テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
💛さん視点
目が覚めて、右手に温もりを感じその先を見ると俺の手を握ったまま眠る勇斗がいた。
眠る前にした約束を守ってくれた事への嬉しさと、自分が見た夢の後ろめたさを隠すようにそっと手を離す。
『ごめん、俺仁人の事離してあげないよ』
夢の最後に××から聞いた言葉は、あの日実際に自分が聞いたのか、まだ好きだと気持ちが残っている自分の作り上げた都合の良い妄想なのか…それは××にしかわからない。
喉が渇き水を飲もうと寝室を出た。
キッチンに入る手前のリビングにある勇斗の書類が積まれたサイドテーブルの横を通り抜けようとして、1枚だけはみ出た紙が気になりそれを手に取る。
「なに、これ?」
宛名も無ければ差出人の名前もない。
しかし、その手紙の文字には見覚えがあった。
死んだ、元恋人の××の字で書き綴られた手紙の内容はとてもじゃないが読んでいて気分のよいものではなかった。
自分が知る限りの恋人はこんな湿度の高い嫉妬心や怨み言を言うような人物ではなかった気がする。
それもこれも自分が楽になりたいからと気持ちに流され付き合った結果が××を歪ませたのかもしれない。
「はは …ちゃんと愛されてたんだな、俺」
素直になれていれば、ちゃんと向き合えていたらこんな馬鹿な事を考えなかったのかもしれないのに。
「仁人、どうし…」
寝室から出てきた勇斗に手紙を差し出す。
「なんで?なんで、黙ってたの…」
「それは…」
俺に向けたものではなく勇斗に向けられた内容だとしても知りたかった。
「俺ね、勇斗と過した2週間幸せだったよ」
恋人が死んだのに他の男と、それも仕事仲間であるメンバーであり片想いしていた相手に向けていい感情ではないのはわかっている。
「好きだよ、勇斗。メンバーとしてじゃなくて1人の人間として、男として…」
できたらこのまま一緒にいたかった。
この手紙の存在を知らなければ勇斗の隣にいられたかな?
「ずっと、大好きだよ」
「仁人?」
そのまま玄関へ向かい走り出す。
××が待ってる。
「待って仁人!!」
そのまま屋上へと続く階段を掛け上がる。
××はこんな事をしないと俺の心を掴めないと、勇斗に勝てないと思ってたんでしょ?
そんな事しなくてもよかったのに。
「勇斗、ごめん。愛してる」
伸ばされた手に触れること無く、そのまま都会の海へ飛び込んだ。
🩷さん視点
結果的に俺は××の実験を仁人の死で終わらせてしまった。
「なんで…」
好きなら、愛してるならそばにいてくれたらよかったのに。
俺は、仁人になにも伝えられてない。
なにもかも捨ててでも俺たちを知らない何処か遠くへ行く覚悟だってあったのに。
仁人の香りが微かに残るパーカーを抱きしめる。
「俺もそっちに行くよ、待ってて」
奪われたものを取り返しに俺は家を出た。
end.
最後失速気味になっちゃいましたがこれで終わりです。
お読みいただきありがとうございました!!
180