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暗い路地。微かに光る街灯は殆ど消えかけ不気味な静けさ。
血生臭い匂いやタバコの独特な匂いが広がっている
水色の髪に中国の伝統衣装である旗袍を身に纏い桃饅頭を片手に持つ少年。
突如、その少年頬の横を何かが掠れた。
「啊?」
頬を伝う熱を帯びた赤い液体。
自身の顔に傷を付けられた事を怒り、後ろを振り向けば見覚えのある姿が目に入る。
此方を裏切った元仲間、裏切り者の男が銃を持って佇んでいた。
仲間、とは言ってもあくまで別陣営担当の奴だったので個人での面識は特にいってない。
ただ処分用のブラックリストに顔が載っていたから記憶にはある。
仲間を裏切って情報を敵グループに流し込んだだったっけ。
この裏社会には所属する際、仲間との忠誠を誓う盃と共にもう一つ絶対守らなければならない教えがある。
『自身の命の為に仲間を裏切る事は死を意味する』
まぁ、つまりは仲間を裏切ればすぐ死ぬぞという忠告を述べたものだ。
覚えていた情報を呟くと裏切り者は一瞬驚いた顔をした後喜ばしいと言った表情で口角を上げた。
「ははっ、此処らじゃ有名なほとけ様に顔を覚えて頂けるなんて光栄だな」
男は笑いながら此方に歩みを進め僕の頭に銃を突き付ける。
常人ならばこの時点で肝を冷やす所だが僕は至って冷静に頭を働かせる。
頭、脇、足何処を見ても銃を突き付けた時点で勝利を確信しているのか全てがガラ空きだ。
こんなもので僕を殺せるなんて大間違いだ。勘違いも甚だしい。
油断はどんな時もするなってこの裏社会で教わらなかったのだろうか。
本当、頭の悪い奴。
次の瞬間、僕は即座に銃を突き付けられた頭を下げ、周り回し蹴りを男の首にくらわせる。
男は蹴りの衝撃で倒れ込むと同時に自身が持っていた銃を地面へと手放す。
僕はその銃に手を伸ばし先程の男と同様、頭に銃を突き付ける。
こうして、一瞬にして僕と男の立場は逆転した。
冷ややかな目で見つめ銃を突き付ける僕を見て男は座り込んだまごくりと喉を鳴らし。
ゆっくりと口を開いた。
「っ…殺さないでくれ!頼む!!金はいくらでもやる!
今所属してるグループの情報も教える!お前らのとったら必要な情報だろ?だから、な!?」
情けなく地面に頭を擦り付け掠れた声で僕に命乞いをする男。
僕はそんな男を見てただ一言、言い放った。
「仲間を裏切る様な奴を逃す訳ないでしょ。死んで償え」