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✧︎ attention ✧︎
➵ 捏造 / 二次創作
➵ 本編伏字 ×
➵ nmmn / rukg
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✧︎ 叢雲 side
潤む目、机の上で滲む紙、抑えきれない涙。
叶わないと思っているのに、彼の行動に期待をしてしまう。
なんて惨めなんだ、そう思いながらボールペンを手にする。
涙で滲んだ紙に、彼への想いを書き留めるために___
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昨夜、泣きながら夜更けまで彼への手紙を書いていた叢雲の目は真っ赤に腫れていた。それを心配しない同期はおらず、伊波と星導は焦ったように叢雲に駆け寄ってきた。
「 っえ、えええぇっ、どどっ、どうしたんですか?! 」
「 ? 」
「 どうもしてへんけど 」
「 どうもしてないじゃないでしょ!? 」
「 何したらそんな目腫れるの?! 」
「 あ、あぁ〜…。蚊に…刺された? 」
「 なんで疑問形なの…嘘も下手だし。 」
「 素直に話してよ。俺ら同期じゃん 」
「 うぐ…、」
「 そんな言いづらいことなの? 」
「 言いづらいって言うかぁ…恥ずい、」
「 なになに、泣いたとかぁ?笑 」
「 えっ、なんでわかったん?! 」
「 えっ冗談で言ったつもりだったんですけど?! 」
「 …どうして泣いてたの?カゲツ。 」
「 辛かった?悲しかった?寂しかった? 」
「 えっ?ぁ、うぅ、 」
「 言いたくないなら言わないくてもいいよ 」
「 けど俺ら心配なんだ。カゲツ、そんな目が腫れるまで泣くこと無かったでしょ? 」
「 ぅん、 」
「 ……じ、つは… 」
そこから2人に全て話した。自分の恋心も、初めてこんな気持ちになったから不安になったのも、叶わないってわかってるから辛いのも、それなのに諦めきれない自分が…惨めなのも。その感情が爆発して昨日は泣きじゃくってしまったと伝えれば、2人は自分を優しく抱き寄せてくれた。
「 言ってくれてありがとう、カゲツ 」
「 辛かったね。初めての感覚で、怖かったね。いいんだよ、俺らの前では強がらなくて。思うまま、気が済むまで泣いていいから。気を…使わないで? 」
「 …ん、」
「 カゲツは凄いね。」
「 凄い辛かっただろうに、1人で我慢してたんだ。偉い、頑張ったね。でも、これからは俺らを頼ってね。 」
「 …うんっ、」
蛸は、泣いて良いと、気を使わなくて良いと優しく言ってくれた。伊波は、左手で叢雲の背中を包み、右手で頭を撫でながら、よく頑張ったと褒めてくれた。そんな優しさに昨日で枯らしたと思っていた涙が溢れてきていると、2人は先程よりも強く抱きしめ、涙を拭ってくれた。いい同期、いい友人に恵まれたと思っていれば、必ず来ると思っていた質問が投げられた。
「 言いたくなかったら全然良いんだけどさ、カゲツの好きな人って…誰なの? 」
「 あ、それ俺も気になってました。 」
「 うーん… 」
「 あ、!まじ言いたくなかったら言わなくていいからね?! 」
そうやって伊波は僕に断る選択肢を与えてくれる。当たり前かもしれないけど、それは確かに彼の優しさで。その優しさに甘えるか、はたまた素直に好きな人を言うか、自分の中で葛藤が繰り広げられた。正直、好きな人の名前を告げるどころか、恋心を抱いていることすら伝える気はなかったのだ。だから、甘えようと思った。彼の優しさに。でもだけど、少し、気になってしまった。素直に好きな人の名を伝えてみた時の2人の反応が。”同期である小柳ロウに対して恋心を抱いている”と伝えた時の2人の顔が。自分の微かな好奇心に逆らうことは出来ず、勝手に口が動いていた。
「 ……小柳… 」
「 …へ? 」
「 僕、小柳が好き、」
「 こ、小柳って、あの、びびりであってます???? 」
「 ふは、笑 びびり…、笑 」
「 うん、あっとるよ 」
「「 …… 」」
「 やっぱ…変よな、同期に…しかも同性に恋するなんて。僕なら尚。 」
