コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「………………左?」
「……………………」
「いや…………やっぱり右?」
「…………………………」
「……もー。
神崎くん、全然表情変わんないじゃん」
「そう?」
「こうなったら、一か八か………。
よし………………左だっっっ!!!!」
「残念、ハズレ。次俺ね」
「う……うう…………っ」
「はい、アタリ。また俺の勝ち」
「うわぁあぁ……!
なんでだ……一回も勝てない……」
「先輩は顔に出過ぎなんですよ」
「くそぅ……。
でも案外、2人きりのババ抜きも白熱するもんだね。
すぐ終わっちゃうけど」
「そうですね。秒で終わるけど」
「さて。
そろそろ私、部屋戻ろうかな。明日も早いし」
「え……待ってよ、先輩。
…………本気で『トランプしに来ただけ』って言うつもり?」
「え、うん」
「…………そんな簡単に
俺のベッドの上、あがっておいて?」
「あ……嫌だった?ごめんね?
一応、お風呂は入ったけど」
「はぁ……ほんまに先輩ってさぁ………………」
「えー、なんか怒られそう。
その前に退散しなきゃ」
「……もうここで寝ればいいやん。
せっかくこんな、ベッド広いんやし」
「いやいや。何言……って、ちょっと?」
「んー?」
「あ、あの……それ以上、近寄られると、
倒れ…………わっ……わわっ!!」
「………………」
「っ……………」
「……………………どう?
エコノミーのより、寝心地よくない?」
「そっ……そんなことより…………近い」
「はは。
こーやって先輩を見下ろすの、悪くないですね」
「う……|退《の》いてよ…………っ」
「いや、先輩。自分のせいですよ。
そんな無防備で、ダメやないですか。
『トランプするだけ』なんて普通、誰も信じてくれへんよ?」
「ごめ……わか……わかったから…………!」
「ねぇ、そろそろ思い出してよ」
「な……なにを…………っ」
「俺が、先輩を好きなこと」
「…………!」
「あーあ、ほんまさぁ……。
先輩が『恥ずかしい』とか言うから、
最近『可愛い』とかも、控えめにしてあげてたのに。
え、忘れる???普通」
「わ、忘れてたわけじゃ…………」
「じゃあ、ちゃんと考えてくれてるんですか?俺のこと」
「神崎くんの……こと…………」
「そう。全然そんな素振りないんやもん。
俺、ずっと待ってんのに」
「そ……それは…………その…………」
「………………ねー、先輩。好きだよ」
「………………!!!」
「………………先輩は?
こんなに近くても……なんとも思わへんの……?」
「ひょえ………………っ」
「やっぱり………………俺じゃあかん?」
「う……あ………わ、わたし……は………っ!!」
「…………………」
「私……は…………………………」
「……………………先輩?」
「…………………”好き”…………なのかなぁ……」
「え」
「い、いや……まだ、ハッキリとはわかんないんだけど……」
「う、うん…………」
「さっきも言ったけど……
今回の出張も……なんか……すごく……
楽しみ、だったし…………」
「………………」
「そ、それと……
神崎くんに『好き』って言われるとね……
その…………恥ずかしい……けど…………」
「……うん」
「………………う、」
「………………『う』?」
「うっ………………嬉しく、て……………」
「…………………先輩それ、本気で言ってる?」
「う……うん…………一応」
「…………俺と付き合ってくれる、ってこと?」
「…………ゔっ。ま、まあ……。
こんなんでも……よろしければ…………」
「…………………………………」
「…………………………………」
「……っ」
「ぅわっ!?重……っ!!
ちょ……急に降ってこないでよ神崎くん……っ!
ねぇっ………お……もい…………っっっ!!!」
「…………………………やーべぇ。死にそー」
「エッ」
「どうしよ、先輩。
…………まじで死にそう。嬉しすぎ」
「……………あ……そ、そう……なんだ……?
ちょっ……とりあえず、一旦離れてっ!」
「嫌」
「っ………………もう!」
「てか。やっぱ先輩が悪いんやん」
「なっ……どういう意味!?」
「あの状況で、そんな可愛いこと言ってさぁ。
このまま滅茶苦茶にされたって、何も文句言えませんよ」
「めっ…………!?」
「…………それとも。
もしかして……………………」
「な、なに………………っ」
「……………………実は、誘ってます?
一応、買ってあるけど」
「!!?!
ち、ちちち違う!!」
「ま、とりあえず。
さすがに、キスくらいは許されるよね?」
「あ……う……あの、ちょっと待っ———」
「—————待てない」
「っっっっ……!!!」
「…………………………………………」
「…………………………………っはぁ」
「…………………………生きてる?」
「…………………もうムリ、溺れる」
「はは。まだまだ足りんっすよ。
いっぱい俺に溺れてね、先輩」
—————end—————