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kgfwって…いいよね………
・本人様とは一切関係ありません。全て限界オタクの妄想です。
・年齢操作あり(㎏とfwは同い年)
・誤字脱字、語彙力のなさ、一部文章がおかしいかもしれません
ずっと昔から、隣に居たアイツが気にくわなかった。
整った綺麗な顔。琥珀のような輝きを含んだ茶色い瞳。歩く度にさらりと揺れるミルクティー色の髪の毛。初めて会った時はその容姿たちを何とも思っていなかったが、付き合いが長くなればなるほど視界に入れたくないほど醜く感じた。
身体は弱いし運動も出来ない。たまに俺の力を借りないと事を済ませられないくらい、出来損ないでちっぽけな人間。そのくせ大人の関心を引くのは気持ち悪いほど上手。
テストではほぼ満点を毎度当たり前のようにとり、図画工作の時間ではいつも褒められて。先生クラスメイト関係なく、誰かが困っていたら率先して手を貸す。そして極めつけは無邪気に見せる純粋そのものな笑顔。ハヤトは『良い子』を擬人化したような存在で、誰もに好かれていた。
それが、それがそれがソレが。アイツが完璧に立ち回るせいで、俺の存在価値は消えた!!
ハヤトより成績が低ければ工作も上手くできない。誰かの手伝いをしようとすれば片っ端からハヤトに全部取られて、唯一勝っていた大好きな体育も「遊びばっかり磨くのやめてくれない?」と母にため息を吐かれて、
「ハヤト君は凄いのにね」
それが、いつも口癖だった。
俺だって頑張ってるのに。必死に勉強して、遊ぶ時間も削って家事も手伝っているのに。
ハヤトはやとって。親も先生にもずっと比べられて、努力をしていると訴えかけても嘘だと否定されて。
結局俺はハヤトの引き立て役に過ぎなかった。だからこそ、それに気が付いた時、笑顔で話しかけてくるアイツが憎くて憎くて仕方がなくて、お前もどうせ俺の事を良いポイント稼ぎだとしか思ってないんだろうと、心の中でハヤトの事をハサミで刺した。
何かの縁で死んでしまえばいいのに。そしたら比べられることなんてないのに。そう何度も何度も、空想のアイツを殺して。街の七夕祭りに一人で行った時、短冊にはそんな願いを沢山書いた。
だからこそ、アイツが別の中学に進学していった事が何よりも嬉しかった。
小学生時代の劣等感を忘れて延び延びと自分らしさを謳歌する時間は本当に楽しくて、成績はみるみるうちに上がっていき、学年1位を取った時母はやれば出来るじゃないと大好きな天津飯を作ってくれて。担任は「不破は運動神経が良い」と褒めてくれた。
徐々に取り戻していった自尊心は俺を強くさせた。成績トップを維持しながら第一志望だった高校にも無事受かることが出来て、アイツはというと色々問題を起こしたせいか志望校に落ちたと風の噂で聞き、どうやら第一志望よりも大幅に偏差値の低いところに進学するみたいで。ニヤリと上がっていく口角を隠すのには少し手間取った。
成功した自分と、失敗した君。どっちが上かなんて明白。
あぁ何だ。こんなにも弱かっただなんて。何故あの時超すことが出来ずに苦しい思いをしていたのか、今となっては笑い話に出来るくらい気分がよかった。
だが、人生何が起きるとはわからないもので。
入学式。生徒代表挨拶で演壇に立った生徒に目を見開いた。
整った綺麗な顔。琥珀のような輝きを含んだ茶色い瞳。歩く度にさらりと揺れるミルクティー色の髪の毛。
そして、あの笑顔よりも控えめに微笑む、口角。
手のひらに爪が食い込むくらい拳を握りしめる。
まだ決着は付いていなかった。俺が必死に勉強して受かった高校は彼にとって滑り止めでしかなかったのだ。そして、あそこに立っているという事は………考えたくもない。
いつの間にか終わった式の後に発表されたクラスはアイツと同じ2組だった。名前順で決められた席は嫌でも醜い姿が目に入る位置で下唇を噛んだ。
それぞれが席に着き自己紹介が終わった後、アイツの周りには最初から決まっていたかのように人が集まっていた。加賀美インダストリアル次期代表取締役。首席入学。昔よりも人当たりのよさそうな顔つき。喋りやすい相槌の仕方。盗み聞きしていた会話達に能力の差を間接的に感じさせてきた。
また、また負けたんだ。アイツに、あんな奴に。新しい生活が始まるというのに、なんて幸先の悪いスタートダッシュ。
またあんな思いをしなければならないのか?せっかく掘り出すことが出来た存在価値をもう一度埋められて?色んな奴らに比べられて?
