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うさぎになっちゃったマッシュくん5<最終話>
【レイン視点】
のし……
腹に圧迫感を覚え、俺は目を開けた。
(なんだ……?やけに重いな)
そう思いながら自分の腹に目をやるとそこに居たのは
すぅすぅと寝息を立てるマッシュの姿だった。
マッシュは人間に戻っていたのだ。
なんとも愛らしい……そんなことを思っていると、マッシュの目がうっすらと開いた。
途端に見える金糸雀の双眸に俺は釘付けになっていた。
「んぅ……あれ…?レイン、くん……?」
眠気眼を擦り、体を起こすマッシュ。
今のマッシュのは俺に跨っている状態だ。それに加え、
裸体で薄い毛布を被っているだけだった。
トロンと溶けそうなその瞳は俺を誘ってるようにしか見えない。
今すぐにでも押し倒したい欲求を抑え、冷静にマッシュに声をかけた。
「おはよう、マッシュ。お前は人間に戻ったんだ」
「んぇ……?あ、本当だ……」
マッシュは自分の手のひらを見て確認した。
「それでマッシュ……降りてくれないか」
跨ったままの状態でいられては色々困る。
「あ、すみません」
いつもの声のトーンで言うマッシュに、
「それと服は貸してやるからそれを着ろ」
そう言ってクローゼットの中からワイシャツを取りだし、マッシュに渡した。
「ありがとうございます」
丁寧にお礼を言うマッシュ。
俺の渡したシャツは少し大きかったらしい。まぁそれがいいんだがな。
「……あの……なんか迷惑かけてすみませんでした……」
重そうに口を開くマッシュに
「気にするな。迷惑だなんて思ってない」
そう返した。寧ろ可愛いマッシュをお世話できて幸せだった。
するとマッシュは俯き、黙り込んでしまった。
まだ体が本調子では無いのか?そう思った俺は問いかける。
「大丈夫か?具合が悪いのなら医務室に……」
するとマッシュは俺の話を遮るように口を開いた。
「それは、僕がうさぎだったからですか?」
「……は…?」
急な言葉に俺は言葉が出なかった。
「僕が……僕がレインくんの好きなうさぎの姿だったから迷惑だなんて思わなかったんですか…?」
何を言っているんだ……?こいつは……
「……っふざけるな……」
腹の奥からドスの効いた声が出たのが自分でも分かる。
「俺が好きなのはお前だ!好きだからお前のお世話をしたんだ!好きなやつの色んな姿を目に焼き付けたいと思うのは当たり前のことだろう!」
もろ告白のようなものをつらつらと言ってしまった。
マッシュはあっけらかんとした表情で俺を凝視していた。
「ぇ……?好き……?レインくんが僕を……?」
「だからそうだと言っているだろう」
「嘘……信じられない…」
ほんとにこいつは何も分かっちゃいない。
俺がお前のことをどれほど好きでお前をどれほど想っているのか。
俺はマッシュに近寄り、乱暴にマッシュの手を取って、自分の胸にその手を押し当てた。
「聞こえるか?マッシュ、俺の鼓動が。お前といるだけでこんなにも早くなってるんだ」
ここからでも聞こえる俺の心臓の音。鼓動が鳴る度にお前のことを好きと叫んでいる。
「ぇあ、……」
顔を酷く赤面させているマッシュに俺は自然と口角が上がった。
「マッシュ……その反応は期待してもいいんだよな……?」
マッシュは薄く口を開き、俯きながらも言葉を振り絞った。
「あぅ……ぼくも、レインくんのこと……好き、です……」
そんなマッシュを愛おしく感じながら優しく抱きしめ、ほんのり色付いた唇に
自身の唇を重ねた。
それは、思わぬハプニングから2人の恋が実った瞬間だった。
コメント
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やっばいですね、鼻血が止まらないですわぁ、