桃赤
年齢作動なし
※長いです。
赤side
俺は去年の今頃「性別転換手術」を受けた。
当時は腹痛でお仕事に支障がでてしまっていた
けれど、今じゃなんの心配もなく動けている。
『今日の予定は ~ .. 』
『オフィスで隠れんぼ企画か 、、 』
これは楽しい動画になるぞと気合いを入れながら支度をする。
歯磨きや着替えを終わらせて朝食は
いつも食べないから家を出ようとした時、
『… ん、ッ ?』
お腹に痛みが走った。
弱い痛みだったためトイレに寄ってから時間が迫ってることに気づき急いで家を出た。
『なんだったんだろう..』
タクシーに乗りながら思い当たることを考える
変なものを食べたか、はたまた風邪をひいたか、思い当たることは何も浮かばず耳にイヤホンを挿し会社に着くまで外を眺めた。
『おはようございまーす』
オフィスにつき今日の企画の為だろう
準備をしているスタッフさんへ挨拶をする。
「おはようございます!」と元気に返されると
無意識に口角が上がった。
スタッフさんと会釈し控え室へ向かおうとするとまたお腹へ痛みが走ったのを感じた。
なんなんだろうと自分の腹へ少しイラつきながらもこれからの撮影のためにも笑顔を絶やさないようにドアノブをこちらに引く
「おはよ!りいぬくん!」
そう元気に声をかけてくれたのは可愛いころちゃん、こんなに早いのは珍しいなと思いながら言葉を返す。
『おはよ めぇめぇ、今日は早いね』
「え~?いつもですけどw」
なんてふざける青ちゃんを眺めながら朝のエゴサタイムを始める。
「赤くんおはよう🐾.」「今日も大好きです!」
「今日もお互い頑張ろうね🐶❤️」
リスナーさんの暖かい言葉を眺め自然と頬が緩んだ。幸せだなぁ、なんて思いながらソファーに座っていると、斜め右から1枚の薄い布が飛んできて目線を向ける。
「お前まだ上着着ないんかよ」
「毛布被っとけ風邪ひくから」
毛布大砲の正体はさとみくんだったことに気付く『ありがとう』と返すと「寒そうだったから」と言ってくるのでイケメンな姿にムカついた俺はスっと起きてさとみくんを軽くパンチする「いてっ!」なんて力を入れてないのに「るぅと~!!!」と助けを呼びにいってしまった。
「りいぬがそんなことしません!」
と全く信じて貰えずしょんぼりしながら帰って来たので『さとみくんがイケメンすぎるのが悪いんだよ』と殴った理由を伝えておいた。
「なんだよそれ!笑」なんて笑いながら見つめてくる愛おしい目にまた殴りそうになったのでそっと気持ちを抑えた。
『ねぇ終わったらごはん食べに行こうよ』
「わんわんにしては珍しい!」「行こーぜ」なんて言葉が返ってくる
俺は嬉しくなって毛布に包まると心配の声が聞こえたが俺の表情を見てみんな各自の作業へ戻ってくれた。
包まりながら自分の感覚へ正直になってみると
お腹がじんじんと痛んでることを自覚する。
『 ん….ッ 』
薬を飲もうと鞄を漁るが朝急いだせいでいつも入っているポーチは見当たらなかった。
「どうしたの?」隣にるぅとくんがいたことに気付く『なんでもないよ〜』とはぐらかして今日の衣装に着替えるため衣装室へ足を運んだ。
どんどん腹痛は強くなって言って心做しか気持ちの余裕も無くなってきた気がする。
「りいぬくん!こっちの方がいいかな?」
『あ~、どっちでもいいんじゃない、?』
インナーについて聞かれたが上手く返せなかったころちゃんはしゅんっとしてるぅとくん達に意見を聞きに行った。
やってしまった、と謝りに行こうかと思った時に髪をセットしてくれる人に呼ばれてしまったので後で謝ろうと思いながら席に座る。
全員準備が出来てカメラがあと3秒で回ろうとした時、感じる痛みを無視して笑顔を振る舞った。
最初の鬼は俺で3分たった後にみんなを探す。
『どこだ〜!』なんて声を上げながら探すが一向に見つからない。
『ふぇ〜ん 見つからないよ〜!笑』とリアクションしていると物音がした。わざと建ててくれたのかななんて思いながら物音がした場所へ向かうと桃色の服がちらっと見えた。
『さとみくんみっけ〜!!』
「見つかっちまったよ〜w」
なんて優しいんだろうと思いながら残りの二人も探す。
いつもより頭が冴えなくて涙目になりながらも元気に話す俺を見てさとみくんやスタッフさんが中断しそうになったが俺の行動を見て控えてくれた。
「タイムアップです〜」
スタッフさんの声がして『くそ〜!』と可愛らしいリアクションをして一旦の休憩に入った。
