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#ヤクザ
夏目萌*優しい彼~コミカライズ
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鷹槻れん

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湊、父親の前でも全く動じずに「俺の妻を“あの女”などと言うな」って言い放つシーン、痺れたわ…。和葉も里菜との対決を覚悟してて、両サイドで緊張感が高まる展開、続きが気になって仕方ない🔥 詩音の無邪気さがいいアクセントになってるのもグッとくる。
和葉が自分の覚悟を口にしてから数日が過ぎた休日の昼下がり。
自宅で三人が穏やかな時間を過ごしていたところへ真宙から連絡が入った。
『社長、会長から連絡がありまして……』
電話口から聞こえてきた真宙の声にはどこか緊張が滲んでいる。
『社長と和葉さんが籍を入れたことを知って、かなりお怒りになっているようです。今すぐに来るようにと……』
その報告を聞いた湊は驚く様子もなく小さく息を吐いた。
「思っていたより遅かったな……」
むしろ、ようやく来たかと言わんばかりの落ち着いた声だった。
「ちょうどいい、俺からも話があるからな。真宙、一緒に来てくれ」
『畏まりました。それでは急いで迎えに参りますね』
「ああ、頼む」
通話を終えた湊は千宙に『すぐに来て欲しい』とメッセージを送ると静かにスマートフォンを置くと、その様子を見ていた和葉は不安そうな表情を浮かべながら湊に問い掛けた。
「……お父様と話すの?」
「ああ」
湊は短く答えると出掛けるための準備を始める。
「会社のこともほぼ片付いたし、ちょうどいいタイミングだからな。会社を辞めることも伝えてくる」
「…………やっぱり、里菜さんから情報が漏れたのね……」
和葉がぽつりと呟くと湊はその言葉に一瞬だけ手を止めたものの再び手を動かしながら、
「遅かれ早かれこうなるんだ、問題ないさ」
和葉が気に病まないよう明るく言いながら和葉へ視線を向けた。
「千宙を呼んだから俺が帰るまで一緒に待っててくれ」
「……分かったわ……」
不安は拭えないのだろうけれど湊が落ち着いていることを感じ取ったのか和葉はそれ以上何も言わずに頷いた。
そんな二人のやり取りをよそにリビングでは詩音が大好きなアニメ映画に夢中になっていたけれど湊が出掛ける支度を始めたことで詩音は状況を察したらしい。
「パパ、どこいくの? おでかけ、しおんもする!!」
出掛けるなら自分も一緒に行くと言って勢いよく立ち上がる。
「詩音、駄目よ。パパはお仕事なの」
「えー? だって、きょうはおやすみのひだよ?」
不満そうに頬を膨らませる詩音に湊は少し困ったように笑った。
「ごめんな、急に仕事が入ったんだ……なるべく早く帰るからママと千宙と一緒に待っててくれるか?」
「ちひろおにーちゃんくるの?」
「ああ、もう少ししたら来るよ」
それを聞いた途端、詩音の表情がぱっと明るくなる。
「わかった! まってるね!」
「詩音は良い子だな」
湊が詩音の頭を優しく撫でると詩音は嬉しそうに笑いながら湊にくっついていった。
千宙と入れ違うように湊は家を出て行き、その背中を見送った和葉の胸には言いようのない不安が重くのしかかっていた。
それでも詩音の前で不安を悟られるわけにはいかないので、いつもと変わらない笑顔を作っていつも通りに過ごす。
そんな中ふいにスマートフォンが震えて画面を確認すると、そこには里菜からのメッセージが届いていた。
《和葉さん、明後日時間あるかしら?》
その文章を見つめて和葉はほんの僅かに目を伏せる。
《はい。ちょうど私も里菜さんにお話ししたいことがあるので、会いたいです》
送信ボタンを押した指先は僅かに震えていた。
(次は、何を探るつもりなんだろう……きちんと話して……もう、終わりにしないと)
そう覚悟を決めると和葉は暫くの間、里菜とメッセージを交わし続けた。
一方その頃、湊は真宙を伴い実家を訪れていた。
父親の私室の前で立ち止まると真宙が一礼してから扉を開く。
「会長、社長をお連れしました」
そう告げて二人が父親の私室へと足を踏み入れたその瞬間だった。
「湊、お前は何てことをしたんだ!!」
父親は湊の顔を見るなり手にしていた本を勢いよく投げつけた。
湊が身じろぎ一つせずそれを避けると床に落ちた本が鈍い音を立てた。
「社長、どうか落ち着いてください」
すぐさま真宙が間に入ろうとするも、父親は怒りを露わにしたまま真宙を睨みつけた。
「うるさい! 真宙、お前は下がっていろ!」
「……真宙はこの場に同席させる。それが無理なら俺はアンタと話をするつもりはない」
「貴様……!」
父親は拳を握り締めるも湊の表情は変わらない。
結局真宙を退室させることを諦めた父親は苛立ちを隠そうともせず二人を睨みつけた。
「どういうつもりなんだ!?」
「何が?」
「結婚だ!」
父親の怒声が部屋に響く。
「あの女と勝手に籍を入れただろう!!」
その言葉を聞いた瞬間湊の目が鋭く細められた。
「あの女……? 俺の妻を、“あの女”などと言うな」
「何を言っている! お前は鳴海家の跡取りなんだぞ! 結婚相手について私に相談もせず勝手に籍を入れるなど――」
「結婚に関しては前から言っていただろう。俺は俺が思う相手としかしないって」
「そんな我が儘がまかり通ると思うな!」
「我が儘? 俺は俺のやりたいようにやっているだけだ。父親だからって俺の将来を決める権利があるわけじゃないだろう?」
「お前は鳴海家の跡取りだ! 私の意見に従うのは当然だろう!」
「前にも言ったはずだ、俺はアンタとも鳴海家とも関わりを断つ」
「何だと……?」
「俺はもう鳴海家の跡取りでもない。アンタの息子でもない。今日はそのことを改めて話しに来ただけだ」
「貴様……本気で言っているのか?」
「社長の座も降りる。俺の後は大我に継いでもらう。もう引き継ぎも済ませてある」
「……何もかも勝手に決めおって……!」
「現社長は俺だ。アンタは“会長”という肩書きだけで、もう経営からは退いている。アンタに相談する義理もない。俺が自分のことをどう決めようが問題ないだろう?」
「ふざけるな! 会社をここまで大きくしたのは私だ! お前を育てたのもこの私だ!」
その言葉に湊の表情が僅かに変わる。