どうしたら、どうしたらいい。どうしたらアイツに…っ
「………あぁ、そうや。おんなじことしてやればええやん」
6年間ずっと感じてきたプレッシャー。それがアイツと共になくなった瞬間、すべてが上手くいった。
なぁんだ、めちゃくちゃ簡単な作業やん。材料は揃っていて、後は行動に起こせばいいだけだなんて。
「どうしてやろぉかなぁ………」
下がっていた口角が再び元気を取り戻す。ギラリと光るアメジストの瞳はターゲットを映していた。
「じゃぁ成績表返すぞー」
放課後。その言葉に教室がざわざわと音を立てた。
担任に渡される紙切れにガッツポーズを決める人やその場で崩れる人がいる中、自身の席でじっと息をひそめるように表を確認する彼を横目に自分もそれを受け取りに行った。書かれていた点数と順位たちは想定通りだった。
……まぁ、そうやろうなぁ。
「今回も不破がほぼ満点で学年一位だ。もう高校2年生なんだから、お前ら不破を見習えよー」
そう言いながら担任が退出していった後、俺の机の周りにはいつも通りクラスメイトが群がってきた。
「お前本当にすげーよな!不良のくせに学年一位とかえぐすぎw」
「それな。入学して早々髪染めて、授業はほとんど寝てるくせに俺の点数の倍ってw。ほんと何喰ったらそんな点数とれんの?」
「顔も良いとかマジで最強じゃん。羨ましー!!!」
「…にゃはは。まぁそれなりに頑張っとるしなー」
そう適当にあしらいながら席を立って一直線に斜め前の席へと足を進める。
そこに座っていたのはミルクティー髪の”アイツ”だった。
「なぁ、加賀美くんは今回どーだったぁ?」
自分の成績表をひらひらと見せながら、我ながら気色の悪い笑みを目の前の彼に送る。俺の気配にパッと顔を上げた彼は何か言いたげな表情を微笑みに変換して口を開いた。
「…悪い点数ではありませんでしたよ。不破さんよりかはアレですが」
うん、知っとる。だってさっき見たし。
「そっかぁ~!まぁ加賀美くん俺より頭いいし、次は絶対抜かされるんやろうな~!」
嘘。次も絶対抜かさせないし、俺の上にお前が立つビジョンは最初からない。
「そう、ですね。…次は絶対に勝たせてもらいますよ」
「にゃはは。望むところやで」
「……まぁ、次も俺が勝つし、頑張っても意味ないんやけどな」
トーンを低くして囁くように放った言葉は彼にどんな感情を与えたのだろうか。毛布のような笑みが一瞬引きつったのを見逃さなかった。
だってそうやろ?この会話何回目やと思っとるんよ。首席入学して、次期代表取締役であるアンタが、尖りまくっとる不良に負けるだなんて漫画の世界でもないんとちゃうん?なぁ、
「みなと帰ろー」
「…………おん、今行くわぁ。」
クラスメイトの声に黒い感情が引く。彼は黙ったままだった。
「じゃ、またね!加賀美くん」
「……えぇ。また明日」
作戦を思いついてすぐ床屋に行って髪を染めた。
出来るだけパッと見て染めてると分かるよう、白髪に赤紫のメッシュを入れて。制服も第一ボタンを開けてネクタイも崩し、授業は本当に眠いから寝てるけどそれも不良っていう材料の一つにして、出来るだけ努力の跡を表に見せない。
そうして出来上がったのが今の俺、不破湊だ。
正直最初はこんなことで上手くいくなんて思っていなかった。どんなことをしても超えられなかった彼を超えるなんて不可能に近いと思っていたから。
だけど現実は違った。神様は俺に味方してくれた。
それは高校一年生の何度目かのテストで、俺が初めて彼を負かしたのが主なきっかけ。それまで学年一位だった彼を引きずり降ろし、俺がその座に座ったことで順位が逆転した。彼がいる学校で自分が学年一位だと知った時、上りに上がりまくった口角を抑えきれなくて、咄嗟に手で口を隠すくらい嬉しくて気持ちよくてたまらなくて。
そこからはもうトントン拍子だ。
昔と何も変わらず弱かった彼は一度の失敗で雪崩のように落ちてしまった。父親の会社の跡取り息子がまともに勉強してないように見える不良に負けて、プレッシャーに押しつぶされて、何も上手くいかなくなって。そこから山の頂上まで登れずに今に至る。
「ははっ、………ばーか」
夕方ごろの帰り道を歩きながら、石っころを蹴って呟いた。
クラスメイトと寄ったスタバで買ったアイスコーヒーはもう氷が溶け切ってしまって、薄くなった味が何とも言えない。蓋を開けて一気に喉に流しこんだ時、前から歩いてくる女性に見覚えがあった。
確か………あぁ、アイツの。
「……こんばんわぁ」
「…あぁ!不破さんのところの!……確か湊さんだったわよね。元気してた?」
やっぱりそうだ。記憶の端にあった姿と、どことなく同じような雰囲気で大体察した。
ふんわりと巻かれたミルクティー色の髪、加賀美くんの母親だ。
「お母さんから色々聞いてるわよ。毎度学年一位だって、すごいわね」
「…いえ。俺なんかより、ハヤトさんの方がずっと賢いですよ。クラスを一人でまとめてくれたりして」
「そうなの?……あの子、志望校落ちるどころか成績も上がらなくて………本当、湊さんを見習ってほしいわ」
ため息交じりの比較言葉。嫌になるほど昔をおもいださせてくれた。
俺が昔味わった過去を今アイツが味わっているという事が明白にわかる。
家でも俺と比べられとるんやろ。
なぁ、そうやろ?
