『なんか、懐かしいな…』
見慣れた街を歩きながら、俺は今まであったことを振り返っていた
今日、☓☓☓☓年☓月☓日は日本がワールドカップで優勝した日である
代表メンバーには勿論俺も含まれ、俺と共に戦場をくぐり抜けてきた青い監獄のメンバーも収集されていた
日本が優勝したことはまたたくまに世界中に広まり、ビックウェーブをおこしている
だが俺にとってワールドカップで優勝するということは、世界一のストライカーになるための通過点でしかない
まあ、嬉しいか嬉しくないかで言ったら嬉しいけど…
今や潔世一という名は世界一に広まっている
世界一のストライカーには潔世一がふさわしいなどと言ってくれる人もいて、また1歩近づいていると感じている
そんなことを考えながら歩いていると後ろから声が聞こえた
「…あの、潔選手ですか?」
潔選手と言っているところから俺のファンの人かもしれないと考え、後ろを振り向いた
その瞬間、
俺の腹部には銀色の凶器が刺さっていた
『は、』
「お、おまえが、悪いんだからな!お前のせいで、俺は…俺は!」
その男は何度も何度も凶器を俺に刺しつけた
そのたびにびちゃびちゃと赤黒い液体が体から流れていく
頭が真っ白になって何も考えられなれなくなってきた…
(やばいな、これ…)
カヒュカヒュと呼吸が荒くなっていく
ちらりと、男のフードの隙間から銀色の髪が見える
(俺何かしたっけ?なんでこんなことに…)
だんだん視界がぼやけていき、俺の意識はなくなっていった
『うわぁ!?』
『な、なんだ、夢か…』
なんかすごい怖い夢だった気がする
妙にリアルだった…
まだあの男に刺された腹部が痛む…気がする
『まー、夢でよかったな』
ひとまず安心した俺は、自分がどういう状況なのかをうまく理解していなかった
ベッドから降りようとすると…
ドン!
『ぎゃあ!』
足がつかずに尻餅をついた
『え、え、なんで』
(あれ?ベットってこんなに大きかったっけ?ていうか、)
『なんか手が小さい!?』
流石の俺もこれはやばいのではないか?と気付き部屋にある姿見に直行した
そこに写っている姿はもちもちとしたほっぺに、ぷにぷにの腕と足、そして、姿見の半分もないであろう身長
パット見、5歳くらい
『え、これって…』
信じられないけど信じるしかないのだろう
だってほっぺたつねったら痛かったんだもん…
『おれ、子供のころに戻ってるんだ』
潔世一、小さかった頃に逆行してました!
なんで時が戻ってるんだろうという疑問もあるが、何より俺はサッカーがしたかった
友達にもちょーがつくほどのサッカーバカと言われた俺をあまりなめないほうがいい
たった1日、されと1日、サッカーはご飯と同じくらい必要不可欠なものなのである
ということで思い立ったが吉日
俺はドタバタと階段を降りていった
「あら?よっちゃん今日ははやいのねぇ」
「お、もう起きたのか世一」
『かあ、お母さん!お父さんおはよう!』
『サッカーしてきてもいい?』
「ご飯は食べないのか?」
『お腹空いてない!お昼には戻るから!』
「わかったわ。気をつけていってらっしゃい」
『いってきまーす!』
俺はサッカーボールを持って家を飛び出した
そしてわかった
『ここ、どこ?』
ここは俺がもともと住んでいた場所ではないみたいだ
ということはここは埼玉ではないどこが…
『サッカーするには公園にいかなきゃなのに…』
どうしようどうしようとウロウロしていると、不意に誰かに「ねぇ、」と話しかられた
『え、君だぁれ?』
後ろを振り向きコテリと首をかしげる
話しかけてきたのは深緑色の髪の毛に、ぱっちりとした大きな目
(この子下まつげすごいな…どこかの暴言下まつげさんみたい…)
一瞬よぎった生意気な年下のことは無視して、その子の返事を待つ
「俺、糸師凛。君は? 」
『え、凛?!』
「?俺のこと知ってるの?」
『あ、えと…』
(え、凛なの?ほんとに?こんなにかわいい子が?まじで?)
