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XII話の続きです。大分短いです…。すみません。前回の任務の続きです。
※グロ描写有り。
俺達は、工事現場の中の呪霊を、とにかく祓いまくった。
(ヘンテコ前髪野郎)「一階は終わったかな。」
取り敢えず、一階の呪霊は全部片付けた。のだが、上の方に、呪霊の気配がまだ有るのだ。錆びた足場の上を歩くのは危ないが、ヘンテコ前髪野郎は、呪霊を使って飛べるらしいし、俺は、無限を使えば簡単に上に行ける。
「サクッと祓って終わらせようぜ。」
無限を張る位置を上げて、グングンと上へと浮いていく。ヘンテコ前髪野郎も、呪霊に乗って、上へと飛ぶ。
「お、居たぞー。」
(ヘンテコ前髪野郎)「本当だね。」
ケテ…ヨ……タス…ケ…テヨ”……。
其処には、沢山の呪霊が合体した物が有った。凄い数の頭や、腕、足が、肉塊から生えている。変種な姿だ。凹んでいる変形した頭や、指がおかしな方向に折れている足、肘から下がない腕等も、肉塊から生えている。
(ヘンテコ前髪野郎)「……欠損した四肢が有るね。…事故死してしまった方達の、死ぬ直前の感情から生まれたのかな。」
……タスケ…シ…ヌ……。
イ……ダイ…………。
頭が凹んでいるのは、足場から転落したからだろう。腕や、足も、転落した時に、ああなってしまったのだろう。地面に打ち付けられた後も、暫く、意識があったのかも知れない。呪霊になっても、未だに、其の時の痛みが鮮明に残っているのだろう。意識が朦朧としているかの様な、静かな声で、助けを訴え続けている。
「祓う。」
(ヘンテコ前髪野郎)「…嗚呼。」
「取り込まなくて良いな?」
(ヘンテコ前髪野郎)「嗚呼。」
「分かった。」
呪霊も、泣く事があるのだな。呪霊は、痛い、助けて、と、ひたすらに繰り返しながら、窪んだ目から涙を流している。
呪霊の目の前に近づいても、攻撃して来る気配が無い。其れどころか、祓われると言う事にすら、気づいていないみたいだ。只、ひたすらに痛い、助けて、と繰り返す。
グシャ
「終わった。もう呪霊の気配も無い。帰るぞ。」
(ヘンテコ前髪野郎)「…そうだね。」
補助監督の待機している所まで、只々歩く。また、左胸の辺りが苦しい。
帳に触れると、帳の幕が上がっていく。外に出ると、補助監督は、車の傍で待機していた。
(補助監督)「お疲れ様です。ご無事で何よりです。」
「中の様子は、如何でしたか?」
(ヘンテコ前髪野郎)「呪霊はかなりの数が居ましたが、全て低級の呪霊でしたし、全部祓いました。」
(補助監督)「なるほど、分かりました。」「お疲れ様でした。後は、此方にお任せ下さい。」
(ヘンテコ前髪野郎)「はい。お願いします。」
(補助監督)「それでは、お乗り下さい。高専に戻りましょう。」
帰りも、行きと同様に、補助監督の運転する車で、高専に戻った。
(補助監督)「それでは、失礼致します。」
補助監督も、忙しいのだろう。俺達を高専に送った後、直ぐに、何処かへ車を走らせて行った。
「……。」
(ヘンテコ前髪野郎)「…大丈夫かい?」
「ん、何が。」
(ヘンテコ前髪野郎)「君にしては、珍しく静かだなと思って。」
「何時もそんな喋ってないだろーが。」
(ヘンテコ前髪野郎)「そうかなぁ。」
「俺、お前とそんなに会話したか?」
「別に、特に何もねーよ。」
(ヘンテコ前髪野郎)「……。」
ヘンテコ前髪野郎は、探りを入れるように、此方を黙って見ている。
「はぁ……。」
「……握られてるみたいに、締め付けられてる感覚があってさ、左胸の辺りが苦しいんだよ。…只、それだけ。」
「何で苦しいのかは分からないけど。」
そう、俺には、この左胸の苦しさがよく分からない。やはり、心臓内科に行った方が良いのだろうか。それに、この左胸の苦しさのせいか、気分も晴れない。
(ヘンテコ前髪野郎)「五条君。」
「ん?」
(ヘンテコ前髪野郎)「明日にでも、さっきの工事現場に行かないか?」
「え、何で。」
(ヘンテコ前髪野郎)「献花を捧げに行きたいんだ。」
「…献花………そうだな。」
何時もなら、面倒臭いと言って、献花なんて俺はやらなかったと思う。任務に行く度に、一々献花をしに行っていたらキリが無いから。でも、今日は何故だか、面倒臭いと思わない。其れ所か、行っても良いとまで思っている。
「それなら、今からでも献花しに行くか?」
(ヘンテコ前髪野郎)「……。」
ヘンテコ前髪野郎は、打ち上げの時に見せた驚いた様な顔で、此方を見ている。
「ンだよ。」
(ヘンテコ前髪野郎)「いいや。何でも無いよ。」
「献花をしに行くなら、夜蛾先生に許可を取りに行こうか。」
「うん。」
担任に許可を取りに行くと、担任はあっさりと許可してくれた。
俺達は、献花する為の花を買いに、花屋へと向かった。
「そういや、献花する為の花ってどんなのが良いの?」
(ヘンテコ前髪野郎)「知らないのか……。」
「白菊や、白い百合とかだよ。」
「白じゃなきゃダメなん?」
(ヘンテコ前髪野郎)「白でなければいけない、と言う訳では無いよ。亡くなった人が好きだった花や、好だった色の花が選ばれる時も有る。」
「でも、私達が今から献花をする相手の、好きな花や、色は、私達は知らないだろう?だから、一般的な物のほうがいいと思うんだ。」
「成る程な。」
買ったのは、透き通った白の、百合の束だ。歩くと、甘く、華やかな百合の香りが、ふわりと漂う。百合の束を持って、さっきの工事現場まで戻った。