奥に見える角からチラリとあの髪色が顔を出していた。
そこで黙って聞いていても苦しくなるだけやのに。逃げることもできない、弱い人間。
「………ありがとうございます」
あの弱弱しく発した「また明日」に、とんでもない優越感を得ていると知ったら、彼はどんな表情を浮かべるのだろうか。
体育の時間が終わり、ほとんどのクラスメイトは片付けをさぼって体育館を後にしていった。
自分も帰ろうかとペットボトルを手に取ると、倉庫からメガネをかけた女の子出てきたのが目に入った。何やらきょろきょろと帰ろうか帰らまいか迷っているような挙動に少し違和感を覚える。
「どうしたの?なんか困っとる感じ?」
「あっ、不破くん。……えっと、片付けしてたんだけど……加賀美さんが「あとは自分がやるから」って言ってくれて……なんか先に帰るの気が引けちゃって……」
えへへ、と笑う彼女の頬はリンゴみたいに紅く染まっていた。
あ、絶対コイツ加賀美ハヤトの事好きやん。そう直感させられるくらい
「…俺手伝ってくるから、気にせず先帰っときな」
アイツのその優しさに、少しイラついている自分がいた。
久しぶりに入った倉庫は扉付近だったが少し埃っぽかった。掃除が行き届いていないのがよくわかる。例のアイツは俺の存在に気付かず、マットが積み重なったところにボスンと座っても尚、金属製の棚にせっせとボールの入った箱を一つずつ閉まっていた。
気にくわない。結構な量の片づけを自分だけでやると優しさを見せて、他の所で俺に勝とうとする。
本当に、気にくわない。
「………あえー?加賀美くんまだ帰っとらんかったん?」
出来るだけ明るい声を掛けると、アイツは不意打ちを食らったようにビクッと肩を跳ねさせた。
「……あぁ、不破さんでしたか。誰かと思いましたよ」
やはり振り向いたアイツはふわりと微笑む。
昨日俺に嫌味を言われたというのに、誰にでも優しくして決して本性を見せない。……ほんまに嫌いやわ、そういう所。
「……なぁ、さっきの子。加賀美くんのこと好きやで」
「…鈴木さんの事ですか?」
「おん、勘やけど。……付き合っちゃえば?加賀美くん顔ええし、絶対にくっつくって」
「…勘なら、おそらく気のせいだと思いますよ。それに、私は彼女の事を恋愛的な目で見てませんし」
「……それは鈴木さんの顔がタイプじゃないから?」
「………そんな事聞いてどうするんです?」
「別に? ただ気になるだけよ。性格が悪いとか?胸が小さいから?それとも女性として見れないから?なんで付き合いたいって思わへんの?」
「…本当にどうしたんですか」
「はよ答えろよ」
「……素敵な女性だと思ってはいますよ。優しい一面もありますし。……今はただ、彼女という人が欲しいとは考えた事もなくて」
それに心の中で舌打ちをする。裏の顔を見ようとしても、仮面を付けてガードされて内心イラっとした。
何でこんなこと言われても表情変えないんよ。なんで、ずっと優しい笑顔を見せてくるん。本音を零さんで、良い子ばっかり演じて。…大嫌いやわ、そんな人間。
「………ほんま出来損ないやなぁ、加賀美くん」
「…は、」
「志望校落ちて、滑り止めで受けた所で首席取れたと思ったら、不良に学年一位を取られて。母親にも比べられとるんとちゃうん?見習ってほしいわ~って。やから焦っとるんやろ」
「俺より下になっちゃったから。だからそーやって場にいない他人にも 優しくして、内面の良さ磨いて他の事で俺の上に立とうとしとるんやろ」
「ほんま、弱い人間」
その瞬間、ぐっと胸ぐらを掴まれた。座っていた体を無理矢理立たされる。
あぁ。怒っとる、この人。見下ろされる形で前髪の隙間から見えた黒い瞳と怒りを抑えているかのような無表情がそれを物語っていた。
かと思えば、ハッと暴走したロボットが我に返ったかの様に掴んでいた力が段々抜けて弱弱しく口を開いた。
「っ、すみませ、」
「………謝んなや」
「…え?」
「昔から本当にそうよな。いい子ぶって、猫被って、耳障りの良い言葉ばっか言って。いい加減本音で話せよ。思った通りのこと口に出せよ。「お前なんか昔は俺の風下にも置けない奴だったのに偉そうな口叩きやがって」って。言ってええよ?別に告げ口せんし。だってアンタ俺の事嫌いやろ?いっつも嫌味ばっか言われて、マウントとられて、そのくせ文句の一つも吐けなくて。そろそろ限界来とるんとちゃうん」
感情に振り回されろよ、加賀美ハヤト。そうしたらお前の良いところなんか全てなくなる。優しさなんかなくして、ついでに自尊心も失って、もっと昔の俺みたいに苦しんでもがいてしまえばいい!
