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《おはようございます!皆様!》
[朝でございますよ]
〈今日は街にお出かけなさるんですよね〉
3人の声が耳を打つ
眠たい…
[お召し物を御用意しております。お身体を起こし早々に着替えてしまいましょう]
あ…そう言えば今日は街に行くんだったよな…
早く…起きなきゃ…
【う……ぁ…】
布の擦れる音がした
漏れた声的にクーリーが起きたのだろう
「んん…くぁ…」
兄さんも起きたみたいだ
さてさて…僕も起きないとだな
ょいしょっ…
「ふぁ…ぁ〜…」
欠伸が出る
眠たい…
[おはようございますアキト様]
《快晴でございますよ!クーリー様!》
〈申されたコートとマフラーを御用意しております。お着替えに致しましょうかアヤト様。〉
「あぁ…、うん…」
「ん”っん”ん……起きるよ、2人共。さ、起き上がって」
あ、貴族スイッチオンだ
よし…起きよ
「おはよう兄さん」
「おはようアキト」
「おはようクーリー」
【おはようアキト】
「おはよう皆」
〈おはようございますアキト様〉
《おはようございますアキト様》
[おはようございますアキト様]
挨拶の総コンボ
[お着替え致しましょうかアキト様]
《あっクーリー様も致しましょうか》
「ありがとう」
【あぁ】
「 (早々にリックに着替えを任せている兄様) 」
はっや、
[御綺麗でございますよアキト様、詰まった襟が清潔感を出しております。腰が細いので存在感のあるシャツがとてもお似合いです。]
「そう、早くして」
[失礼致しました。早々に済ませますね]
《クーリー様もクラシックフリルシャツがお似合いです》
【そうか】
《お靴失礼致します》
【あぁ…】
なんか…エッチだな、
クーリー、ハイヒールだから履かせる時近くなるんだよねあの2人…
あの、足の甲にキスしてるみたいで…ただれてる…
まぁ…そんな事しないと思u(((((
《ちゅ、》
?!?!?!
はぁ?!
ほ、ほほほ本当にした?!
【こーら、ダメだろ。2人がいるんだから、】
2人?!
僕らがいなかったら良いの?!
《大変失礼致しましたクーリー様。綺麗な足でしたので…(ニヤッ) 》
【ったく、】
は?!?!
「クッ…りー、…早く準備しなさぃ…」
兄さん?!
目そらすの?!嘘でしょ…?!
嘘…!
【はーい…】
《できましたクーリー様、御綺麗な足でございますよ。》
【あぁ】
また?!ちょ、そんな関係だったの2人共……!?
いやいやいや……落ち着け…落ち着け…
すぅー…ふぅ…
[アキト様、?リボンをお結び致しますよ?]
「へっ?あっ、ありがとう…!」
[お髪伸びましたねぇ、切りますか?]
「あーまた今度で良いよ…」
「準備でき次第行くからね」
「あ、はーい」
【はーい】
「じゃあ行ってくる、クルトとその他のメイドと執事はここの屋敷を守るように。」
「行ってきます」
【遅くはならねぇから】
と、車に乗り込む。
黒色の車、高級感を醸し出すその車の中で僕らは革のシートに座った。
ピカピカの車内だ。凄いなぁ。
石畳で整備された山奥の参道を車が走る、緩やかな坂に工事された道は驚くほど走りやすい
さて、街に着くまでまだ時間がある。僕は勉強がてら家にあった本でも読むとしよう。
「………、」
黙り込んで黙々と本を読んでいる僕、するとクーリーが顔を覗き込ませた
【何読んでんだ?】
「え?あぁ…家の図書室にあった本だよ、セルがオススメの本を紹介してくれたんだ。」
【……なんて書いてんだ?】
「あはは……えーとね、」
「少年は自身の背中に生えた翼で空高く、天へ昇って行きました。」
「ぁ…」
気付くと兄さんも本を見ていた。
「何?次のページ早く」
「え?あ、ぅん…」
僕がペラッと次のページを開くと
【だー!!!クッソ読めねぇ!】
「クーリー、言葉」
【あっ…ごめんなさぃ、】
兄さんが咄嗟にクーリーを注意した。漫才かな?
「私が読んであげよう、勉強してるし普通に読めるよ。」
そう兄さんが読み始めた
人に読んでもらうとは面白い
奢ってもらうのと同じ原理だな
そうしていると街に着いたようだ
ドアがガチャッと開く
見るとリックが右の扉から手を差し伸べていた
〈御三方、お着きになりましたので降りましょう。転んではいけませんのでお手をどうぞ。〉
降りるだけで転ぶだろうか…?