どういうことかまだ整理できてないが凛が不思議そうな目で見てくるので視線に耐えきれなくなってしまった
『お、俺は潔世一!よろしく凛!』
精一杯平常心を保ったが、顔が変だったかもしれない…
「世一、さっきからウロウロしててすごい怪しかったよ」
『え!?ほんと?いや、あの公園に行きたかったんだけど…場所がわからなくて』
「ふーん、ここらへんじゃ見ないから新しく引っ越してきたのかな?」
「わかんないんだったら…俺が公園まで連れて行ってあげる!」
『ほんと?嬉しい!』
「そのボールサッカーボールでしょ?世一、サッカーするの?」
『うん!サッカー好きなんだ!』
「俺も好き!俺の兄ちゃんも好きだよ!」
『凛、お兄ちゃんいるんだ?』
「うん、世界一かっこいい俺の兄ちゃんなんだ!」
『へー、そうなんだね』
(凛のお兄ちゃんって言えば…糸師冴、だよな )
前の世界?では日本の至宝とまで言われてた存在
俺も冴と組んだことはあるけど、ぶっちゃけあそこまで完璧なMFは見たことがなかった
それに、プレイしてるときもものすっごく楽しかったな〜
そんな糸師冴の幼少期をみれる…これはとんでもないビックチャンスだな
そんなこんな凛と話しながら歩いていると、公園に到着した
「ここが公園だよ」
『連れてってくれてありがと!凛!』
(やっとサッカーができる!)
わくわくうきうきな俺の隣で、凛が「あっ!」と声をあげた
『?どおしたn』
「兄ちゃん!」
最後の一文字を言う前に、凛はダッと走って目の前の人物に抱きついた
視線を前に向け、その人物と目が合う
小豆色の髪に凛と同じバシバシの下まつげ…
糸師冴だ
「世一!これ俺の兄ちゃん!かっこいいだろ?」
『うん!かっこいい』
と表では言っておくが本音はちがう…
どちゃくそにかわいい!♡
(え、え、凛も天使だけど冴も天使じゃん!なんでこんなかわいい子達があんな凶暴暴言野郎になっちゃうんだよ!)
(よし、決めた。俺がこの子たちをまっすぐなかわゆいままでいられるように育てる!)
そう心の中で決心をしていると、冴から話しかけられた
「俺は糸師冴だお前は?」
『潔世一!凛とはさっき会って、公園まで連れてってもらってたんだ』
「そうだよ!兄ちゃん俺えらい?」
「ああ、人助けしたんだ偉いな」
そう言ってなでなでと凛の頭を撫でる冴
正直とてもずるい
(どっちも)
「…世一、お前サッカーするのか?」
『え?うんするよ』
「ふーん…」
「あ、じゃあ俺達としようよ!いいでしょ?兄ちゃん!」
「まあ…いいぞ」
『ほんと!?嬉しい!』
思わず嬉しさでニッコリと笑うと、二人はピキッとしばらく固まったあと
「兄ちゃんはすっごく強いんだよ!」
『そーなんだ…』
糸師冴、確かに前やったときは強かったけど…今は子供だしな…
まあ、お手並み拝見といくか…
『じゃーさ、俺と冴で1or1しようよ!』
「「!」」
「お前、絶対負けるぞ?」
『やってみなきゃわかんないじゃん』
『ね、いいでしょ?』
子供相手に向ける感情じゃないことはわかっているが…この小さい体でどれだけできるかも知りたいし…
なにより、ストライカーとして冴という獲物はご馳走だった
「はっ、負けても泣くなよ」
『そっちこそ笑』
「に、兄ちゃんは負けないんだからな!」
そう言って1or1はスタートした
結果は俺の圧勝
攻めでは5回中5回ゴールし、
守りでは5回中1回もゴールは許さなかった
(案外この体でもいけるもんだな…)
多少体力はないが、メタビジョンも使えるし体かま軽いぶん、好きに動く
(でも…ちょーとやり過ぎちゃったかなぁ…)
四つん這いになって悔しがる冴に呆然と立ち尽くす凛
流石に罪悪感を感じる…
これじゃあもう仲良くしてくれないかな〜などと悲しむ俺だったが…
「世一!どこに住んでるの?」
「おい、明日も来いよ」
何故かものすごくグイグイと来られています…
あの後も凛も合わせ何回か勝負したけど結果は俺の全勝
だけど二人は俺を嫌うどころか懐いたように思える
「世一の好きなタイプってなに?」
「そりゃサッカーのうまいやつだろ」
「!だったら俺と兄ちゃんしかいないね!」
「当たり前だろ、他になる気なんてサラサラねぇよ」
『あのーそんなにひっつかれると暑いんですが… 』
「「なんかいった/か?」」
『イエナニモ…』
何かこれから大変になりそうな予感です…
見てくださりありがとうごさいました!
これからどんどん他のキャラも登場させて世一愛されにさせていきますので、是非見てくださるとうれしいです!
次回【これは友達の距離じゃないのでは!?】
お楽しみに!
コメント
7件
めっちゃ好きですこの物語!! 続き楽しみにしてます!!🫶🏻️︎💞
可愛い!( _ ´ ཫ`)_トウトスギル…続きが楽しみ!