注 意 事 項
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︎︎︎︎︎︎☑︎紫桃
︎︎︎︎︎︎☑︎モブ視点あり
︎︎︎︎︎︎☑︎学パロ
「今日3限の体育はグラウンド集合ってクラスに伝えてくれ」
たまたまそこに居合わせた俺にそう告げ職員室の奥へと姿を消していく体育教師。
サッカー部の顧問に用があり職員室を訪れたのが運の尽き。どうやら厄介事を押し付けられたみたいだ。
こういった連絡事は、あの真面目な学級委員長に言えばいいのに…。
なんて、ただ伝えるだけじゃんと思うかもしれないが俺は極度の面倒くさがり、プラス、クラスで表立って何か発言する勇気は俺には無い。かと言って、誰かひとりに伝えて最終のひとりまで伝わりきらなかったとしたら?責任は俺にあるのか?
はあぁ…面倒くさい、憂鬱だ…。
急激に重くなった体を180度転回させ元来た道を辿ろうとした刹那、ドンッと効果音が付きそうな勢いと「わあぁぁ」と喉を絞めたような間抜けな声が廊下に響き渡った。
「ど、え、わっ、ごめん、大丈夫っ?」
こういう奴の為にある言葉なんだろう。
人の心配より自分の心配をしろ、という言葉は。
仮にも俺は、県でもベスト8は固いこの高校のサッカー部スタメンだ。
上背だって、筋肉だって体幹だってそんじゃそこらの一般ピープルより遥かに上だと自負している。ある程度の接触で倒れるほどヤワじゃないし、なんならサッカー中でなければ弾き返してしまう事もしばしば。今日この時も、その例に漏れず噂をすればなんとやらと言うように、あの真面目な学級委員長とぶつかった挙句に尻もちをつかせてしまった。その拍子に、委員長が抱えていた書類は宙を舞いバサバサと音を立て廊下に散らばった。
どこからどう見ても第三者視点では心配されるべきは委員長のはずなのに、そのふわふわな黒髪と桃色の前髪を靡かせながら突き飛ばした張本人を心配している。
11月に差し掛かった今、ようやく秋という季節が頭を現したが、委員長は毎日忙しなく何かと頼まれ事に奔走している為か、腕捲りされたシャツ1枚だけ。つい先日まで照り付けるような日射しが人類を苦しめていたというのに、腕捲りされたシャツから覗く委員長の腕は真っ白く、常に炎天下に晒された俺のものとは部位そのものが違うように思えた。
委員長の風に靡く髪の香りが俺の鼻をくすぐる感覚に心地良さを感じながら、慌てふためく彼に軽く大丈夫だと伝え散らばったプリントをかき集める。
「佐藤は田中先生に用事?」
俺のカエルの様に足を開いた格好とは違い、兎のように丸く、ちょんと揃えられた爪先がいじらしい委員長。
一軍の部活に所属していてもクラスでの立ち位置は三軍、良くて二軍の糞程度の俺の名字を覚えているなんて心底驚いた。それに、田中先生の名が出てくるという事は、俺がサッカー部に所属している事も把握しているという事。
もちろん、委員長がクラスの友達を陽キャだの陰キャだの、やれカーストだなんだといったもので判断していない事は言われなくても分かっている。でも、委員長の取り巻きが俺達の様な所謂冴えない奴らからそういった偏見を持たれる原因にある事だけは弁解させてほしい。
「あ、いるま!」
用事があるのか、と問われ、委員長のにこにことした端麗な顔立ちを直視する事も出来ず、プリントをかき集めるキメ細やかな柔肌をした女性というにはあまりにゴツゴツとした至って男の手を眺めつつ頷く。
それとほぼ同時で、委員長が床を眺めていた顔を勢い良く上げるものだから見てもいなかった委員長の目からまるで逸らすように慌てて視線を横に外した。
俺の背後から感じる気配と彼が呼んだ名前に更に俺の目線は泳ぐ。
「ドア前で何してんの?邪魔」
俺の真後ろにゆっくりと近づき、吐き捨てるように言われた言葉。
最後のひと言は明らか俺に向かって仰ってますよねえ!?
「邪魔って失礼な!おれってそんなに面積取ってるかなあ?」
いやいやあんたに向かって言ってねーだろそれは。
委員長ってこんな天然だっけ?
まあ、普段からこの人ら小学生も顔負けの小競り合いしてるもんな、自分に言われてるって勘違いしても無理もないか。
「あーおまえ最近デブったもんな」
「デブってないもん。いるまが勝手に言ってるだけじゃん。体重変わってないもん」
「数字には表れん脂肪が……、ほれ」
「うひゃっ」
「こぉんなに摘めるべや」
……一体俺は何を見せられてるんですか?