「…………そうですね。そろそろ本音をぶつけなければならないと思っていましたし、丁度いい」
「…はは、丁度いいとかあるん、……は、え?」
襟を掴んでいた片手を頬に添えられ、もう片方は腰に、ずいっと顔を近づけられる。鼻の先が今にも当たりそうなほど距離を詰められて、ギラリと獲物に食らいつくような獣の瞳が此方を覗いていた。
困惑の声しか出なかった。何故このような現状になっているんだと。これじゃぁ俺の立場はまるで恋人に腰を抱かれてキスされる寸前の女の子みたいな………
「昨日、父から見合いの話を聞かされたんです。次期取締役のお前に相応しいパートナーだと、考えておけと。そう言われて真っ先に思い浮かんだのが不破さんでした。……あなた、随分と私の事嫌っていますよね。それも小学生の時からずっと、仲良くしていたのはほんの一年弱でしたよね」
「……ねぇ不破さん。……私、貴方の事がずっと好きだったんです。勿論恋愛的な意味で。貴方にどんなに嫌われようとも決して此方が嫌いになるなんて、一度も出来なかった」
まぁさっきのは流石にイラつきましたけど。そう言いながら、思考停止している俺の髪をさわさわと触ってくる。
なにが何が起きているんだ。死ぬほど大嫌いなアイツが、俺の事が好きだと?それもずっと前から?
「でもさっき言った通り、この片思いはもう実りそうにないんです。………だから」
理解を拒んでいる隙をつかれて、そのままマットに押し倒された。ようやく何が起こっているか理解して抵抗しようとしたが、押さえつけられた手足がビクとも動かない。ゴリラかよコイツ。
どうにかして逃れようとしていると自分の右足をグイっと持ち上げられて、開脚されたところに加賀美が入り込む。何かが当たっているような感覚がして、喉がヒュッと音を立てる。
「俺の童貞、貰ってくれませんか」
ニヒルと歪められた口角が、悪魔の様に見えた。
「き、もちわりぃっ!!!!」
ドン、と突き飛ばすと意外にも効果はあり、自由を取り戻した足でその場から逃げた。
意味が分からない。何故自分が告白にも近い事をされて、襲われそうになって、今全速力で駆け出しているか。わかりたくもなかった。
誰もいない廊下で立ち止まり、息を切らしながら垂れてきた汗を袖で拭う。少し安心したのか、途端に淡々と罪を白状するように話すアイツの口の動きと音がもう一度頭の中で再生されて、思わずしゃがみ込んで顔を覆った。
あれが加賀美ハヤトの本音。あまりにも予想の斜め上で、あまりにも信じがたい真実。
頬をつねっても帰ってくるのは痛みだけで、触れてきたアイツの手の感覚が思い起こされて自分を殴った。
「……あした、どうしよ」
自問自答しても答えは出ない。
機械音のようなチャイムが無慈悲にも廊下に鳴り響いた。
コメント
4件
めちゃくちゃめちゃくちゃめちゃくちゃ好きです……。鼻血が止まらないくらい好きです。ありがとうございます。最高です。ガチめに続き待ってます!!!!
えーーーまって‼️‼️ 急展開すぎてしぬ‼️‼️‼️ fwっちかわいい‼️‼️‼️‼️ ありがとうございます‼️‼️‼️‼️