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『おふたりとも〜!!!!サーティは申請書を書き上げながらも、しかと見ておりました!ようやく実装に漕ぎ着けた衝波転換魔術組込録画音答式結晶箱が砕ける瞬間をおお!!!!!』
「「申し訳ありませんでした」」
「お前たち。ウチの島は光聖冠の協力あってこそだ。特定の島に留まらず、渡り歩いているならば理解はできるだろう?島を荒らしちゃあいけない、と」
「はい、誠にその通りです」
「私も居ながら…弁解のしようもございません」
「フート、君は良い。若くしてハンデも背負い、良くやっているよ。問題はパスト、お前だ。今回の問題の肝を、理解しているかね?」
「はい。光聖冠が所有する機器を報告なく破壊に及んだことであります」
「なんだ。分かっているのかね」
この街の狩猟師協会代表、ゴニア。
パストより20年以上長く狩猟師として活躍する女性狩猟師。
60代を間近に美貌が衰えないことから人狼の疑いをかけられるも、憤慨し単独で狼の生首を荷馬車からこぼれ落ちる程に集め、異端審問を退けたという実力者。
その体格は細身ではあるが、熊も後退するほどの長身と風格である。
そして、人狼避けを理由に煙草を切らさない事でも有名だ。
「ケホッ」
「おっと、すまない。若人がいる時にまで手が伸びてしまうとは。我が習慣ながら、見直さなくてはならない」
「あ、いえ、問題ありません」
「良いんだよ。遠慮はするだけ損だ。そこの男にも容赦せず、言いたいことを言ってやりなさい。さて、本題だ」
パストに一枚の紙を手渡す。
少し目で読み進めると、あからさまに眉間に皺を寄せて目をしかめた。
なにか面倒事が起きた時の顔だ。
「……あ?ゴニアさん、こりゃ一体どーいうことだ?」
「私は君が新聞社にエッセイを寄稿していたことを知っているよ。文字は読めるだろう。そのままの意味で、光聖冠からの契約書だ。
最近ちまたで耳にする“人為的な人狼の作成”についての話題。その根っこを、本来ならば手出し口出しご法度の光聖冠観察班と共に暴いてくれという大魔導師様からのご依頼、引いては一千歩譲った弁済の条件、ということだ」
「……ッ、はぁ…やります、やりますよ。ぜってぇあのうるせぇホムンクルスが着いてくるじゃねぇか。フートもサインしろ、って、なにボケーっとしてんだ」
「あ……いや、あまりにも…罰とは言い難い条件で、驚いてました」
「それについてはそこにもある通り、管理者にも落ち度があったとのことで情状酌量だそうだ。
あの大魔導師は人外ばかりで身辺を固める変態だから、私も意外だとは思っている。まあ、パストがビックフットにでも見えたんでしょう。ああ、睨まれる筋合いはないよ。
とりあえず、私と光聖冠がよろしくやっていけるよう、しっかりとゴマをすってくれたまえよ。それができなかった時は、またお仕置の話をしよう」
ということで、昨日の「知恵モノ無断処分及び器物破損事件」は担当であったレンジーさんにも責任の一旦があるとし、狩猟師協会からは特にお咎め無し。
ただし、施設設備に関しては光聖冠衆院の持ち物であるため、先方の言う事は良く聞けとのお達しだった。
『そんなに謝らないでくださぁい!それよりも、パストさん!弾丸が迫る瞬間までバッチリ収まっておりました〜!狩猟師最高峰と謳われる胸核破壊の腕!痺れるぅぅぅぅ!!!!』
「お褒めいただきそりゃどーも」
パストは今までにないほどウンザリという表情だが、想像していたよりもずっと軽い処分で安堵の限りだった。
懸念点といえば、契約書には期間の記載が無かったので、あとは無期限でないことを祈るばかりだ。