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一人の少女。その姿が美しかった。消えた少女は今も私を許さないだろう。
でも、良いんだ。彼女が私を恨もうとも、呪い殺そうとしても。
そう思っていた。
遡ること1ヶ月前。私は彼女に恋をした。今思えばこの恋こそ、私を歪ませた原因の一つだろうか。
彼女に恋をし、私は変わった。変わってしまった。
彼女はまるで人形の様に整った顔立ちをしていた。それが酷く憎らしかった。
それから私は彼女に嫌がらせをし始めた。彼女は最初は抵抗していたが最終的に虚な目をしてされるがまま。
綺麗だった。段々と壊れ、歪んでいく彼女の顔が。
私が送った塵も、首を絞めた跡も彼女は貰うたび泣きながら喜んだ。その顔も可愛らしかった。
ある日、私は彼女を屋上に呼び出した。怯える彼女をそっと抱きしめ、キスをした。その時の彼女の顔を私ははっきり覚えている。その顔はこの瞬間、世界で一番美しかった。抵抗する腕を振り払い、無理矢理唇を付けた。これで一生私のものだからね、と告白をした。
それ以降彼女は教室から消えた。何故?何処に行ったの。
あーあ、せっかく告白したのになぁ…。
それから彼女のいない生活を送った…と思っているのか?
実際には放課後、わざわざ彼女の家に行き、毎日、毎日、毎日無理矢理身体を重ねた。この前と同様、彼女は抵抗した。勝てる訳ないのに…そう思いながら彼女を汚した。勝てないことを分かっているのに必死になって逃げようとする彼女が愛らしく、私は幸せだった。漏れる声を抑えて涙目になっていた彼女。何だか新しい一面を見た様で新鮮だった。
このまま壊れてしまえ。
支配欲に溺れた私を誰か、殺してくれないか。
それから数日後。久々に彼女が教室に入ってきた。夏になってきたのに彼女が長袖だったのは多分、私が赤い花を彼女に付けたせいだな。
久々に教室に来た彼女が嬉しくて、私は何もしなかった。
帰り、玄関で彼女を待っていた。
だが、彼女はいくら待っても現れなかった。まだ教室にいるのかな、不安に包まれながら私は走った。
すると私の机の上に一つの手紙。
夏生ちゃんへ
屋上で待ってるね。
白 未唯
ああ!彼女も同じ想いだったんだ!
嬉しくて嬉しくて堪らない!
早速私は屋上へ向かった。
扉を開けると彼女がいた。
「夏生ちゃん。私、貴女のこと好き…だったよ」彼女は言う。
“だった”その言葉が信じられなかった。
「どうして?好きだったって何よ!!」
憎悪が詰まった叫び声を彼女は受け取り、こう言った。
「…私に嫌がらせする前の元気で明るかった前の夏生ちゃんが私は好きだったの。変わって歪んでしまった貴女を、私は、前の夏生ちゃんだと思いたくなかった。」彼女は言う。
前の私…ああ…そうか…。変わってしまった私は未唯には信じたくなかったんだ…。
「ごめんね。夏生ちゃん。こんなことしたくなかったんだけどね。」そう言い彼女はフェンスの向こうに立った。
「夏生ちゃん。これが私の最初で最後の嫌がらせだよ。」
微笑みを浮かべそう言った彼女は飛び降りた。
ふわっと落ちていく。
そして。
ドスッ。
鈍い音が鳴り響いた。その瞬間、未唯が死んだことを悟る。
「あ…あぁ…。」言葉にならない声が喉から出てきた。
後悔しても遅く私は自分のしたことの重大さに気づいた。
きっと彼女は許してくれない。そんなこと、分かりきっていた。
会いに行かなきゃ。
私はフェンスを越えた。
風で髪がが揺れる。鬱陶しいなぁ…。
顔に掛かる髪を縛る。
ごめんなさい。
未唯。
貴女を傷つけてしまった。
許されないことは分かってる。
来世は幸せに暮らしてね。
そう思い、私は飛び降りた。