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目を開けた瞬間、違和感があった。
なんというか……体の重心が変わってる。胸のあたりが、妙に重い。
「……え?」
寝ぼけた眼で布団をめくった瞬間、
俺は凍りついた。
そこにあったのは、昨日まで確かに
無かったはずの柔らかく、まるっこい胸。
「は!?いやいやいや、なんだこれ……」
慌てて上半身を起こすと、
髪も妙に長くなっている。
腕も細くなり、腰回りまで違う。
「……おー、やっと起きたんか、さとちゃん」
聞き慣れた、関西弁の声。
振り向くと、部屋のドアに寄りかかって
ジェルが俺を見ていた。
いつも通りの気だるげな笑み……
その目が今日はやけに光っている気がする。
「お前、なんか知ってるのか?俺、これ……」
「知るわけないやろ。でも……おもろいなぁ。さとちゃん、めっちゃ可愛なっとるやん」
ジェルはスタスタと近づいてくる。
俺は慌てて布団を胸元まで引き上げた。
「待て、見るな」
「なんで?もうチラッと見えてもーたけど?」
「はぁ!?何勝手に見てんだよ!」
俺の抗議なんて無視して、ジェルは
俺の目の前に腰を下ろすと、
じーっと観察するように視線を這わせてきた。
まるで 品定めするみたいに、ゆっくりと。
「…肌、めっちゃ白なっとる。
髪もサラッサラやん。あ、まつ毛長……」
「やめろって!」
避けようと身を引くと、
ジェルの手が俺の顎をそっと掴んだ。
指先がやけに熱い。
「目も、ちょっと大きなっとるなぁ
ふーん…」
そのまま顎から首筋へ、
そして胸元へと視線が降りていく。
布団を押さえる手に、思わず力が入る。
「ジェル、本当にやめろ。
これは……俺、わけわかんないし……」
「せやから、じっくり観察したろ思てんねん。こういう機会、一生ないかもしれへんやろ?」
軽く笑うと、ジェルは
布団の端を指でつまんだ。
やめろと言う間もなく、
それをするりと引き下ろす。
「っ……!」
「おー……」
ジェルの目が輝く。
俺は咄嗟に腕で胸を隠したけど、
柔らかい感触が余計に
自己主張してきて、顔が熱くなる。
「触ってもええ?」
「ダメに決まってるだろ!」
「じゃあ、ちょっとだけ」
「ちょっとだけもダメ」
言い終える前に、ジェルの手が俺の腕を
すり抜け、胸の曲線をそっとなぞった。
電流みたいな感覚が背筋を駆け抜ける。
「…なに、これ…やっば。
めっちゃ柔らか……」
「じぇるっ……!」
「さとちゃん、今の声、可愛すぎやで?」
耳元で囁かれ、さらに心臓がバクバクする。
俺は女になってしまったことの困惑と、
ジェルの距離感の近さで、
どうしていいかわからなくなっていた。
「……やっぱ、感触ちゃうなぁ。
男のときとは全然違うわ」
ジェルの指が、軽く胸の
ふくらみを 押し上げる。
それだけで、ふわりとした感覚が
胸の奥まで広がって、息が詰まる。
「や、めろ……って言ってるだろ……」
必死に腕で隠すけど、 ジェルの手は
器用に隙間を縫って入り込んでくる。
「なんで?嫌なん?」
わざとらしく首を傾げながら、
指先が胸の端をそっとなぞった。
くすぐったいのに、変な感覚が混じっていて、体が勝手にびくっと跳ねる。
「っ……ち、違う……そういう意味じゃ……」
「そういう意味やろ?」
ジェルの目が、悪戯っぽく細められる。
俺の反応を楽しんでいるのが見え見えだった。
そのままジェルはゆっくり顔を近づけてきた。
胸元から上がってきた体温と、
低く響く声が耳に入り込む。
「さとちゃん、耳まで赤なっとるで。
……可愛いなぁ」
「可愛いとか言うな!」
思わず後ずさるけど、背中はすぐに
ベッドのヘッドボードにぶつかる。
逃げ場なんて、ない。
ジェルはそんな俺の様子を見て、
にやっと笑った。
そして今度は腰回りへ視線を移す。
「ほぉ…ラインも細なっとるし……