「 いっ、いやいや?! 」
「 そんなことないですって!素敵な恋だと思いますよ?!相手が誰だろうと! 」
「 なんやお前ら必死やん、笑 」
「 いやぁ〜…ねぇ 」
「 だって…ねぇ? 」
✧︎ 星導 side
2人は知っていた。小柳ロウが叢雲カゲツに恋心を抱いていることを。ほぼ毎晩のように、叢雲のいないdiscordのグループで愛語りされていたから、知りたくなくても知っていた。だからこそ、その小柳の想い人である叢雲が小柳のことを好きだと伝えてきた時には、かなり驚いてしまった。叢雲に心配させてしまうくらいに。慌てながらもきちんと、変では無いと、恋すること自体が素敵だと伝えた。
伝えた…が、2人は知っていた。この薄っぺらい部屋の壁の向こう側に、叢雲の想い人である小柳がいることを。叢雲は、あたかも本人には伝える気は無いというように星導と伊波に伝えてきたが、思いがけず本人に伝わってしまっているのだ。これは誰も悪くない。不慮の事故だ。強いて言うのであれば、壁向こうに小柳がいると伝えなかった星導と伊波が悪い。部屋の外にいるのだから、本人には伝わっていないと思う人も少なくは無いだろう。でも、考えてみて欲しい。あの100年以上生きてる白狼が、壁の向こうの声、尚且つ愛する人の声が聞こえないなんてこと、あるだろうか?勿論、無い。どうしようかと伊波と星導が顔を合わせて悩んでいると、腕の中で蹲っていた叢雲が突然立ちあがり、決意したような表情でこちらを見てくる。
「 よし、僕決めた。 」
「 なにを? 」
「 これ、この手紙。ちゃんと狼に渡す。 」
「 ほんまは、書いて満足のつもりやったけど、お前らに変じゃないって言ってもらって自信出たわ! 」
「 実際、家におかんで持ってきたってことは、僕も渡すこと諦めてなかったんかなって気づいたし、 」
「 そ、そうですか。いい判断だと思いますよ 」
「 ん、せやろ?とりま狼来る前にこの顔どうにかせんとやから、一旦顔洗ってくるわ 」
そう言い叢雲はドアの方へ向かう。あ、まずい。「ドアの先に小柳くんいますよ」と伝える前に、叢雲の手はドアノブを捻ってドアを引いていた。
「 …あ、…お、おは、…」
「 ……え、こや、こやな、え、おおかみ、え?は、お、おはよ? 」
凄く気まづい雰囲気が部屋中に漂っている。小柳はこちらを物凄く気まづそうな顔で見てくるし、叢雲は混乱して頭が真っ白になったのかその場で固まってしまっている。この空気感に耐えられそうになかった星導と伊波は2人で顔を合わせ何かを決心する。その様子を不思議そうに見つめていた小柳に2人は視線を移し、ウインクしながら親指を上げて部屋を後にする。
後は自分達で頑張ってください、と小柳に耳打ちをして。
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✧︎ 小柳 side
2人からウインクをされたあと耳打ちで頑張れと伝えられたはいいものの…え、これどうすればいいん。とりあえず、頬を軽く赤くさせた、まだ固まったままの叢雲を部屋のソファに座らせ、その隣に腰掛ける。叢雲の肩を揺さぶると現実世界に戻ってきたようで、赤く染まっていた顔は今度は青く染まっていった。
「 こ、小柳さ、へ、変な質問するけど…いつからあそこおった? 」
「 あ、あー…いつ…結構…前。」
「 …… 」
「 ちなみに全部聞こえてた… 」
「 そやね、丸聞こえやったね。 」
「 …ふぐ、ぐぅ…… 」
「 え、…え”っ”?!な、泣くなって! 」
「 だってぇ…あぁ…僕の人生終わった…終了したんや… 」
「 なんでだよ 」
「 だって話、全部聞こえてたんやろ。終わりやん、そんなん。 」
叢雲の言いたいこともわかる。そりゃ本人がいないと思って友人にのみ伝えたと思ったら、知らぬ間に本人に伝わってしまっているのだから。
「 なぁ、狼、お願い 」
「 なに? 」
「 さっきんこと、聞かんかったことにしてくれん? 」
「 …は? 」
「 せやって、いややったやろ?僕に好かれるなんて。 」
「 可愛らしい女の子ならまだしも、可愛げのない男で同期に好かれるなんて。不幸中の不幸やn 」
