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「あゝどうしよう。今日も一人も客が来ない。」
飲食店をやっているA夫は、妻に言った。「そうねぇ、あなた頑張ってるのにねえ…」
彼らは以前、服飾の店をやって失敗し、今回はパブをやり、また失敗しそうだった。
何故客が来ないのかわからない。始めた頃は、毎日店には客が溢れかえっていた。
(料理だって不味く無いし、むしろ美味しい。酒も他の店より安く出しているのに…)妻は考えあぐねた。
しかし、彼は「占い」を信じすぎなのでは無いだろうか? A夫は、占いで全てを決める嫌いがある。そうしたら究極論は「あなたは死ぬと良いことがある」と言われたら、自殺でもするのか?しないだろう。そうしたら良い事だけ言われ、それが当たるようであれば、その占いは占いでは無く「予言」だ。
妻は不景気面をしている夫を見ながら考えた。
(そうだ、彼の接客の唯一の欠点は、占い好きが高じ、直ぐに、『死後の世界』や、『あの世は有るのか?』という話題を出す。)
この話題は好きな人はいくらでも話しがつき無いが、嫌いな人は話題にしたくない。しかし、見極めが大事で、好きか嫌いか外見ではわからない。
特に高齢者が客なら、この話題は「早く死ね」と言う風に捉えられるのだ。年寄りからこの話題を出してきたら、敢えて本筋は言わないで「そんな事話題にするには、お若過ぎますよ」ぐらいが丁度良いのだ。客は医者から余命の事を言われた可能性がある。
まともに相手になって恨まれるより「死んでからは楽しい事は無い」と思わせる方が医者のトークに勝つ道では無いだろうか?悪い医者は、まだまだ寿命があって、心配性の患者に余命を植え付け、高額治療と薬の話しをする。
妻は「ねえ、あなた、お客様が見えたら『随分お元気ですね。かかりつけはどちらの病院ですか?』って聞いて見たら。『酒なんか飲んだら死ぬ』って言うのは医者の常套句よ!」と言った。
夫は「実は俺も今同じ事を考えてたんだ。今度『滅多に飲め無い漢方リキュール』を出そうと思ってるんだ!」と同調した。
医師と飲食店の目に見え無い戦いで有る。トークが勝った方に利がある。