悠真と電話で話した次の日。授業中、スマホが震えた。
**《悠真》「今日、電話できる?」**
(あれ……いつもと違う?)
最近は私が連絡しない限り、悠真からあまりメッセージが来なかったのに。なぜか胸騒ぎがした。
夜、約束通り悠真と電話をする。
**「久しぶりにちゃんと話せるね」**
私は少し明るく振る舞おうとした。でも、悠真の返事はどこか重かった。
**「……華恋、最近どう?」**
「うん、新しい学校にもだいぶ慣れてきたよ!友達もできたし、部活も楽しくて——」
**「そっか」**
会話が続かない。違和感が募っていく。
「悠真は?サッカー部、順調?」
**「うん、まあな」**
悠真は一度言葉を切ると、深いため息をついた。
**「なあ、華恋……俺たち、このままでいいのかな?」**
心臓がドクンと跳ねた。
「え……?」
**「最近、俺たち全然話せてないよな」**
「……それは、私が忙しくて……ごめん……」
**「俺もだよ。お互い頑張らなきゃいけない時期なのはわかってる。でも、最近、なんか……華恋が遠く感じるんだ。」**
「そんなこと……!」
否定したかった。でも、思い返せば、悠真の気持ちが分からなくなっていたのは私も同じだった。
「でも……私は悠真のこと好きだよ?」
そう言った瞬間、自分でも驚いた。
**「俺も好きだよ。でも、それだけじゃ足りない気がするんだ。」**
「悠真……?」
**「このまま距離ができて、俺たちが無理に続けることで、お互いが苦しくなったら意味ないだろ?」**
「そんな……」
**「好きだけど、離れたほうがいいのかもしれない。」**
悠真の言葉に、頭が真っ白になった。
「それって……別れたいってこと?」
**「……わかんない。でも、華恋は今、学校が楽しいんだろ?それなら俺が引き止めるのは違う気がする。」**
悠真の言葉は優しかった。だからこそ、余計に苦しかった。
「……悠真は?」
**「俺は……華恋のこと、今でも本気で好きだよ。でも、今の俺たちは、恋人って言えるのかな……?」**
答えられなかった。
たしかに、付き合ってるのに、まともに話せていない。遠距離恋愛が思っていたよりもずっと難しくて、すれ違いばかりで。
「……どうしたらいいの?」
私は泣きそうになる声を抑えながら言った。
**「俺もわかんない。でも、一度ちゃんと考えたほうがいいのかもしれない。」**
——電話が終わる頃、私は泣いていた。
悠真のことが好きなのに。
悠真も私のことが好きだって言ってくれたのに。
それなのに、どうして——?
**「好きだけど、これが正しいの……?」**
私はスマホを握りしめたまま、眠れない夜を過ごした。
ーー続く。
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