02\りんちゃん
私はりんという名前の猫を飼っていました。
りんは首に鈴がついた首輪をつけています。
ですが、りんは私が18歳になっていたときにはもう14歳でした。
りんはもうその頃にはチュールやキャットフードを少量しか食べれなくなっていました。
優しく撫でてあげると、嬉しそうに喉をゴロゴロと鳴らしたり、ニャーと鳴いてくれるんです。
ですが、小学校を越えたら部活やテスト勉強などでりんと遊んだり、りんに関われなかったんです。
りんは私が辛いときも一緒にいてくれました。
辛いときは、傍に寄って心配そうに鳴いてくれるんです。
りんが嘔吐を繰り返し、私は急いで動物病院へ連れていきました。
「もって1ヶ月です。りんちゃんと仲良くしてあげてください。」
私は先生の言葉で頭が真っ白になりました。
その日から、りんちゃんに日頃からあまり関わらなかったことに後悔しました。
1ヶ月後、りんは意識が朦朧としていました。
車にりんを乗せ、動物病院に急いで向かいました。
「寿命ですね。」
この言葉を聞いた瞬間、私はまた頭が真っ白になりました。
先生の話す言葉がつらつらと入ってきます。
ですが、理解できません。
りんは意識を失っても呼吸を続けていました。
ですが、数分もすると呼吸は途絶えました。
私は目からこぼれる涙を拭き、最後にりんのお腹を撫でてあげました。
数ヶ月後、私は何にもやる気が起きませんでした。
ある日、大学にも行かなくなり、私は引きこもってしまいました。
それが2年程続いたとき、高校の時の友達が来てくれました。
「あんた、大丈夫?―」
心配そうに私を見つめる友達の目は、りんのように優しい目つきでした。
友達は靴を脱ぎ、私の隣に座りました。
「りんちゃんのこと引きずってるんでしょ。仕方ないよ。14年も一緒にいれたんだし、そんなに引きずってもりんちゃんが安心して虹の橋を渡れないよ。」
私は友達の言葉ではっとしました。
幻聴なのかは分かりませんが、りんが首につけていた首輪の鈴の音が聞こえた気がしました。
友達は覚えてはいませんが、こう語りだしました。
「人間にも、動物にも、機械にも、寿命はある。だから仕方ないことだよ。」
無神経な友達の言葉にむっとしましたが、間違ってはいないので何も言い返せませんでした。
そう思うと気持ちが楽になりました。
りんは本当に私が好きだ。
こう思うと、日々が楽しくなりました。
ええ、私のせいで虹の橋を渡れなかったりんも、今は安心して渡っていてほしいです。