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こちらの作品はirxsのnmmn作品となっております
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ご本人様とは全く関係ありません
第1印象?
俺からすりゃお前は、
金払いのいいアホみたいな客。
今思えば怖いよねー……って、ぉわ。
……あー嘘、嘘だから。だから一旦どけ。な?
ったく、重いわ。
あれがなきゃ、お前とこうできてないって
ちゃんと思ってるよ。
あれはね、
まだ俺がキャストだったとき。
……え?
今はキャストやってないのって?
あー……色々あって引退したんだよね。
今はほとんど裏方。
でも、たまには接客したいな〜、みたいな?
そう見えない?ひどいな。
これでもNo.1まで上り詰めたんだから。
確かその時もNo.1だったはず。
俺にはちょっとした秘密があったからね。
聞いてくれる?
その日は、
珍しく新規が来る日だったんだ。
常連じゃなくて、
完全に初めましてのお客様。
だからまぁ、
いつも通り準備してたんだけど
何を隠そうその人、
初回のくせにね───
「バニー服!?」
アニキの口から飛び出した言葉に、
思わず少し大きな声が出た。
すると目の前のアニキは、
うるさいと言わんばかりに
わざとらしく耳を塞ぐ。
「声デカぁ……」
「いや、だって!
初回でバニーとか聞いたことないんだけど!?」
俺の経験上、
コスプレなんてオプションは、
ヤるときに邪魔だし、
その割に値段は弾むから頼む人が少ない。
そんなマイナーなオプションを付ける客なんて、
さぞ金持ちな人なんだろうと思えば、
またアニキの口から驚くべきことが告げられた。
「俺の友人なんやけどさ」
え、友人!?
アニキに友達なんていたの!?
「あだっ」
ぺしっ、と軽く頭を叩かれる。
「何変なこと考えてるん」
「考えてないし」
絶対言ったら、給料から引くでしょ。
あとげんこつもとんでくる気がする。
地味に……いや、結構痛いんだよ、あれ。
口が裂けても考えてますなんて、
言えるわけないじゃん。
ふてくされたように返すと、
アニキは「ほんまか〜?」なんて言いながら、
再び奥をゴソゴソと漁り始めた。
「店について聞かれてん。
したら、今度来る〜言うてさ」
それが今日なんよ、と
アニキは特に気にした様子もなく、
奥から俺が今から着るのであろう衣装を
持ってくる。
「あ、あった。ほい」
「いや、ほいじゃなくて……」
押し付けるみたいに渡された
黒いバニー服とタイツを受け取りながら、
俺はそのままずい、とアニキへ身体を寄せた。
「そいつ何考えてんの?
初回だよ?普通もっとこう……
無難な感じから入らない?」
「知らんわ。
でも向こうが着せたい言うたし」
アニキの顔は、
何か文句でも?とでも言いたげだった。
「いやいや、
だからって通す?新規でしょ」
「金払い良かったから」
「うわ最低」
「これが商売なんでね。
何とでも言え」
けらけら笑うアニキをじとりと睨みながら、
小さくため息を吐く。
この人は、
俺が働いているバーのオーナーだ。
キャストの許可と、
相応の金。
その二つさえ揃えば、
本番すら許される。
そんな多少イカれた店の秩序を、
なぜかきちんと保っている人。
まぁ、
だからこそこの店は成り立ってるんだけど。
キャストのギャラもいいし、
こちらとしてもありがたい話ではある。
……とはいえ。
「いやでも、
初回でバニー指定は普通に怖いって……」
「大丈夫やって。
別に悪いやつやあらへんから」
「別にって何。別にって」
「さぁ?別には別にやで」
そんな会話をしていたのが、
ちょうど一時間くらい前。
そして今。
俺は渡された衣装に着替えて、
指定された個室へ向かっていた。
……普通に寒い。
歩く度に、
やたら露出した太腿に空気が触れる。
黒のバニー服に、
ミディアム丈の網タイツ。
首元には付け襟とリボン。
頭には、
服と同じ色をしたウサ耳カチューシャ。
……どこまで指定されてんの??
鏡見た瞬間、
思わず真顔になったんだが。
いや、似合う似合わないで言えば、
まぁ仕事柄こういうのも着慣れてるし、
どうせ似合うんだろうと思ってたけど。
思ってたけどね??
問題はそこじゃない。
「……もしここにアニキの趣味入ってたら、
俺ちょっと引くんだけど」
ぼそっと独り言を零す。
でも、
あの人ならやりかねない。
知り合いだからって、
変なテンションで追加しててもおかしくないし。
……いや。
待って。
もしかして普通に、
客側が全部指定した可能性ある?
だって初回でバニー指定するような奴だし。
しかも。
「VIPルームって……」
思わず立ち止まる。
この店のVIP個室って、
簡単には使えない。
金額もそうだけど、
基本、太客か特別扱いの客用。
それを初回で案内されるって、
普通じゃない。
「……やっぱガチで金払ってるな、これ」
じゃなきゃ説明つかない。
うん。
納得したくないけど、
納得するしかない。
こんだけ初回から金払いいいんだったら、
常連になった場合、
俺の給料倍ぐらい増えそうだよな……。
……っし。
いっちょ頑張りますか。
そんなことを考えているうちに、
目的の扉の前へ辿り着いた。
コンコン、と軽くノックする。
すると少し間を置いてから、
中から低い声が返ってきた。
「どうぞ」
……声、
思ったより若い。
というか、
なんか落ち着いてる。
酔っ払い特有のテンションもない。
少しだけ警戒心を強めながら、
俺はゆっくり扉を開けた。
「へぇ……似合っとるやん」
アニキと同じ関西弁の口調で、
ゆるりと笑った深い海みたいな青髪。
年齢は多分、
俺とそこまで変わらない。
けれど、
どこか落ち着いた空気を纏っていて。
その視線が、
頭の先から足先までゆっくりと向けられる。
じっと見られるたび、
薄く皮膚を撫でられているような感覚がした。
「どうも。
本日はご指名ありがとうございます」
とりあえず、
いつものように笑う。
慣れた営業用の笑顔。
それを見た男は、
少しだけ面白そうに目を細めた。
「へぇ。
ちゃんと〝ないこ〟やね」
「……?それは、どういう……」
「思ったよりプロやなって意味」
何それ。
褒めてるのか、
探ってるのか分からない。
でもまぁ、
初対面の客なんて大体こんな感じか。
そんなことを考えながら、
俺はゆっくりソファへ近づいた。
「俺はいふ。アニキの知り合いやで。
これからよろしくな、ないこ」
これが、
俺といふとの出会いである。
コメント
2件
あ"あ"あ"ッ、😭😭😭😭😭 すぎ でずぅぅぅぅ‼️‼️💘