委員長の取り巻き1号曰く、最近太ったらしい委員長。
プリントをかき集める為、兎のようにしゃがんでいたところを、1号によって脇を抱え上げられ立たされた委員長。そのまま1号の手は委員長の体のラインを伝って滑り落ち、脇腹辺りを掠めた時、くすぐったかったのか委員長から艶かしくも幼児の様な声が漏れた。
俺は見逃さなかった。
委員長が不意に漏らした声を聞いて、1号が喉を上下させた事。
そして俺が、体の芯から猛るような何か、焦燥感の様なものに駆られている事に気づいた。
俺と同じ種のはずなのに、到底俺と同じ種とは思えない程の容姿。声。性格。
人は自分と似た者と群れ、異なった者に惹かれるらしい。
取り巻き1号に横腹を摘まれ、不意に出た声か、はたまたその行為自体に、そんなに男の欲情を煽る顔をしているのか。
事実、そんなのはどっちだっていい。
重要なのは、その顔を俺に向けてほしいと言う事。
「おまえシャツん中、昨日言ったやろ」
「…動いてるとまだ暑いもん」
「はぁ…おまえなぁ、いいか?」
「やだ!」
「あ、こら!耳塞ぐな」
「やぁだあ!いるまのお説教耳にタコ」
「おまえが馬の耳に念仏やからやろ」
委員長って意外と駄々っ子…?
クラスではいつも、みんなに頼られて、頼られると断れない性分で、裏表のない本当に純粋に優しい奴で。
俺はそんな委員長しか知らない。
でもこいつはさもこれが日常かのような態度だ。
「おまえは運動量が普通に生活してる奴の倍なんだよ、こさめよりかはましか知らんけど」
「こさめと一緒は嬉しいけど、嬉しくない、」
「体温調節がバカなんやから俺の言う事大人しく聞け。いい加減、シャツん中にヒートテック着るかカーデくらい羽織れバカ」
「いるまみたいに骨と皮だけじゃないから暑いもん」と未だにぶぅぶぅと駄々を捏ねる委員長に慣れているのか軽くあしらいながら、俺が食い入る様に眺めていたその柔肌が1号によって、捲ったシャツを下ろされ隠されていく。
この陽キャですら骨と皮呼ばわりされんの?
体育前の更衣中、いやでも目立つこいつらをガン無視なんて出来るはずもなく、たまたま見ていたけどこの人なかなかいい体していたはず。
委員長のお眼鏡にかなう日はめっぽう先か。
それ以前に……、
「んで?お前は何なん?」
「あ、引き留めてごめん。おれがぶつかってプリントばら蒔いたの手伝ってくれてたんだよ。ね?」
「あー…そ。あ、たな先いんじゃん、用あったんやろ?こいつが迷惑かけたみたいでわりぃな」
「あとは俺が手伝っとくから行ってこいよ」
去り際に、ついさっき体育教師に頼まれた伝言をそのまま委員長に託す事にし、足早に職員室の後ろ扉に向かった。
“こいつが”迷惑かけたみたいでわりぃな…って。
まるで自分のものだと言いたげな物言いに、あの俺を見る目は誰がどう見ても、意味する事は明白で、即ち牽制。
俺の目の前で必要以上のスキンシップ、すぐ場を離せば良いものを敢えて2人だけの知る話題を引っ張り出したり……。
…くっそ性格わりぃな。
独占欲の塊かよ。
「佐藤だっけ、お前。また今度礼するわ」
ひぇっ……。
「なんでいるまがお礼するの?」と暢気とも、天然とも、怖いもの知らずとも取れる発言をしている委員長には、今後一切深く関わらないでおこうと高校2年の11月11日をもって俺は心に誓った。
11月11日、サッカーの日だから体育はサッカーだとか抜かしやがった教師に、内心好きなサッカーが出来ると舞い上がった己に、数分前の己に、敵が悪すぎると釘をさしてやりたいくらいだ。
ん?