まぁ痛いのは嫌いだからお言葉に甘えよう
先に兄が降りる
僕も降りよーっと
「ありがとうリック」
〈いえ、足元お気をつけ下さいませ〉
「うん」
皆が降り終わり、ふと顔を上げると僕の目の前に景色が広がった。
見たことの無い店、あの夜みたいな寒さは無い。
眩しいくらいの、弾けるくらいの笑顔や微笑みがいっぱいだ。
…さて、探検と行こうか。僕らはあのような街人にはなれない、でも限りなく近くなる事はできるから。
街の整備された石畳の道を杖をつきながら歩く。
そういえば何で杖をついているかって?理由は明白。僕と兄は片目が無い、だから眼帯をしているのだがどうも片目は見にくい
だから転ばないように杖がいるんだ。
あれだ、白杖の役割も果たしているのだ
寒い晴れた冬空の空気が身体の中に入り込む
悪い気はしないね
そのまま歩いていくと妖精達がこちらをチラチラと見ている、案外街にも妖精はたくさんいるのだ。
見世物じゃないよ?
でも妖精が通った場所が光って朝ながらキラキラとお星さまみたいに輝いている
綺麗だな。
「アキト、綺麗だな。」
「……そうだね兄さん、」
【街って凄い……!】
「そうだねクーリー」
「ねぇ兄さん達、カフェでも行かない?僕食べてみたい物あるの」
「え?あぁ…まぁ良いけど」
【どんなのだ?】
「タピオカとパフェ、あとアイスも!」
【へぇ〜聞いた事無いわ】
「タピオカって…あのこんにゃく芋でできた物?」
「そうそう、もちもちで美味しいらしいよ」
「だ、そうだが店はどこにある?お前達」
[はっ、この近くでは向かいの通りにあるカフェが近いですね。パフェもアイスもあります。]
〈でも…寒くないですか?この冬にアイスって凍えますよ?特にアキト様は寒いのは嫌いでしょう〉
「うっ……リック〜!少しは大丈夫だよ!」
〈しかし……、〉
《良いんじゃない?リックちゃん、アキト様もこう言ってるしさ。ね?アキト様》
「う、うん!うん!大丈夫!」
「アキト…お腹冷やしてしまうんじゃないか…?」
【そうだぜ、大丈夫かよ】
過保護過ぎない?ちょっと窮屈なんだけど、
もう良いや、行っちゃお
「もう良い!知らないもん!」
僕は走り出した。結構人がいたので背の高い家族達は手を焼くだろうね
〈あっ!アキト様!〉
[私は専属執事なのに…不甲斐ない執事をお許しくださいませ……、]
《ちょっとセルちゃん!早く追いかけないと!》
[は、はい!]
一方僕
「( もう!皆過保護!いくら僕が危なっかしいからって窮屈に生きたいわけじゃないよ!) 」
ドンッ
「うっ…痛た…、」
あっ!誰かとぶつかっちゃった…!謝らないと、
「ご、ごめんなさい…ッ」
「こちらこそぶつかっちゃってごめん…っ…僕、大丈夫?」
話しかけられた方を見ると赤毛のショートカットの女の子が手を差し伸べていた
「だ、大丈夫です…、ごめんなさい…」
「僕はアキト、またお礼させてくださいね……」
「私はチセ・ハトリだよ、」
[アキト様っ!]
「あっ、ヤバ…」
「ごめんなさいチセさん!また今度!」
「えっ?あ、うん…!」
「 (なんだか不思議な子だったな…) 」
「どうしたの?チセ」
「あ、エリアス…いえ…なんでも。」
「そう、じゃあ行こっか」
「はい」
一方僕
[ッ…捕まえましたよアキト様!]
「ぅわッ?!」
僕はあの後すぐに捕まってしまった
やっぱりセルからは逃げられないな
《アキト様ッ!良かった…!》
と、思っていたら他の執事が兄さん達を抱いて走ってきた
恥ずかしくないのかな
あ、クーリーは真っ赤だ。兄さんは真顔だ。
「降ろして、リック」
〈あ、はい〉
「……アキト、心配したんだよ?もう急に走り出さないでね?」
兄が僕の頭を撫でながらそう言った。
「ご、ごめんなさぃ……」
「うん、謝れて偉いね。」
そう褒めてくれて僕は思わず微笑んだ
「あとベリー、クーリーを降ろしてあげなさい」
《あ、はい…降ろしますよクーリー様?》
【は、はは、早く降ろせバカ!】
《はいはい、頭叩かないでください……》
「……ぷっあははっ」
本当にクーリーは面白いね
そういう所も好きだよ
[さてアキト様、先ほど言ったカフェに参りましょうか。]
「え!いいの?!」
【良いじゃねーか、美味い物食べような】
「うん!」
そう言えばクーリーも僕のお兄さんになったんだよね?うん、クーリーもぼくの兄さんだよね
「いっぱい食べようね!兄さん」
【?!】
「?!?!?!?!」
〈大丈夫ですかアヤト様!〉
《クーリー様?!》
「私の弟は2人いたのか……」
【えっ?!いや、でも…?!】
「違うの?でも、あーでこーでこーであーで」
僕は何故クーリーが僕の兄に当たるかを説明した
すると……
「……私の弟は2人いたんだな」
「うん、私の弟はクーリーとアキトだ。」
【そ、そうだな、?】
「と、取り敢えず行こうか。私は少々混乱しているようだ……」
「うん!行こっか!」