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<木赤> 再開の日に , 口付けを .
𖤣𖥧𖡼.𖤣𖥧
東京の夜は、ネオンが静かに輝いていた。
赤葦京治は出版社で働き始めて半年。
忙しさに追われる日々の中、
ふとした瞬間に思い出すのは、
梟谷のエース、木兎光太郎の笑顔だった。
高校卒業後、連絡は自然と途絶えた。
木兎はプロの道へ、赤葦は学業と仕事へ。
『もう、会うこともないかもしれない』
そう思っていたある日、赤葦の元に一通のメールが届いた。
│あかーしー!
│
│久しぶり!今度、東京で試合があるんだ。
│
│もし時間あったら、見に来てくれない?
7時21分
心臓が跳ねた。名前の呼び方も、文体も、何も変わっていない。
赤葦は迷わず返信した。
│ 行きます。楽しみにしています。
既読
7時36分
試合当日。
木兎は相変わらずの全力プレーで、観客を沸かせていた。
赤葦はスタンドからその姿を見つめながら、胸の奥が熱くなるのを感じていた。
試合後、控室の前で待っていた赤葦に、木兎が駆け寄ってきた。
「あかーし!来てくれたんだな!」
「ええ。…すごかったです。昔と変わらず、いや、もっと輝いてました。」
木兎は照れくさそうに笑いながら、赤葦の肩に手を置いた。
「あかーしが見ててくれると、俺、やっぱり頑張れるんだよな 。」
その言葉に、赤葦は目を伏せた。
「…僕も、木兎さんがいると、前に進める気がします」
沈黙が流れたあと、木兎がぽつりと言った。
「あかーし、今夜、少しだけ話せる?…いや、話したい。ずっと言えなかったことがあるんだ」
赤葦は静かにうなずいた。
居酒屋の個室。
二人きりの空間に、懐かしさと緊張が混ざる。
「急で 、ごめん。高校の時さ、俺… 赤葦のこと、好きだったんだ。」
木兎の声は、いつになく真剣だった。
赤葦は驚いたように目を見開いた。
… 沈黙が続くと、
「キモイよな。ごめん。」と真剣な気持ちと不安な気持ちが混ざったような声に変わる。
少し、緊張を感じながらも、赤葦は微笑んだ。
「…僕も、同じ気持ちでした。でも、言えなかった。木兎さんの夢を邪魔したくなかったから」
木兎は赤葦の手をそっと握った。
「今なら、言える。あかーし、俺と一緒にいてくれないか?」
赤葦はその手をぎゅっと握り返した。
「…はい。これからは、隣で支えたいです。ずっと」
その夜、東京の空は星が見えないほど曇っていた。
でも、二人の心には、確かな光が灯っていた。
月明かりに映る頃には、赤葦と木兎の影は重なり合っていた 。