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(また、余っちゃった。)
学校の体育の時間、
2人1組を作るタイミングで一人残されてしまった。
そして先生が言う。
「じゃあ池田は先生と組もうか。」
「…はい」
ああ、まただ。みんな笑ってる。私は笑われている。
当たり前だよね、毎回私が残っているんだもの。
_ねえ、またあの子が……
うるさい
_可哀想
やめて
_くすくす
っ……
___可哀想だね。転校してきたあの子はペアがいるんでしょう?
そう私の心が言って棘を刺す。
そうだ。あの子が今年転校して来たから私の友達が離れていったんだ。
全部あの子のせいだ。
去年まで仲良かった親友は今や転校生の相方的存在になっている。
転校生は可愛くて、勉強も運動もできて、話上手。
あの子が羨ましい。
努力なんかせずに手に入れている彼女が。
____あの子と私は正反対だね。
やめて、比べないで。
そう思っても私の心に住みつくどす黒いなにかは止まらない。
優等生である転校生に比べて私が劣等生なのは言われなくっても解ってるよ。
だから比べないで。
____比べないと成長できないよ?
いや、比べんなッ……
そう、心の中で叫んでいると先生が俯いた私の顔を覗き込んで、「大丈夫か?」と問う。
_本当は思ってもないくせに_
「私をほっといて!!」
やってしまった。
叫んでしまった。
先生もクラスメイトも皆驚いた顔をして私の方を見る。
「っ……」
私はその場から逃げ出した。
先生が何か言ってたけど、気にせず走った。
私は泣き出してしまい、無数の涙が頬を伝わって少し寒かった。
_______
___
私は誰かに気を使われるのが怖い。
誰かに頼る度、胸の左側がズキズキ痛む。
_私を可哀想な人間にしないで_
昔から皆よりも1歩だけ遅れていて、成長する度、差も大きくなっていた。
私は臆病でなかなか大きな一歩を踏み出せない。
いくら背伸びをしたってみんなはさらに上に行くからおいつけない。
気が付けば手を伸ばしても届かない場所にいた。
選択肢は沢山並べられているのに、どれを選んだとしても全て失敗してしまう。
ほら、だから今回もまた胸に傷ができちゃった。
気づけば私は保健室の前に立っていた。
保健室に行って事情を話すと、「よく頑張ったね」と言われた。
_本当は思ってないくせに_
こんなこと思ったって意味ないのに、頭によぎってしまう。
転校生への嫉妬、自分と先生への怒りと悲しみ。
負の感情が混ざりあってしまい、何も分かんなくなってしまった。
ふと、小学校の頃転けて泣いていた時のこと思い出す。
あの時、親友はなんて言ってたっけ。
ああ、そうだ。
«痛いの痛いの飛んでいけ»
_私の胸の傷もその呪文をかけたら癒えるのかな?_
なんて意味ないことが頭によぎる。
あの頃、親友が私に向けていた笑顔が偽物だと思うと悲しくて、また泣いてしまった。
全て終わらせてしまったらどれだけ楽なんだろう。
……捨てられたいな
親友side
本当は昔から知ってた。
私の大切なものが馬鹿にされていることを。
みんなが私の親友のことを影でコソコソ言っているのも知ってた。
私が飼っているペットも、
昔おばあちゃんから貰ったキーホルダーだって、バカにされていた。
私が近くにいると露理がバカにされてしまう。
だから、私は露理から離れることにした。
オソロで買いた買った服も、一緒に行きたかった喫茶店も全部諦めた。
時々、露理が私の方を見て悲しい顔をしているのを知ってる。
その度に思うんだ。
_露理を傷つけたくない_
お願いだからほっといて。
私から身を引いたはずなのに、いつも夢では露理と遊んでいた頃の記憶が再生される。
……可笑しいよね。
露理side
ちょっとだけ、ほんとに少しだけ自発的になうと思った。
そうすれば、1人にならない。
……親友が帰ってきてくれる。
でもどのグループに混ざろうとしても、話題に追いつけなくて、結局孤立してしまう。
みんなからの視線が前より冷たくなった気がした。
あれ、悪化しちゃった?
