テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
nmmnです。
地雷の方、上記の内容が分からない方は、閲覧なさらないようお願いいたします。
ご本人様とは一切関係ありません。
『🐙🌟』「👻 🔪」
交際を匂わせる描写有り
🐙🌟×👻🔪か👻🔪×🐙🌟の明記はしておりません。ご自身で解釈するか、プラトニックな関係でも良いと思います。
軽い接触描写有り
死ネタ有り
大丈夫な方のみ閲覧ください。
終わり方がとても微妙です。
解釈不一致を少しでも感じた際は、無理せずブラウザバックすることを推奨いたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
彼はとても自立した人だと関わっていくうちに知った。
料理の才にとことん恵まれなかったことだけが唯一の欠点と言えないこともないが、現代社会においてそんなものは些細なことだ。
だからこそ、そんな彼が誰かと共に生きるという選択を取り、さらにその相手が俺であるということがとても嬉しかった。
彼のことは絶対に忘れない、そう心に誓った。
もうずいぶんと変わってしまった街を眺める。西にも東のように機械的な技術が組み込まれていき、現在はヒーローとしての活動を始めたての頃に見た東の街と同じような風景が広がっている。勿論、現在の東の街はここの比にならないほど発展しているが、西の街並みも数十年前まで機械化を拒絶していた街とは思えない具合だ。時の流れは早い。
『これも…うん。すごいことしたよね、本当に』
「そうだな。ライがいなかったらここもまだ畑だったろうし」
そうだ、西の機械化を推し進めたのはライだった。第一線で戦い、その実力を示した彼だったからこそここまで街を変えることができたのだ。彼自身も西の文化の有用性、希少性を理解しているからこそ、西の文化を最大限活かせる形でみんなが過ごしやすい街にしたい。そう言っていたような気がする。
『もう80年くらい経つ?街が変わり始めてから』
「……そうだな」
最近、彼の反応が少し遅いと感じる時がある。彼の見た目に大きな変化があるようには見えないが、彼も歳をとっているということなのだろうか。
『みんないなくなっちゃったしね』
「まあ、静かになったよな」
人の命はいずれ終わりを迎える。自身のことも人間だと思っていたが、どうやら死ねないようだ。その分、彼を1人にすることもなさそうだけれど。
『あの、最後の…。ほら、』
「ウェンな。あいつが1番長生きだとは思わなかったな」
『ね。あんなにお酒飲んでたのに』
自分には何の変化もないと、そう信じている。
俺はまだ見た目も変わらず若いままで、彼のように反応が鈍くなってもいない。
変わったことなんてない。きっと。
お前だって自分で気が付いているんだろ。
もう街が変わり始めてから200年が経とうとしている。
ライも機械化を拒絶する保守派の連中を説得するのに多くの時間を費やした。彼が自分のデバイスの調整をしながら、最近四十肩がしんどくてと笑ってこぼし始めた頃、ようやく街は変わり始めた。
彼らと食事を共にする機会を増やした。そうしないと、本当にまた目を見て話ができるかどうかが分からなくなってしまったから。人間の寿命と身体の脆さでは、白狼に敵わないと知っていたから。その度に彼らは寂しそうな顔をしながら大丈夫と声をかけてくれた。
最後のウェンは今際の際にも酒を飲みたがっていた。一緒に飲んだことを星導は覚えているだろうか。
もう記憶が曖昧になっているんだろう。彼らの名前が出てこなくなっていることに、お前だって気が付いているはずだ。それでいてなお目を逸らし続けている。
戦い続けるほど、彼は記憶が曖昧になっていった。昔の会話やその当時に出会った人の名前が思い出せないようだった。
彼にはもう随分と名前を呼ばれていない。目の前の名前も知らない男と思い出話をしているお前は、一体どんな気持ちなんだろうな。
『ねえ』
「ん?」
『ん?じゃなくて…どうしたの急に、手なんか繋いできて』
「嫌?」
『嫌っていうか、友達にそんなことするタイプじゃないでしょ』
「うん、そうかもな」
「星導はなんで俺と一緒にいてくれんの?」
『なんでって…いなきゃいけない気がしたから?』
「へえ」
『聞いといて何その反応』
「いや、なんでもない」