つか、なんで俺が田中先生に用があるって知ってたんだあの人。
…………。
触れぬ神に祟りなし、か。
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「なんか今日お前ら距離感いつもよりバグってね?」
「ん、もうすぐ冬だってのに未だに薄着のバカを温めてんだわ」
膝の上にらんを乗せ、腰に両手を回し、当の本人いるまはらんの背中に頬を乗せもたれていた。
普段から、常に隣は譲らず、らんの行く先全てを目で追い、何かしらのテレパシーか何かを感じた時はひよこの様に後を追って行くいるまを見ているなつですら、今日の距離感には言及せざるを得なかった。
「とか言って、お前が寒いだけじゃね。な、らん?」
「めっっっちゃ邪魔ぁ!」
なつに問い掛けられ、シャーペンを動かす手を一旦止めて軽く不満を漏らすらん。
5限目後の休み時間、日直であるいるまに押し付けられた学級日誌を渋々書きながら、いるまを退かそうと偶にちょっかいを掛けていたのだがビクともしない彼につまんなと感じ始めた矢先だった。
「カイロになってやってんだから大人しくソレ仕上げろ」
「どこまで横暴なんだよ。おれは暑いんだけど?」
「今日はかまってちゃん彼女ムーブなんだよこいつ」
「かわいくないからな、言っとくけど」
「うっせ。だるおまえら」
「こわ。糖分不足かぁ?らんちゃんあんま近づかん方がええけ、こっち来な」
「もおお前らどっちも邪魔!おれ日誌提出行くから!」
「そうカッカすんなって。ほれらんちゃん、あーん」
机に置かれた包装紙から1本のポッキーを取り出し、らんに向かって差し出す。
「あー…ぅむ……んまぃ」
「なつおまえっ、勝手に餌付けすんなって!最近こいつぷよぷよになってきてんのに」
「ふとっへないもん!」
なつからあーんして貰ったポッキーを咥えたまま、デブっただのぷよぷよだの悪口を言ってくるいるまに負けじと言い返す。
「重いんだよおまえ」
「じゃあわざわざおれのこと抱っこしなければいいじゃん!」
いるまの言い分は、なつが毎日毎日らんに餌付けするからだと標的をなつに変更した。
「俺はいっぱい食べるらんが可愛くて好きだよ」
「おれもなっひゃんしゅき」
「甘やかすな!…あ゛あ゛ッ、それ没収な!」
背後かららんの顔を引き寄せ、口に咥えられたポッキーにかぶりつく。
「お、大胆」
まるでそうなるように仕向けた様に、満足そうにニヤニヤと笑顔を浮かべながら感嘆の声を漏らすなつ。
いきなりの事に目を見開くらんだったが、そんなのは一瞬の出来事でポキッと音がしたかと思えばいるまの顔は再び離れていった。
「…甘ぇ」
ほんのり紅潮した頬に、普段はつり上がった目尻が満足そうに垂れ、直接目を合わせるのは恥ずかしいからとそっぽを向くいるまに対して、
そんないるまの思いは露知らず、訝しげな眼差しで彼を見るらんに思わず傍で見守っていたなつが吹き出した。
「ぇ…お行儀悪い…食べたかったならなっちゃんに言えばくれたんじゃない?」
「おまえ……ぁー、…うん、俺にもポッキーちょーだい」
「はーいw」
爆笑しながらポッキーを袋ごと手渡すなつ。
その袋から一気に3本程束ねて、そのまま口に放り込み机に項垂れるいるま。
ようやく解放して貰えたらんは、6限目は自習だと分かっていても残り少ない休み時間中に間に合わせるようにパタパタと日誌を持ち駆けて行った。
入れ違うように自販機から戻ってきたみことが、机に突っ伏しているいるまを見て首を傾げる。
「まーたらんへのアピ失敗したんよ」
もぐもぐとポッキーを食べている頬をつんつんと突きながら悪戯気な笑顔でみことに説明する。
「全部おまえのせいやからな…」
「俺に八つ当たりすんな?むしろ感謝してほしいね、ポッキーも持ってきてやったし、アシストしてやったろ?」
「……はぁ」
「なになに?」となつに説明を求めるみこと。
今までの一連の流れを説明すると、納得したようにみことが「あー、だからか」と独り言のように呟いた。
ため息をついて本格的に机に沈み込んだいるまには聞こえていないようで、チャンスだと言うようになつはノリノリでみことに聞き返した。
「すれ違った?」
「うん、そこで。声掛けたけど、らんらん慌ててたみたいやったから聞こえんかったんかな」
そこまで言い終えると、なつの耳に顔を近づけ、いるまには決して聞こえないようにこそこそ話を始める。
「らんらん、顔真っ赤っかやった」
その言葉を聞いて、「やっぱり」とくふくふと2人して目を合わせて笑い合う。
両片思いな2人の気持ちを知っている2人の、甘くて溶けそうな内緒の話。
「なんかプリッツ食べたくね?」
「甘いものの後はしょっぱいものって言うもんな。俺やっぱコーヒー買ってこよかな」
「買い行くかみこと。いるまは?なんかいる?」
「……なんか甘えもん」
「…りょw」
両片思いな2人の内、ひとりはまだ甘さが足りないらしい。
いつその甘さに気づくのか、内緒の話はいつまで続くのか。
甘さを知らず項垂れているひとり、恥ずかしくて真っ赤な顔を悟られないように逃げるように教室から飛び出したひとり、その2人とは正反対に購買へ向かう2人の足取りは軽かった。
11/11だからってオーソドックスにポッキーゲームのお話なんか書きたくない主が抗って試行錯誤した結果です💁♀️
コメント
6件
うわわわ最高です😭😭♡ 紫さん明らかに牽制してるの最高ですね🤞🤞💕︎しかもそれに気づいてない桃さん激メロすぎますね🎀 赤さんが個人的にとても好きですね🥹🥹しかも赤さんの”桃ちゃん”呼び本当に好きなんですよ😭😭😭🩷 さいごのさいごに黄さん登場でさすがに湧いた✋✋ 赤黄かわいい(⇽そこじゃない) 語彙力高杉くんで終始感動が止まりませんでした😭最高でした!! これからも楽しみにしています😭😭♡♡
ぅわ……好きです。この小説と結婚を前提に結婚してもいいですか??(ᐡ ̥_ ̫ _ ̥ᐡ)ɞ˚˙ お話とぶんですけど良ければ仲良くしてくれませんか……!いつか主さんみたいな小説描きたくて……🙇🏻♀️´-