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ℕ𝕆.6 side.C


⚠︎︎太中



彼奴の事が大嫌いだった。

冷えた目も

胡散臭い笑顔も

感情の籠ってない声も

身体中に巻かれた包帯も

全部、殺してやりたい程に嫌いだった。


だけど、其れと同じくらい、彼奴の事を愛していた。

彼奴の作戦で戦うのが好きで

俺を人間だと言う優しい声が好きで

くだらない事で喧嘩する時間が好きで

俺を人間にしてくれる冷たいあの手が好きで

言葉にするのは難しいけど、他の誰よりも彼奴の事を信じていた。


彼奴と居る時間だけは、どんな事をしている時よりも安心できた。

仕事柄、気を抜いて過ごせる時間なんて殆ど無かったが、彼奴の隣では普通の餓鬼の様に過ごせた。

くだらない事で喧嘩して、くだらない事で笑って。

ムカつく事も多かったが、其れ以上に、その時間が好きだった。


そうして、長い時間を一緒に過ごしている内に、どんどん彼奴に惹かれていってしまった。

でも、彼奴はきっとそうじゃない。

だから必死に気持ちを押し殺していた。

関係を壊さない為に。

太宰の隣に居続けるために。


だが、その努力は不要だったらしい。

相棒になって程なくして、太宰が俺の事を好きだと言ったから。

勿論最初は疑ったのだが、太宰が珍しく顔を情けないほど真っ赤にしているのを見て、漸く本当なのだと信じることが出来た。

俺達は其の儘恋仲になり、それからの毎日は信じられないほどに幸せだった。

太宰の事は死ぬ程嫌いだけど、誰よりも信じていたから。


然し、其の信頼も幸せも直ぐに壊れてしまった。


別に、彼奴が悪い訳じゃない。

只、俺が彼奴の事を理解できなくなっただけだ。

親友だと云う男の隣で、見たことの無い顔で笑う彼奴を見て、彼奴の事が分からなくなっただけ。

本当に只、其れだけなんだ。

其れだけ……其れだけなのに、どうしようもなく辛くなった。

ひょっとしたら、理解できなくなったのではなく、元々理解出来ていると“思い込んでいた”だけなのかもしれない。

彼奴の事が理解できない事がとても恐ろしく感じて、理解しようと必死になった。

でも、理解しようとすればする程、彼奴からどんどん遠ざかって、どんどん分からなくなっていった。


其れだけならまだ耐えられた。

けど、其れだけじゃなかった。


彼奴の一番が俺じゃなくなってしまった。

彼奴の一番は彼奴の親友になってしまった。


嫉妬、戸惑い、恐怖、不安、憎悪、悲しみ。

色んな感情が混ざって混ざって混ざり合って、どんどん分からなくなる。

俺の事も、彼奴の事も全部分からなくなって、全部ぐちゃぐちゃにしてしまいそうだった。


こんな事に成るくらい、俺は太宰に依存していたんだ。

気づいた瞬間、絶望した。


其れは、依存がどんなに恐ろしいモノか知っているから。

其れは、依存がどんな結果をもたらすか知っているから。


屹度、此の儘では本当に全てをぐちゃぐちゃに壊してしまう。

彼奴も俺自身も此の関係も全部。

其れだけは駄目だ。

俺の勝手な感情だけでそんな事態を引き起こすなんて。

全てを壊してしまう前に、此の感情を壊さなくては。


じゃないと、俺は彼奴の隣に立つ事すら、許されなくなってしまう。


どうしようもない嫉妬心も全て耐えなくてはならない。

この感情も全て壊さなくてはならない。

明日も明後日も其のずっと先も、“太宰”の隣に居続ける為に。


✄——————-‐


1度終了です〜!

次回も多分中也視点になると思います。

それと…

直ぐに投稿するなんて言っときながらかなり日にち経っちゃって本当にすみません!!

これからは実現出来るか分からないことは言わないようにします…

それではご視聴ありがとうございました!

さよなら〜


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