昼休み。俺はいつものように、購買で買った焼きそばパンを片手に教室を出た。
狙うは、瑞希。
さっきは散々な言われようだったが、まだ終わったわけじゃない。俺のしつこさを舐めるなよ。
瑞希は、結由や彩葉と一緒に中庭でご飯を食べていた。これはチャンスだ。
「よっ、お前らここで飯?」
「……はぁ」
俺の姿を見た途端、瑞希が露骨にため息をつく。おいおい、さすがにそれは傷つくぞ?
「まぁまぁ、せっかくだし俺も混ぜてくれよ」
「断る」
「早い早い! もうちょい考えろよ!」
「翔が来ると面倒だから」
「ひっでぇな!? 俺、ただ飯食いたいだけなのに!」
結由は苦笑しながらおにぎりを食べている。あれ、そういや結由って智と付き合ってるらしいけど、本人の口からは何も聞いてねぇな。
……まぁ、今は瑞希が優先だ。
「瑞希、俺のパン食う?」
「いらない」
「遠慮すんなって!」
「いらないって言ってるの」
「お前、それ俺のこと意識してるからだろ?」
「ちがう」
「ツンデレだな~! もうちょい素直になれって!」
「うるさい」
瑞希が本気で睨んできたので、さすがに俺も黙ることにした。
その時。
「お、翔じゃん! 何してんの?」
いきなり背中をドンッ!と叩かれた。
「うおっ!? って、智かよ!」
風見智が、いつものノリで俺の肩をバシバシ叩いてくる。
「お前もここで飯?」
「いや、俺は結由と――」
智が何か言いかけた瞬間、結由がすっと視線を送った。
……ん? なんか空気おかしくね?
「……まぁ、いっか!」
智は笑いながらそのまま結由の隣に座った。結由も、何事もなかったようにおにぎりを食べている。
俺は何となく違和感を覚えつつも、スルーすることにした。
「ねぇ翔、さっき瑞希にフラれてなかった?」
ニヤニヤしながら話しかけてきたのは彩葉。
「フラれてねぇよ! まだ戦いの途中だからな!」
「いや、もう終わってるでしょ」
瑞希がバッサリ切り捨てる。
「おいおい、希望は持たせろよ~!」
「持たせる必要ないから」
俺がぐぬぬと唸っていると、朱音がサッカーボールを抱えながらこっちにやってきた。
「おーい翔! 昼休み終わる前にちょっとパス練手伝って!」
「俺に頼むな! もっとサッカー上手いやつに頼め!」
「いや、翔がターゲットになってくれるのがちょうどいいんだよ」
「それ褒めてねぇよな!?」
「ほら、早く!」
朱音に腕を引っ張られ、俺は強制的にサッカー練習に連れていかれた。
瑞希との距離を縮めるどころか、ますます遠ざかってる気がするんだが!?
……俺の恋愛、前途多難すぎる。
頑張るしかないよなッ!?
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