌われてるとも、敵視されてるとも知らずに皆に着いて行ってた。馬鹿だなぁ本当。)
なんで練習試合に着いていくと言ったのだろう。来なければ良かった。
そんなことを考えてると体育館に着いた。
公立はやっぱでけぇなぁ、、と思っていると、既に体育館に居たバレー部、金田一と目が合った。でも、すぐ逸らしてしまった。
すると金田一がこっちへ来た。
金田一「なぁ、バレー辞めたって本当?」
影山「ああ、」
金田一「それって俺たちのせい?」
影山「いや、俺のせいだ」
金田一「何でだよ!!」
その大声で皆がこっちを見た
金田一は俺の胸ぐらを掴んで言った
金田一「お前、中学の時散々王様やってくれたのに、今更になって勝手にバレー辞めて、王様は何しても許されるってか?自分勝手すぎだろ!なんも変わってねぇ!!」
影山「お前も俺の事散々言ってきたくせに今更なんだよ、」
田中先輩や日向が怒っているがそれを菅原先輩は必死に止めていた。
金田一は何も言えなくなったのか口を開けては閉めてを繰りかえした。
俺はもう既に精神ボロボロだ。なんで今になっても過去に囚われ続けないといけないのだろうか。俺が王様だったから?死ぬまで一生味わえってか?
金田一が呆れたように俺を床に投げた。
岩泉が金田一に何か怒っていた。
コーチが俺を心配したが、慣れてるんでと返してそのまま試合が開始された。
1セット目は日向の緊張で烏野はセットを落としたが、2セット目からは日向が復帰して烏野が追い詰め、セットを奪い返した。
3セット目が始まる前。
ガラガラと体育館のドアが開いた。
黄色い歓声と共に、烏野は存在を知らないのか誰だ?とザワザワしていた。
俺はすぐ分かった。中学の時1番憧れていて、今1番会いたくない人。ー及川さんー
及川さんはキョロキョロと誰かを探すように周りを見渡した。
俺と目が会うと、及川さんは睨むようにこっちへ来た。
影山「及川さん、久しぶりです。」
及川「ねぇ、飛雄ちゃん、なんでバレー辞めたの?」
影山「及川さんに関係無いですよね」
及川「関係ある。お前の先輩だし、国見ちゃんとか俺たちのせいでバレーを辞めたって言って俺に泣きそうな声で相談してきたこともあるし、それ以来国見ちゃん、ミスとか多くなったんだよ? それでも関係無いとか言うの?いつまで王様なの?何も変わってない。」
俺はポロポロと涙を流した。
それを見た及川はビックリしたが、烏野の人達はすぐに駆けつけてくれた。
影山「もう、やだよ。疲れた。なんで過去に縛られ続けないといけないんですか、及川さんも俺に何も教えてくれなかったくせに、チームとして見てくれたこと無かったくせに、俺に何をしたいんですか、バレー辞めるだけじゃ足りなかったですか?消えれば良かったですか?」
及川「飛雄、、」
金田一、国見「影山、ごめん、」
ーside国見ー練習試合がある日の1週間前
コーチから聞いた、烏野バレー部には影山は居ない。辞めたらしい その言葉を聞いて俺は息を飲んだ。
急いで及川さんに言った。
国見「お、及川さん、」
及川「何、どうしちゃったのさ」
国見「か、影山がバレー辞めたらしい、です、、」
及川「え?飛雄ちゃんが?」
及川さんはすぐには理解出来なかったらしいが、俺はあの試合が関係してるんじゃないかって泣きながら伝えた。
すると、及川さんは国見ちゃんのせいじゃないって優しく慰めてくれた。
それは金田一も同じらしく、俺達が影山の人生を狂わせたんじゃないかって自分を責めていた。それを見かねた岩泉さんがそんなことないって言ってくれたらしい。
ーside及川ー練習試合の日
俺は軽い捻挫で保健室にいた。
体育館戻ったら飛雄を追い詰めよう。何を考えてるのかこれっぽっちも分からない。
天才は本当に分からない。
中学の時、俺は岩ちゃんに飛雄の愚痴を沢山言った。岩ちゃんが居なかったらって思うと今でも怖いくらい一緒に居てくれた。
だからか岩ちゃんも飛雄ちゃんのことを避けていたし、尚更飛雄ちゃんは孤独になっていた。
本当は、知ってる。
毎日遅くまで練習して力をつけて、努力してたし、バレーの為に生きていたといっても過言では無いくらいバレーのことを愛してたのも。知ってるよ。でも、俺はそれを見て見ぬふりをしていたし、それは元々の才能のせいだって、努力をしてないと言っているように愚痴を言っていた。
本当は知ってる。
毎日泣きながら耐えていたの。
部活に入った頃はキラキラしていた目も、だんだんと何も映さなくなっていて、体育館裏で1人で泣いていたのを。
本当は知ってる。
3年の人からいじめられてたでしょ。
バレーシューズが無くなったとか、家の鍵が無いとか毎日言ってた。
でも、それは3年の人が全部持ってた。俺はそれを見て見ぬふりをした。俺も加害者だ。
誰も何も止めなかったんだ。飛雄を知ろうともしなかったんだ。その中で飛雄は耐えていたんだ。ごめん、飛雄。
ーside岩泉ー練習試合の日
ごめん、影山
もう少し早く止めとけばよかった。
中学の時毎日のように及川から愚痴を聞いていた。天才だとか、うざいだとか。
それが本当なのかも確認しないで、及川が幼なじみで優先順位が高いを理由にして避けていた。でも、俺自身が何も知ろうとしなかったんだ。
さっき金田一から床に放り投げられて、コーチから心配されていたとき、『慣れてるんで』って、言ってたよな、毎回こんなことされてたのか?泣きながら、『俺が消えれば良かったですか?』って言ってた影山を見て、遅かったって分かった。ごめんな、影山。
ーNOsideー
これ以上揉めたら大変だから、先に影山にはバスに乗って待機してもらうことにした。
皆唖然としたまま試合が開始されたが、結果は烏野が勝った。
青城は勝ち負けなんかどうでも良いように、影山のことだけを考えてた。
遅かったんだ、確かに影山はバレーの為に生きていた。でも、影山への態度、あの試合で影山の人生を狂わせたんだ。そんなことしか考えてなかった。
ー烏野バスの中ー
日向「影山!勝ったぞ!」
影山「おめでとう」
影山の瞳の中は曇っていて、消えてしまいそうな目をしていた。
皆が寝た頃、コーチと顧問は目を合わせて気まずそうに苦笑いをした。
ー次の日 side影山ー
昨日は最悪だった。すぐにクラスメイトに言いたい。この憂鬱を少しでも晴らしたい。
クラスに入り、昨日のことを聞かれた為、全て話した。
するとその話を聞いてた他のクラスメイトも青城に対してブーイングをしていた。
クラスメイト男「影山、自分を追い詰めんなよ!影山には俺達が着いてる!」
クラスメイト女「そうそう!もう関わるの辞めな!」
そう言ってくれた。
少し不安だった、クラスメイトも幻滅するんじゃないかって。全然そんなことなかった。
俺は仲間に恵まれたんだなぁって、心が暖かくなっていった。
太陽の光に包まれながら俺は今までで一番の笑顔を見せた
コメント
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うん今回も好きすぎますね❤️ まじでギャン泣き案件です😭 なんでこんなに神な作品を書いてくれるんですか?💢((殴 青葉城西許さぬ(´˘`👊🏻)