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ヒーロー軸ではない
年齢操作
学生
ruwn
ru side___________
入学式の日、桜がうるさいほど咲いていた。
掲示板に貼り出されたクラス名簿を眺めながら、俺はひとつの名前で目を止めた。
理由はない。
ただ、目に残った。
その並びだけがやけに綺麗に見えた。
その日の午後、廊下ですれ違う。
笑い声が先に聞こえた。
周りの学生がソイツの名前を呼ぶ。
赤城ウェン。
ピンク色のふわふわした猫毛。チャーム的な黒色のインナー。透き通るような瞳。
顔と名前が一致した瞬間、鼓動が大きくなった気がした。
___嗚呼、コイツか。
誰にでも分け隔てなく話しかける、春みたいなやつだった。
その日から、俺はソイツの名前を忘れなかった。
1年生の時は、同じクラスになることはなかった。
接点もほとんどない。
ただ体育祭で同じ色のハチマキを巻き、文化祭で遠くから姿を見るだけ。
それで十分だった。
それで十分だと、自分に言い聞かせていた。
十分でなければ困るから。
wn side___________
入学式の日、桜がめちゃくちゃ咲いてた。
人多すぎ、写真撮りすぎ、親テンション高すぎでしょー。
そんな中で、ひとりだけ静かなやつがいた。
顔がやばいくらい整ってるヤツ。
wn「え、あの人なに。芸能人?」
友達とひそひそ言いながら見てた。
名前は知らない。クラスも違う。
ただ、顔は覚えた。
それだけ。
それだけだったはずなのに___。
二年の春。
クラス替えの紙がドアに貼られていた。
この人誰だろう、聞いたことあるようなないような、?
クラスに入るとすぐにわかった。
キリッとした満月見たいな色の瞳、ストレートっぽい青い髪、笑わない無表情。
同じクラスなんだ。
名前、初めてちゃんと読む。
小柳ロウ。
wn「あれ、顔いい人じゃん」
ru「なんだよそれ」
wn「わー、笑ったらもっと絶対かっこいいのに〜」
ru「なんだよそれ」
笑った。
いじったらほんの少しだけ口角が上がった。
wn「ねー、ロウきゅんって呼んでもいい?」
ru「ダメに決まってんだろ」
あちゃー、ダメか〜。と大きくリアクションするのニコニコしていて満更でもなさそうな顔をした。
僕たちが仲良くなるのには時間はかからなかった。
放課後遊びに行ったり、一緒に学校登下校したり、家でお泊まりしたり、、
気づけば2人で過ごすのは当たり前だった。
あれ。
これ、僕にだけじゃない?
他のやつといる時の顔と、僕を見るときの顔、ちょっと違う。
それに気づいた瞬間、変に意識し始めてしまった。
授業中、なんか視線感じるなって思って見たら、目が合う。
焦ってそらしてくるくせに、また見てくる。
なにそれ。
かわいらし。
かわいすぎでしょ。
その頃には僕はもう、好きだったのかな。
でも言えない。
アイツ、将来有望だし。海外の大学行くって噂も聞いたし。
僕は地元に残る。未来違うじゃん。
だから平気なふりした。
いつも通り、ノリよく笑って、喋って、いじって。
好きとか、絶対バレないように。
そうこうしている内にもう3年生になった。
この時期からは進路の話がリアルになって来た。
そんなある日、廊下で聞こえた。
mb「小柳海外行くらしいよ」
その瞬間、血の気がすっと冷えた。
心臓がザワザワして音が一切聞こえなくなった気がした。
あ、この噂本当だったんだ、これ終わるんだ。
ちゃんと聞いてない。本人に確認もしてない。
でも聞けなかった。
だって本当に本当だったら、どうすればいいの?
海外行く人に「好き」って言うの、重すぎるでしょ。
ましてや男、誰が嬉しいんだよ。
卒業式が終わって、人がまばらになった校舎を出る。
僕の第二ボタンも、ロウの第二ボタンも残っていた。
でもロウの制服は、ほとんどボタンがなくなっている。
wn「ロウきゅん、モテすぎじゃん。学ランほぼ壊滅じゃん」
ru「ロウきゅんって呼ぶな」
wn「え〜?寂しいから最後ぐらい許してよ」
喋らない、しばらくお互い無言だったら。ロウきゅんの顔は、髪の毛が風に靡かれて前がよく見えない。
ru「……ウェンお前は、取られなかったのか」
何気ないふりをしてるくせに、声がほんの少し低い。僕にしか分からない些細な変化。
wn「んー?あー、言われたけどさ。なんか、いいやって」
ru「…なんでだ?」
wn「なんでだろ」
答えない。
ほんとは、誰にもあげたくなかっただけ。
桜並木の下を並んで歩く。
肩が触れそうで、触れない。
風が吹いて、花びらが舞う。
どうしても聞きたくて、真実を知りたくて、
僕は平気な顔して言った。
wn「ねぇ、?」
ru「ん?」
wn「、、海外いつ行くの?」
ロウは僕の質問に驚いたような顔をした。
ru「行かない」
wn「え?」
一瞬、意味がわからなかった。
びっくりして間抜けな声を出してしまった。
ru「親が転勤するだけ。俺はこっちの大学だぞ」
え。
え?
頭が追いつかない。
こっちの大学。
wn「なんでずっと、言ってくれなかったの?」
って自然に出た。怒ってない。
寂しかった。
ru「ごめん」
ずっと終わると思ってロウに何も言えなくて、勝手に落ち込んでた自分が、馬鹿みたいだ。
ru「なぁ、ウェン」
wn「ん?なに」
いつもとは違い言葉を選んでいるように見えた。
ru「、、好きだ」
桜が落ちる。
ru「1年のときから。ずっと。」
なにそれ。
ずるい。
僕は2年生からなのに。
wn「僕も」
涙出てくる。意味わかんない。
wn「2年で同じクラスなってさ。いっぱい喋ってて、。そっから、ずっと」
ロウが、初めてはにかむように笑った。
ああ、やっぱ僕だけじゃん。こんな顔してくれるの。
海外に行くって聞いたとき、終わったと思った。
僕の青春は無いものだと思っていた。
でも終わってなかった。
最初から終わってるって、勝手に決めつけてただけ。
ロウにグイッと腕を引かれて抱き寄せられる。
思ってたよりしっかりしてる。
思ってたよりもあったかい。
ru「なぁ、俺ら付き合おう」
wn「今さら?」
ru「3年越しだな」
思わず笑ってしまう。
桜が舞う。
散ってるのに、全然悲しくない。