みなさんは大切な人がいますか?好きな人がいますか?
そんな人に、気持ちを伝えて欲しいです。その人がいなくなってしまう前に。
私が誰かを好きになったのは、小学五年生の夏。8月21日。
その人とはネットで出会った。住んでいる市も、血液型も、誕生月も、好きなゲームも同じだった。あまりにも共通点が多くて、運命みたいだと思った。毎日話して、毎日遊んだ。好きって気持ちは、きっとあった。でも、私はその夏が終わると同時に、不登校になった。
家の中では、ご飯が食べられない日が増えた。お母さんは「食べ物を残すのは嫌い」と言って、食べられなくなった私に、夜遅くまで食事を続けさせた。夜中の二時まで食べていたこともあった。食べられなかったご飯は次の日の朝食や昼食に回されて、また目の前に置かれる。その繰り返し。どんどん食べられなくなって、睡眠時間が削られていった。何も楽しくない毎日だった。
眠る時間を作るために、私は食べ物をカバンに隠した。食べたふりをして、夜を乗り切るしかなかった。このままだと、きっと心が壊れてしまう。そう思ったから。自分を守るためだった。だけど、お母さんにバレて、怒られた。それでも、その方法をやめることはできなかった。苦しかった。でも、不思議と「死にたい」とは思わなかった。
――君が、いたから。
私が学校に行っていないことを話しても、君は変わらず一緒に遊んでくれた。ゲームの中で、君がいるだけで、私は救われた。君がいなかったら、私はどうなっていたんだろう。生きる意味は、君だった。
遊べない日が続いたときは寂しかった。でも、いつも君は帰ってきてくれた。5年生の三学期になる頃、私は思い切って学校に行ってみた。意外に、楽しかった。そこから少しずつ、私の生活は戻っていった。ご飯も、リセットされた。
君とは前みたいに遊ばなくなったけど、それでも関係は続いていた。
クリスマスには、「誰と過ごすの?」って話をした。
バレンタインには、「誰にチョコもらった?」なんて聞いて、「お母さん?」って笑ったり。
「私、作ったよ!」って、君にもあげたかったなって思ったり。
そして、次の夏。8月。私は君とLINEを交換した。
幸せだった。これ以上にないくらい。
「電話するの緊張するね」
「今日の夜ご飯、何?」
たわいもない話が、特別だった。
だけど、ある日、君がスマホを手放すことを知った。
「これで、もう二度と関われなくなる」
そう思ったら、胸が締めつけられた。
今まで君がいたから、私は生きてこられたのに。
最後に、君は言った。
「ずっとすきだよ。またどこかで会おうね」
その言葉に、私は驚いた。
――ああ、両想いだったんだ。
嬉しさと、悔しさが同時に押し寄せる。
「なんで、もっと早く伝えなかったんだろう」
そう思ったけど、もう遅かった。
君がすきだった。ずっとずっと、君の声がすきで、君の笑った声がスマホから聞こえてくる。幸せだった。君だからすきだった。
私は、君を忘れることにした。
……それから、8ヶ月後。
私は中学生になった。吹奏楽部に入って、毎日が楽しくて、友達もたくさんできた。
そして、ある日。
何気なく、あの頃一緒にやり込んでいたゲームを開いた。
消せなかったフレンド欄に、君の名前が残っていた。
――オンラインになった。
信じられなかった。手が震えた。
そして、私が遊んでいたゲームに、君が入ってきた。
「よお、久しぶり」
心臓が跳ねた。
君とまた話せるなんて。
「何部に入ったの?」
「私、強くなったでしょ?」
そんな他愛ない話を1時間くらいした。
それだけなのに、すごくすごく幸せだった。
君はテニス部に入ったんだね。楽しい?
私ね、毎日楽しいよ。幸せなことばっかり。
でもね、ふと考える。
君は、今、誰かを好きになっているのかな。
もしそうなら、ちょっとだけ嫉妬しちゃうな。
でも、君が幸せなら、それでいい。
私はずっと、君がだいすきだよ。
―― ねぇ、たまにでいいから、私のことを思い出してね。
君の思い出のどこかに、私がいたらいいな。
みんなへ
私にとって、すごく大きなことでした。
だから、みんなには、後悔してほしくない。
もし好きな人がいるなら、ちゃんと伝えてほしい。
たとえ、その結果が良くなくても、言わないままよりずっといい。
後悔しない選択を!
(後付け)
5年生のとき、6年生、そして中1の話です。人生まだ短い、そんなに生きていない人が語るな、って思われるかもしれません。でも、それでも伝えたいことがあります。大切な人、だいすきな人を、本当に大切にしてほしい。これは、実際に経験したからこそ強く思うことです。どうか、この気持ちが届きますように。
苦しいときや、つらいときもあるかもしれません。でも、そんなときこそ、すぐそばにある大切な人や大切なものを思い出してほしいです。きっと、小さくても光はあります。それがあるだけで、少しずつ前に進めるはずだから。
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