触ったら、もっと面白そうやな」
「お、おい……まさか」
返事する間もなく、ジェルの手が
腰骨のあたりを撫でた。
細くなった腰に沿って、
指 がゆっくりと滑っていく。
「うわ……ほんま、女の子のや」
「やめっ……ん……!」
息が漏れた瞬間、ジェルの動きが
ぴたりと止まる。
「……今の声、反則やなぁ」
わざと低く囁くように言いながら、
ジェルの指先が再び動き出す。
腰からお腹、そしてわき腹へと、優しく、
しかし確実に俺を追い詰めるような動き。
「ジェル……ほんとに……やめ……」
「いやや。せっかくの機会やのに、
こんなん途中でやめられるか」
笑いながらも、その目は真剣で、
まるで獲物を逃さない捕食者みたいだった。
「…さとちゃん、今どんな気持ちなん?」
「…わかんねぇ」
「わからんけど、嫌やないやろ?」
俺は何も答えられなかった。
その沈黙が、ジェルには
十分な答えになったらしい。
ジェルの手が、もう一度胸元へと戻ってくる。
今度は両手で包み込むように軽く、
でも確実に形を確かめるように触れてきた。
「……やばい。ずっと触ってられるわ」
「バカ…」
そう言った声は、震えていて、
もう強がりには聞こえなかった。
ジェルは口元だけで笑い、
俺の額に軽くキスを落とす。
「せやから、ちょっとの間、
このままでおってくれへん?」
その声音は、いつもの軽口よりも、
ずっと甘く、ずっと近かった。
額に落とされたキスがやけに長く感じられた。
ジェルの息が俺の肌にかかって、
そこからじんわりと熱が広がっていく。
「……なぁ、さとちゃん」
耳元で、掠れた声が囁く。
その音が、耳の奥をくすぐった。
「ひ……っ」
思わず肩をすくめると ジェルが小さく笑った。
「耳、弱なっとるやん」
「……そんなん、わかんねぇよ……」
「じゃあ、試してみよか」
低く囁いたあと、ジェルの唇が
そっと耳たぶをかすめた。
その瞬間、足の力が抜けてしまい、
ベッドの上で身体が沈み込む。
「……っ、や……ジェル……」
「可愛い声やなぁ。もっと聞かせてや」
耳たぶを軽く噛まれ、舌先でなぞられる。
全身の神経がそこに集中して、息が詰まる。
今まで感じたことのない感覚が、
背筋を這い上がってくるみたいだった。
「……んっ……や、変な感じ……」
「変やないやろ。気持ちええんやろ?」
否定できなくて、俺は唇を噛んだ。
その沈黙を見逃さず、ジェルは
首筋へと唇を滑らせていく。
「あ……っ」
「ここも……弱なっとるやん」
首筋にそっとキスされるたび、
身体が小さく震えた。
指先は腰のくびれをなぞりながら、 まるで
形を覚え込むみたいに優しく撫でてくる。
「ジェル……やっぱ、やめたほうが……」
「ほんまにやめてほしいん?」
目を合わせて聞かれる。
その瞳が真っ直ぐすぎて、息を呑む。
「……わかんねぇ……」
「ほんなら……このままやな」
そう言って、 ジェルは、
ゆっくり顔を近づけてくる。
距離がゼロになる直前、 心臓の音が
自分でもうるさいくらい響いていた。
唇が触れ合った瞬間、頭の中が真っ白になる。
軽く触れるだけじゃなく、
ゆっくりと角度を変え、深く重ねられる。
舌先が触れた瞬間、胸の奥が熱くなり、
呼吸が乱れた。
「……っん……は……、ぁ」
「……女の子の声やなぁ、さとちゃん」
唇が離れると、ジェルの声が低く響く。
その声すらも、耳に甘く残って離れない。
再び唇を奪われ、今度は後頭部に
手を添えられた。
逃げられない体勢で、舌の動きを誘われ、
息ができなくなるほど深く。
胸元は相変わらずジェルの手が包み込み、
指先で形を確かめるようにゆっくり動く。
「……っ……ジェル……や……」
「ややないやろ。声がもう…そう言うてへん」
俺の抵抗は、もはや形だけになっていた。
指も唇も、全部がジェルに支配されて
体の奥まで熱が溶けて広がっていく。