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小雨の降る拗れた裏路地で毎日のように会う猫にペットフードを食べさせる。この日は気温がいつもより低かった。

カヨコ「…今日は冷えるし..」

毛布の敷いたダンボールで鳴く子猫に自身の傘を渡す。

カヨコ「今度返してね。」

踵を返そうとすると、

先生「…あれ。カヨコ?」

咄嗟に振り返りそこには先生がいた。

カヨコ「あ、先生。今帰り?」

先生「うん。そろそろ日が暮れちゃうけど..大丈夫?」

カヨコ「..うん。私はもう少しこの子達を見てないと行けないから。」

雨に濡れる私に先生は傘を手渡した。

カヨコ「..!良いの、先生の傘なのに。」

彼は微笑んでこう返す。

先生「生徒が目の前で濡れてるのに大人が何もしないはずないよ。それに…その猫たちにも濡れてほしくないし。」

カヨコ「..ふふ、ありがとう先生。今度返すよ。」

先生「うん。…あ、家まで送ろうか?」

カヨコ「あ、じゃあ頼もうかな。」

先生が優しく猫に傘を差し出し、私は先生を傘に入れようとする。

先生「カヨコ..濡れない?大丈夫?」

カヨコ「私は平気だよ。むしろ先生の方こそ。肩濡れてるよ?」

先生に問いかけても相変わらず「生徒」に対する笑顔を絶やさない。

先生「私は全然大丈夫。むしろカヨコの傘だしね。」

カヨコ「それじゃ意味ないでしょ…ほら、もう少しこっち来て。」

先生「じゃあ、お言葉に甘えて。」

そうして私たちは雨の降る路地を後にした。



先生「カヨコって猫飼ってるの?」

先生に突如そう聞かれた。

カヨコ「うーん…飼ってはないよ。そもそもうちの寮がペット厳禁だし..飼うのもお金かかるしね。だから時々、あの路地の猫達に餌をあげてるんだ。」

先生が悩むようにこう言う。

先生「良いよね猫….私も飼ってみたいなとは思ってるんだけど…基本はシャーレで寝泊まりしてるからお世話する暇ないし…でも今日は珍しく家に帰れるんだ…」

疲れながらも嬉しそうに先生はそう言う。そう話しているうちに先生の家に着いたようだ。

先生「あ、着いた。ありがとねここまで。」

そう言う先生の家は外観こそ小さいものの綺麗で一人暮らしには快適そうだった。

カヨコ「先生..なんか意外なとこ住んでるんだね。」

先生「あはは..元はキヴォトスの外から来る時張り切って、悩んで買ったんだけどね…今ではほとんど使えてないんだ。宝の持ち腐れって言うかさ…更新費用無駄に払ってるよ..」

カヨコ「…ねぇ先生。じゃあさ、私今日は時間あるから..少し中見ていい?気になる。」

先生が驚いたように、

先生「私の家に..?うーん、私は良いけど…面白い物はないよ?」

カヨコ「まぁそれでも、気になるからさ。」

先生「そういう事なら良いけど..期待はしないでね?」

先生が不思議そうに部屋に上がらせてくれた。先生の部屋は最低限の物しか無くて、部屋に散らばる段ボールを見る辺り、まだ荷造りも出来てないように見えた。

先生「..ね?何も無いでしょ?」

カヨコ「まぁ…そうだね。」

先生は思い出したようにこう話す。

先生「あっそうだ。…何処に仕舞ったっけ..あったあった。」

先生はクローゼットから小さな木箱を取り出し、慎重にその中身を取り出した。

先生「これ..私の先輩から貰った、所謂宝物みたいな物なんだけどね。万年筆さ。..中々使えてなくて、さ。私が使うより、若い人に受け継いだ方がいいと思ってさ。…良ければ。」

先生の個人的な話を聞くのは初めてかもしれない。慎重にその「宝物」を受け取った。

カヨコ「こんな大切なもの…良いの?」

先生「うん。カヨコなら安心かなと思って。」

カヨコ「なら、大切に使うよ。ありがとう、先生。」

先生は私の頭を軽く撫でて、

先生「便利屋の皆を宜しくね。」

突然の言葉に俯き、

カヨコ「…うん。」

先生はその返事を聞き、

先生「良かった。もう夜だしさ、家まで送ってくよ。」

私は先生に託された万年筆を大切に仕舞い、まだ雨の降る外へ出る。

カヨコ「ここまでで大丈夫。ありがとう先生。」

先生「こちらこそ。」

カヨコ「…万年筆、大切に使わせてもらうね。」

先生は嬉しそうに、

先生「うん、よろしくね!」

カヨコ「でも…何で私?」

先生「私にとって、この宝物を託せるのはカヨコだと思ったからさ。」

カヨコ「そっか。…」

最後に私は先生に抱きついた。普段しない事。この時だけは良いと思った。先生は何も言わずに抱き返してくれた。

カヨコ「…じゃあね、先生。また今度。」

先生「うん!」


数ヶ月後、いつも通り騒がしい便利屋の小さな事務所で皆で話していた。

ムツキ「あれ?珍しいねカヨコちゃん。万年筆?」

カヨコ「あぁ、これ?…まぁ、大切なね。」

ムツキ「私にも使わせてー?」

カヨコ「だ、駄目。」

ムツキ「この感じぃ、先生絡みだねぇー?」

カヨコ「…とにかく、私にとっての宝物なの。」

ハルカ「アル様!依頼が…」

アル「さぁ、依頼の時間よ!」

ムツキ「あっ、まだ聞きたい事あるのに〜..まぁいっか!行こ行こー!」

カヨコ「今日は何かに巻き込まれないと良いけどね…」

こうして、4人の少女は今日も依頼へ赴くのだった。

この作品はいかがでしたか?

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コメント

22

ユーザー

ふふ、これで延命出来ましたね! 久し振りの作品で私は大変眼福だよ…相変わらずの文才だ、貴方の作品を沢山観たい気持ちも有るが...私は貴方が置かれた立場と苦労を知っている…だから我儘はいけないね…これは私の勝手な妄想だが……その先輩がカヨコに似てて初恋の相手……だったりね?

ユーザー

うわぁ〜ん!俺より全然文豪文才じゃねえかよぉ!?先カヨ最高ッ!!!

ユーザー

オチが弱いかなぁ...けど満足は出来た。さて、次はナギサかセイアだな。

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