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「ウマヅラハギ、そろそろ船に戻ろうか。」紅茶の声が、ヘッドセット越しに耳に響く。Dread Hungerの寒々しい世界で、ニート部員たちは食糧を集めたり、裏切りを警戒しつつ進めていた。ウマヅラハギも紅茶と一緒に行動していたが、彼の声に意識を奪われて、ゲームの展開が頭に入ってこない。
「う、うん、今戻る。」
返事をしながら、ウマヅラハギは手元が震えているのを自覚する。雪が降りしきる中、キャラクターを動かして船に向かうが、どうにも集中できない。ゲームの内容よりも、紅茶の落ち着いた指示が耳に染み込んでくる。
「もうすぐ夜やし、急いでな。」
紅茶のトーンは変わらず冷静。だけど、ウマヅラハギにとってはその声がやけに心を掻き乱す。彼はただゲームの指示を出しているのに、その声がウマヅラハギを妙に不安定にさせるのだ。
「急がないと凍え死ぬで?」
紅茶が冗談混じりに言ったその一言が、まるでウマヅラハギの心臓を鷲掴みにしたかのように響いた。彼の脳内は紅茶の声でいっぱいになり、目の前のキャラクターの行動に集中できなくなっている。
「わ、わかってる…」
ウマヅラハギは慌てて返事をするが、体が動かない。ゲームの中では体力が徐々に減っていくのが分かるが、それでも紅茶の声が頭を支配していた。彼の声を聞くたびに、全身が微妙に震え、体温が上がってくるような感覚を覚える。
「ウマヅラハギ、大丈夫か?やけに遅いけど…凍えてへん?」
紅茶の声が少しだけ気遣うように響く。それがまたウマヅラハギの胸を締めつけた。紅茶の優しい声が耳に響くたびに、脳みそが侵されてる感覚が強くなる。
「いや、大丈夫…」
声が上ずるのを抑えながら答えるが、内心はまったく落ち着いていない。紅茶が気にかけてくれているのは分かっているのに、そのたびに心臓がドキドキしてしまう。
「ほな、船の近くまで行って余裕できたら焚き火用意するか。」
紅茶がそう言ってくる。それだけのことなのに、その一言にさえウマヅラハギは妙に反応してしまう。紅茶の優しさと頼りがいのある声に、胸の奥が熱くなってしまう。
「は、はい…」
返事をしながら、ウマヅラハギは船に向かうが、ゲームキャラを動かす手元がおぼつかない。紅茶の声が耳に響き続けて、手が思うように動かないのだ。
「ウマヅラハギ、焦らんでええけど…ほんまに大丈夫なんか?」
紅茶が少しだけ心配そうに言う。それがまたウマヅラハギを刺激する。彼の優しさが、どうしても気持ちを揺らしてしまう。
「う、うん、ちょっと手元が…滑ってただけ。」
そう答えるものの、心の中では紅茶の声のせいで混乱している。ゲームの世界でキャラクターがどれだけ必死に船へと戻ろうとしても、ウマヅラハギの気持ちは紅茶の声でいっぱいだ。
「ほら、焚き火用意できたで。あったまっとき。」
紅茶が優しく促す。それだけで、ウマヅラハギは心臓がさらに跳ね上がる。
「…ありがとう。」
ウマヅラハギはようやく船の近くにたどり着き、焚き火の前に座り込む。だが、体を温めることよりも、紅茶の声に振り回されている自分がどうにもならない。
ただのゲームの報連相、それでも紅茶の声が心を乱し続けていた。紅茶の声が自分の心を揺さぶる度に、ウマヅラハギは紅茶への気持ちが高まるのを自覚した。