親友が離れていってから私の心はずっと暗闇が続いていて、光なんか差し込まない。
終わりのない真っ暗な部屋で「孤独」であることを自覚しろと言わんばかりに閉じ込められて、怖くなってしまって体ひとつさえ動かなくなってしまった。
前まで好きだったことも全部蓋して、中身が霞んでいって何が好きだったのかもわからなくなってしまう。
転校生のあの子はまた新しいことを始めて、賞を取ったみたい。
ああ、眩しすぎるわ。
___私にはできないもんね。
また、比べてしまう。
___大した結果出せないけど、周りの迷惑なんか考えずに生きている私とは正反対ね。
図々しくたって私は生きてやる。
悲しくなって、涙がこぼれでる。
泣き声出さぬよう息を吐いて口を震えている手で塞いだ。
気持ち悪くてしゃがみこむと、転校生が近寄って来るのが見える。
_お願いだからほっといて!_
そして、意識を飛ばした。
_______
___
目を覚ました時、保健室のベッドにいた。
ハッとし、起き上がると肩を誰かに勢いよく包まれたような感覚がして、見ると親友___結月が泣いていた。
「なん…で?」
私から離れていったのになんでそんな悲しそうな顔をするの?なんで泣いてるの?どうして謝ってるの?
感情がかき混ざり訳分からなくて私も泣いてしまう。
私も、結月も落ち着いた頃、私は結月に問う。
「なんで今更…私から離れていったくせに。」
「ごめん。露理を傷つけたかったわけじゃないの、なんなら逆。私といると、露理が傷つけられちゃうって思って怖くて……謝って許して貰えるとは思ってない。本当にごめ___」
「いいよ。」
そう、自然と口から零れた。
結月が私を傷つけたかった訳じゃなくて、守りたかったと思っていた。
それを結月の口から聞けたからだろうか。でも___
「嫌いになっちゃった。そんな結月のことが。」
「え?」
困惑した目で結月が私を見る。
「人のことだけを考えて行動する結月のことが嫌いになったの!!もう少し自分の気持ちに正直になってよ…。」
つらつらと口から言葉が出る。
「だから、私が言いたいのは…ッ 結月がヒーローみたいだった昔のように私を守ってよ!!!!」
ああ、言ってしまった。でも、これが本音。
私は昔の結月が大好きだった。
気が強くて、私を守ってくれて、泣いてる私を励まそうとしてくれる結月が。
思いっきり私は抱きしめた。力いっぱい抱きしめた。
転校生side
水を買って保健室に行くと、露理と結月が抱きしめ合っているのを見た。
私は、思わず息を詰めて立ちすくんだ。
どんなに明るく笑っていても、結月のその笑顔に勝てない。
私の気持ちの整理が追いつかなくて、どうしていいか分からなかった。
そこに立ってられなくて私は保健室を後ろにして走った。
息が苦しく、涙が止まらない。
「大丈夫?」
そう周りに言われても「大丈夫」と答えるしかなかった。
嘘の笑顔は自分でも分かる。痛いくらいに。
でも、胸の奥の痛み、孤独、嫉妬…
今の気持ちが言葉にできなかった。
街路樹の影で立ち止まり、肩で息をする。
怒りが込み上げる。
──なんで結月は、あんなに自然に露理の側にいられるの。
最初から知ってたら、私は露理のことなんて好きにならなかったのに。
結月の笑顔が皮肉のように、嘲笑のように見える。
でも、目を閉じると露理の笑った顔が浮かぶ。
小さな手のひらに真っ直ぐな目、あの無邪気な声。
……思い出すと胸が締め付けられて涙が溢れる。
「私、本気だったんだなぁ」
初めて、自分の気持ちをはっきり自覚した。
怒りも、嫉妬も、悲しみも、全部ひっくるめて──
あの子を、本当に好きだったんだ。
だからこの気持ちはきっと「失恋の苦しさ」
風に揺れる街路樹の下で、泣きながら笑った。
誰にも分からない痛みだけど、今はそれでいい。
胸の奥の傷はまだ疼くけれど、もう隠す必要はない。
──私は、私のまま、好きだった。
涙を拭い、歩き出す。
道の向こうに、保健室の扉の光が見える。
そこには、私の知らない物語があって、でも私はもう、少しだけ歩き出せる気がした。
──私より、結月の方が上だったんだ。
胸の奥が締めつけられる。