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Badend
名前を呼ばれたのはいつぶりだろうか。
ずっとずっと、ずっとずっとずっとずっとずぅっと待ち望んでた自分を呼ぶ声。罵倒では無い、名前を呼ぶ声。
やっと聞こえたその声に対する最初に抱いた感情は、
“気持ち悪い”
だった。
何回俺を罵倒してきた?何回苦しめてきた?何回も何回も何回も、拒絶されて。殴られて。
心も体も限界だった。
「はははははははははははははっっ!!!!」
「どうしたのドットくんっ!?」
フィンが慌てて飛び出してくる。
マッシュは咄嗟にランスを庇い、何やら扉の向こうへ合図している。
だがそんなこと関係ない。
狂ってしまった自分はもう止められないのだ。きっと今、額に十字のアザが浮かんでいるのだろう。
「エクスプロムッッッ!!!!」
そう叫んでも何故か爆破が起こらない。
なんでだ?
「エクスプロムッッッ!!!!!!!!!!!」
やはり何も起きない。どうした?どうしたんだよ俺っ、
あぁ、杖が無いのか。そりゃあ爆発しねぇわけだなぁ。
辺りを見渡し杖を探す。が、どこにも見当たらない。
「杖…杖、杖っ、杖っっっ!!!!!」
「レビオフ・カフスッッ!!」
手が拘束される。なんだ?
声が聞こえた扉の方へ目をやると杖を構えて苦しそうな表情のレモンちゃんが居た。
レモンちゃんの固有魔法か…
爆破も出来ないから解けない。
もうダメかもな。俺。
ふと部屋を見ると窓が開いている。
俺を嘲笑うような青空。ランスの瞳にそっくりな深い碧に刺される。そのまま吸い取られていくかのように窓枠へ足を乗せる。
遠くで叫び声が聞こえる。力ずくで後ろに引っ張られてる。ははっ、そんな力じゃこの世の主人公である俺様は止められないぜ?
足が潰れるほど力を込め外へ飛び立つ。
くるりと回って視界に広がる碧はやっぱりランスを想起させる。なんて憎たらしい色だろうか。
憎たらしいはずなのに、もう二度とこの色を見れないのかと思うとなにか悔しいような、虚しいような気がする。
あぁ、俺、ランスのこと好きになっちまったのかもなぁ。
でも、好きなら気持ち悪いなんて感情湧かねぇか
結局、この気持ちの名前はなんなんだろうな。
「ドットっ、ドット!!」
必死に叫んでやがるぜ。涙なんて流して。
俺の事を傷つけたくせに。
ばーか。
ドットが落ちた。
ぐちゃぐちゃと気持ちの悪い音を立てて。
俺が殺した。 俺のせいだ。
謝罪も出来なかった。気持ちも伝えられなかった。
ドットの傍に落ちる。目の前に広がるのはドットにそっくりな紅だ。いや、ドットの紅はもっと鮮やかで綺麗だな。
「っうぅ、すまない、ドットっ、ドット、 」
目から溢れる液体は止まらなくて、しょっぱくて。
「好きだ」
コメント
2件
発狂してもうた
バットエンドも良き👍⭐️!なんでこんな結末なのに喜ん出るんだ私!?あ、そうか!書く人が天才だからか、納得!こんな神作品をありがとうございますm(_ _)m