テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
66
ララ
52
158
夜。
時計は0時を回っていた。
拓実はまだ帰ってこない。
🌱「……。」
純喜はソファに座りながらスマホを見る。
🍓「今日遅くなるので先に寝ててください」
数時間前に届いたメッセージ。
🌱「寝れるわけないやん……。」
小さく呟く。
本当は忙しいだけだと分かっている。
仕事だって分かっている。
それでも。
🌱「今何してるんやろ。」
今日はどんな顔で笑ったのか。ちゃんとご飯を食べたのか。
疲れていないのか。
会いたい。
ただそれだけなのに。
スマホ越しじゃ足りない。
🌱「拓実不足や……。」
純喜はクッションを抱きしめる。
ふと窓の外を見る。
真っ黒な夜。
🌱「今すぐ帰ってきてくれへんかな……。」
そんな時。
スマホが震えた。
🍓「まだ起きてます?」
純喜は一瞬で返信する。
🌱「起きてる。」
🍓「電話するね」
数秒後。
着信。
🌱「もしもし!」
🍓「元気やん」
🌱「拓実!」
🍓「うん。」
声を聞いただけなのに、胸が少し軽くなる。
🌱「まだ終わらんの?」
🍓「あと少し。」
🌱「そっか。」
🍓「待ってる?」
🌱「待ってる!」
即答だった。
電話の向こうで拓実が少し笑う。
🍓「ごめん。」
🌱「謝らんでええ。でも会いたい。」
少しの沈黙。
🍓「俺も。」
その一言だけで十分だった。
🌱「ほんま?」
🍓「ほんま。今すぐ帰りたい。」
🌱「帰ってきて。」
🍓「うん、帰るね」
純喜はクッションを抱きしめる。
🌱「ぎゅーしたい。」
🍓「俺も。」
🌱「手ぇ繋ぎたい。」
🍓「うん。」
🌱「隣おってほしい。」
🍓「もう少し待って。」
優しい声だった。
純喜は少しだけ笑う。
🌱「王子様みたいやな。」
🍓「誰が?」
🌱「拓実」
🍓「俺は純喜くんの王子様になれるように頑張ってるんですけどー!笑」
🌱「ありがとう笑」
寂しかったはずなのに。
声を聞いているだけで安心する。
🍓「純喜くん。」
🌱「ん?」
🍓「帰ったらいっぱいぎゅーする。」
純喜は思わず顔を隠した。
🌱「急にそういうこと言う。」
🍓「本音。」
🌱「……。」
🍓「会いたい。」
胸がきゅっとなる。
🌱「俺も会いたい。」
窓の外は真っ黒な夜。
でも今は。
さっきまで感じていた寂しさが少しずつ溶けていく。
🌱「早よ帰ってきてな。」
🍓「うん。帰ったら一番最初に抱きしめる。」
🌱「約束やで。」
🍓「約束。」
純喜はスマホを耳に当てたまま、小さく笑った。
会えない時間は長い。
それでも。
帰ってくる場所は同じだから。
今夜も純喜は、拓実の「ただいま」を待っていた。
_______________________________________________
佐々木舞香ちゃんソロ曲の「真夜中マーメイド」を元にして書いてみました!
コメント
1件
読了しました。夜の静けさの中、スマホ越しに交わされる「会いたい」のやりとりが切なくて温かかったです。純喜くんの「拓実不足や……」って表現、すごく胸にきました。電話で王子様みたいって言われた後の拓実さんの返しにもほっこり。帰ってきたら一番に抱きしめるっていう約束、すごく愛おしいですね。真夜中マーメイド、なるほど納得の世界観でした🫧