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曽野舜太side
だいちゃんが戻ってきた。なんとも言えない苦しそうな表情で。
「次舜太だって。奥の部屋にじんちゃん待ってるから。」
「……わかった。行ってくるね。」
何を聞かれたかは特には聞かない。だって顔みたらだいたいわかったんやもん。聞かれたくないやろうし。答えたくないやろうし。
「じんちゃーん入るよー?」
「うん。いいよ舜太。」
中に入るとじんちゃんは1番奥のソファに座っていた。だいちゃんの顔があまりにも辛そうだったため不安だったがいつも通りのじんちゃんに少し安心した。じんちゃんに促されるままじんちゃんの正面のソファに座る。
「よし。じゃあ早速質問ね」
「う、うん……。」
「ちょっとそんなに固くならないで。舜太がなにか悪いことしたとかじゃないから。それで質問。最近よく俺の事見てる?」
「え……。なんでそう思うの?」
「最近舜太だけじゃなくてほかのメンバーからもよく視線を感じるんだけど……。しかも普通に見てるだけじゃなくてなんとなくこう……怖いというか。」
「そ、そうなん?気のせいやと、俺は思うけどなーー」
「誤魔化すの下手くそか。」
あまりの大根役者にじんちゃんは笑う。いつもはキリリッとした眉毛がふにゃりと下がる。あぁ、その笑顔俺だけのにしたいな。
「それで?なんで見てるの。普通に理由気になるから教えて?」
「いやーー、なんというか。うーんそうやねーー、うんうん。」
「なんだよ。」
いい理由が思いつかずひとりでうんうん言ってたらまたじんちゃんが笑ってくれた。さっきよりも豪快に全身を使って。じんちゃん笑うと全身でそれを表現するから可愛いんよな。それも独り占めしたい。
あぁ、気持ち伝えたい。伝えたら弟じゃなくて1人の男として見てくれるかな。
でもやっぱり迷惑よな。じんちゃんは俺のことをそういう意味で好きではない。付き合いたいって色んなことを一緒にしたいって思ってるのは俺だけ。だったら伝えない方がいいに決まってる。だからこれだけ。これだけは許して欲しい。
「じんちゃん。ちょっとだけハグしていい?」
「うぇえ!?全然いいけどどうしたの?」
急な提案にびっくりしたじんちゃんはちょっと情けない声を出して驚いた。そんなとこも全て可愛い。愛おしい。
俺がじんちゃんの目の前に行くとじんちゃんもソファから腰を上げてくれた。年上だけど身長は俺より小さいじんちゃん。必然的に少し上目遣いになる。大きな瞳に見つめられると心を読まれているようで落ち着かない。何も言わずただ抱きしめる。今だけは俺の、俺だけのじんちゃん。
「しゅんた……?」
「……。…じんちゃんごめんね。」
「なにが?」
「……ううん。なんでもない。」
じんちゃんはそれ以上何も聞かずただ俺の背中をとんとんし続けてくれた。その一定のリズムが心地よくて。じんちゃんの匂い落ち着く。今、じんちゃんを独り占めにしてるという事実が嬉しくて仕方ない。もっと深くじんちゃんを感じたくてじんちゃんの肩に顔を埋め、肺いっぱいにじんちゃんの匂いを取り込む。何も言わずにとんとんしてくれるじんちゃんが愛しすぎて。思わず抱きしめる力が強くなる。
「……っ、舜太ちょっと苦しい」
「……じんちゃん。じんちゃんじんちゃん!!」
「ちょ、ちょちょ!危ないって!」
抱きしめたままじんちゃんを揺さぶるといつもみたいに大袈裟にリアクションしてくれる。俺の背中をぎゅっと握ってそれに耐えようとしてる。もうほんとに可愛いんだから!!
「じんちゃんありがとう!!俺頑張る!」
「お、おお、頑張れ…?」
「次じゅうちゃん呼んでくるね!」
「あちょっと舜太!まだ話し終わってな……」
焦ったじんちゃんの声は気合い入りまくりの俺には届かなかった。ごめんねじんちゃん!
そうやそうや!まだじんちゃんが誰かのものになったって決まったわけじゃない!じんちゃんに迷惑かけることは絶対にしないけど俺もっとじんちゃんに意識して貰えるようにがんばる!
舜太ならできる!えいえいおー!!!
コメント
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うわあ、もう……このハグのシーン、めちゃくちゃ胸にきました。じんちゃんの「うぇえ!?」って情けない声とか、とんとんしてくれる優しさとか、全部が愛おしい。舜太の「今だけは俺の、俺だけのじんちゃん」っていう独白が切なすぎて、読んでてこっちまで苦しくなった。でも最後の「えいえいおー!」で前向きに締めるのが、ほんとに舜太らしくて好きです。のりもちさん、このじれったい距離感の描き方、天才すぎます…!