この作品はいかがでしたか?
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俺は小さい頃から洋菓子店で過ごしていた。
父の作るふわふわのスポンジケーキに、
母たちが一生懸命育てた牛のミルクで作った乳製品、
仕上げに兄のフルーツソースでやっとひとつのケーキが完成する。
俺はチョコレートを単体で、少しだけ売らせて貰っていた。
材料も見た目もアシスタントも、
全部こだわり抜いて作った俺のチョコレート。
でも、あの日を境に、俺のチョコが店頭に並ぶことはなくなった。
mob 「ねーねー、いるま裙ってチョコ売ってるんでしょ?」
「お店につれてってくれない?」
紫 「え、なんで、」
mob 「バレンタインで好きなこにあげたいの!」
紫 「そういうことなら、まぁ、」
でも、着いた途端その女は顔を顰めた。
mob 「ねぇ、これ一粒400円とかマジで言ってる?」
紫 「大マジだけど」
mob 「たかがチョコなのに高すぎじゃね?GODIVA並みなんだけど、」
紫 「まぁ、それだけ手間かかってるし、」
mob 「知り合い料金とかできない?」
紫 「うち、そういうのやってないから」
mob 「あーあ、期待して損した、たかがチョコだよ? ( 笑」
紫 「たかがじゃ、、ッ」
mob 「もーいーわ、帰る、この話は忘れて」
紫 「は、、っ、?」
あんな事、忘れられるわけない。
自分たちのチョコを、芸術をバカにされて。
「たかが」なんて言われて。
努力をないものにされて。
勝手に文句言って。
「たかが」努力もできない一般人に、そんな事言われたら
そりゃあチョコも売れない。
がっかりしてくれる人もいた。
兄だってそのうちの1人。
だけど俺は、ショコラティエを一度やめた。
コメント
2件
👍️続きがめちゃくちゃ楽しみです!