「あれれ〜?りいぬ(くん)??笑」
横で煽り散らかすころちゃんとるぅとくん。
「あれ今日りいぬ調子悪いっすか?笑」軽く煽りながら確認してくるさとみくんにそんなことないって返しながら次の撮影をする為スタンバイする。
次はるぅとくんが鬼。
どこに隠れようか悩みながら社長室へ足を運ぶ
なーくんはシンガポールにいるので今日は誰もいない。ロッカーに隠れようとした時、今日一の痛みが走った。
思わずその場にしゃがんでしまって手持ちカメラを床に置く『ん゛… 』声が漏れる、すると「大丈夫か?」と声が聞こえた気がした。振り向く余裕もなく大丈夫だと応えると「大丈夫な感じじゃないか」と言われ体が浮いた。
『え、?』
「お前今日やっぱ体調悪いだろ」
『そんなことないって!』
『やめてよ』と社長室のソファーに運ぼうと持ち上げられてる体を揺さぶる「危ないから笑」といいながらバランスを崩さないさとみくんにムカついたが暴れるのを諦めた。
「いつから?」
『朝、』
「あーね」
『..ッ 』
「どーしたん」
お腹が痛いこと、イライラすること。
思い当たることを話して謝ってたら目元がじんわりしてきたのを感じた。泣いてはいけない。弱くなってはいけないのに。
「りーぬ、偉いな」
その言葉を耳にした時には彼の胸の中に収まっていた。いつもならぶん殴っているが今日は受け入れて抱き返してしまった。
桃side
隠れんぼ企画中どこに隠れようか迷いに迷って
とりあえず入った社長室にはしゃがみこむりいぬがいた。
どうしたのか聞いても強がるばかりで不機嫌なりいぬを仕方がなくソファーへ運び話を聞き出す。
朝からお腹が痛いこともイライラすることも思い当たる原因が鮮明では無いがあって涙目なりいぬを抱きしめ、いつも通り拒否されるかと思ったが受け入れてくれて少し嬉しかった。
りいぬから手術を受けるんだと言われ手術について少し調べた時にホルモン注射を打たないとメンタル面や体調を崩しやすいと知った。「ホルモン注射を受けて欲しい」と軽く言ったがこいつの活動の武器は声と歌だからなと改めて思い強くは言えなかった。
体調のためにもいつかは受けるホルモン治療。
どんなお前でも大好きだから、無理はしないでほしい。そんな思いを込めて、
「どんなりいぬでも大丈夫だから」
「離れていかないからな」
そう伝え撮影を中断しようとスタッフさんへ伝えようと立ち上がると勢いよく胸板へ飛び込んできた。
赤side
さとみくんと暫く抱き合った後どんなりいぬでも大丈夫だからなんて言ってスタッフさんの方へ行こうとした。
みんなでやろうと決めたかくれんぼ企画
俺の体調不良で中断したくなかった。
どうとめていいかも分からずさとみくんへ抱きつく『おねがい..動画はボツにしたくないの』
そう伝えると難しそうな顔をしてから「わかった、無理はするな辛かったら頼れ」と頼もしい言葉をかけてくれた。
結局2人でロッカーに隠れているとるぅとくんが来てあっさり見つかってしまった。
エンディングは元気に笑顔で撮れてスタッフさんの「終わりでーすお疲れ様さまでした」という合図で意識が途絶えたみたいだ。
気がつくとソファーの上で膝枕をされている。状況が状況すぎて恥ずかしかったが恥ずかしがる気力もないみたい。
「あ、起きた?」
膝枕をしているこいつはなんてイケメンなんだと思いながら首を縦に振ると
「わんわん!大丈夫!?」
「大丈夫ですか!?」
とみんなが来てくれた。
さとみくんに急かされて今日あったことを話たら皆して「最初から言ってよ〜」と軽く怒られた。
愛のある叱りを久々に受けたからなんだか嬉しい。
「僕薬ありますけど使います?」
るぅとくんは神様だと思う。
飲まさせてもらった後、さとログで高評価なお店にみんなで食べに行った。
後日、完成した動画ではたまたま隠れるところが一緒だったと編集されていて編集者さんにもさとみくんにも有難い気持ちでいっぱいになったのはまた別の話。
end.
最後まで読んでくださりありがとうございます.大変お久しぶりです😖.
高校生活が忙しくて中々書けてなかったのですがこれから少しづつ投稿できたらなと思ってます🙌🏻🍀.
最近寒いので体調に気をつけてください~!
コメント
8件
見るの遅くなりすぎた自分をぶん殴りたいです...(?) 流石に神すぎました🥹 ぶくしつです🫶🏻️💞
相変わらずストーリー書くの上手すぎて尊敬…
久しぶりの投稿ありがとうございますー!相変わらずめちゃめちゃ良かったです😖✨