俺は結局、都合のいい奴に過ぎねぇのかもな。
俺が彼奴とこんな関係になったのはいつからだろう。冬なのに少し暑かった日、
「ねぇ、抱かせてくれない?」
自分の耳を疑った。彼奴とはもともと仲が悪かった。根本的に馬が合わねぇんだよ、あんな奴、顔も見たくねぇし。
でも、あの夜彼奴に身体を求められて何故か、許容してしまった。不思議だったんだよ。自分でも驚くくらいすんなりと許容してしまったし。
そうやって俺は、何回も身体を重ねて欲のままに喘いで、喘いで、喘いで……
馬鹿みてぇだよな。彼奴にとってはただの欲の処理にしかなんなくても、何故かソレは俺のナカを満たしてった。一晩だけでも彼奴に愛されて、彼奴の目に俺がいっぱい映って、俺を必要とするその視線が堪らなくて…依存してたのかもな。
「中也、口開けて」
『…あ』
ちゅっ
お互いの唇が触れ合う。いやらしい水音をたてて口の中を掻き回される。
『ん…..ぅ..ふっ……』
「ッは、」
『ッはぁ、はっ、』
どちらのものともしれない唾液が繊細な糸を引いて離れる。
「中也、もうトロトロになっちゃってる。そんなに気持ち良かったの?」
『….っるせ、さっさとやって終わらせろ。』
「身体は正直だよ。ほら、腰が浮いてる」
『ッ….くそ、』
ちゅ、ちゅっちゅっ
止まらないリップ音。頭が溶かされるみたいに何も考えられなくなって、身体から力が抜ける。重力操作をしようかとも考えはする。でも相手がダメだ。反異能力者の此奴に異能力を使うなんて考えるだけ無駄だ。
太宰の手がベルトに伸びて、ベットに押し倒される。
正直、俺はこの瞬間が好きだ。
太宰の目付きが変わって、愛おしむような甘い視線に変わる瞬間が。
いっぱい溶かして欲しい、いっぱい甘く、甘くして欲しい、俺の….
心を満たして欲しい….
「力抜いて、」
『んぁっ、』
「動くよ」
『ッ….あ、ん…んぅっ…..や、ぁ…..』
「声抑えなくていいからね」
『わか、ってる…ぅ、あっあぅ….んっ…』
「嗚呼…中也凄く可愛い、とても可愛いよ、」
『かわい、くねぇっ….し、あっあぁあ!?』
一気に奥まで突かれ、頭が上手く回んなくて目の前の感情だけがすぅっと入ってくる。
あぁ….もっとあいして…..もっと、もっともっと
『あっあ、うぁ…す、き….すきぃ….だざ、ぃ…』
『ね、もっと、もっとぉ….』
「……全部聞こえてるよ…」
「もっとって言って煽ったのは君だからね。どうなっても知らないから」
カーテンから差し込む朝日と雀の声で起きる。枕元には紙切れと畳まれた服。
紙切れには
《私は中也を都合のいい関係だなんて思わないよ。今度空いてる日に心中でもどうだい?? 》
『ははっ、誰がするか阿呆』
end.
コメント
1件
神っすか?どうしたらそんなに神作書けるんですか?