そう言いかけた時に、小柳の手が咄嗟に叢雲の口へと運ばれる。自分の口元に運ばれた手に視線のみ送った叢雲は不思議そうに目を何度もぱちぱちしている。
「 …そんなこと、…言うなよ 」
「 へ? 」
「 聞かなかったことに?…はっ、無理に決まってんだろ 」
「 そうよな…こんな僕から言われたら嫌でも記憶に残るよな。…ごめん 」
「 ほらまた 」
「 んえ? 」
「 可愛げのないとか、こんな僕とか。」
「 俺の好きな人のこと、そんな悪く言って欲しくないんですけど? 」
「 …はえ? 」
「 俺、カゲツのことが好き。」
「 あ、いや…俺も、か笑 」
「 … 」
「 さっき伊波と星導に小柳のことが好きって言ってたの聞こえてさ、俺すっげぇ嬉しかったんだわ 」
「 なのになに?不幸中の不幸?はぁ…なわけないやん? 」
「 う、 」
「 カゲツは俺に好きって言われてやだ?不幸だと思った? 」
「 う、ううん… 」
「 だろ?俺も一緒。不幸なんかじゃないよ。世界一幸せ。 」
「 ふ……ん”ッ…ぐぅ、…ッ 」
「 …ははっ笑 」
「 カゲツくんは泣き虫ですねぇ?笑 」
「 うる、さいッ” // 」
「 はいはい笑 ごめんなー? 」
「 ふん、っ、// 」
「 … カゲツ、抱きしめていい? 」
「 …聞くな、// 」
「 っは、笑 じゃ、遠慮なく。 」
自分の腕の中に、自分より背丈の低い、小さくて、ふわふわで、どうしようもなく愛おしい彼を包み込む。ふわふわでくるくるな髪の毛からは晴天の日のような匂いが漂ってきて、子供体温なのか、体からはぽかぽかな温度が伝わってくる。まるでお日様を抱きしめているかのような、そんな気持ちよさを感じた。小柳に抱きしめられている当の本人は、顔は見えないものの、嬉しそうな声を漏らしており、元々あった愛おしさが倍増する。耳を紅色に染めた叢雲が可愛すぎて掛けていた理性を取り戻して、冷静になりながら言葉にしていなかった誓いの言葉を叢雲に伝える。
それはちゃんと、叢雲と 顔を正面から合わせて。
「 俺、カゲツが好きだよ。この世の何よりも、誰よりも。言葉で表せないくらい、お前のこと…カゲツのことを愛してる。」
「 その愛くるしい見た目も、誰よりも優しくて、努力家で、素直で純粋で愛される性格も。カゲツの全てを愛してるよ。」
「 カゲツの幸せを1番に願ってるし、カゲツを1番幸せにさせるのは俺がいいって。欲張りかもだけど、本当にそう思ってる。 」
「 独占欲も強いし、嫉妬深くてめんどくさくて、それでいて欲張りだけど、誰よりもカゲツを愛してる俺を、」
「 カゲツの彼氏にしてくれませんか? 」
「 っ、……当たり前、やろ、 」
「 …大好きだよ、カゲツ 」
「 …ん、」
「 カゲツは? 」
「 言わなくてもわかるやろ… // 」
「 俺はカゲツの口から聞きたいんだが? 」
「 …僕も…好き 」
「 ん、ありが… 」
「 優しいとこもかっこいいとこも強いとこも、クールぶっとるくせに、お化け苦手なんも、低くて安心する声も、その整った顔を崩して大きな声で笑うくせも、不動の小柳って言われてるんに、ダンス上手いし、運動神経ええとこも、色んなあだ名とか付けられててやめろって言うくせに、結局は許しちゃうとこも、全部、全部、大好きだよ。 」
「 は、え、おう…// 」
「 んは、笑照れとるなぁ小柳くん笑 」
「 仕返しや笑 」
「 ーーーッ// 」
「 そんな生意気な口は塞がないとな?笑 」
「 へ、? 」
触れるだけ、たった一瞬互いの唇が触れるだけの接吻。それがどんなに幸せなものか、言葉で表すことなんて、到底出切っこない。いや、2人でその幸せを共有できているから言葉になんてしなくていい。きっとこれからこれ以上幸せな出来事を2人で作っていくのだろうけど、今した口付けよりも幸せな口付けはきっとないだろう。
額を合わせて、赤く染めた顔を崩して2人で笑って、これからの幸せな日々のシュミレーションをしよう。
カゲツが書いた恋文、今はきっと鞄の中だけど、いつかちゃんと俺に届けてね。
✧︎ 不達の恋文
fin
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夏休みの課題。
読書感想文の本はBLでいこうと思います
嘘です。