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日曜日。配信が終わり、駄弁っていた時だった。誰が言い出したのか、学生時代の思い出を一人一人言っていくという流れになり、最後の赤羽の番になった。
「そういえば俺、この前小学校の時埋めたタイムカプセル掘ってきたんだよね」
「小学校」
「20年前のタイムカプセルかぁ」
「クラスで埋めたの?」
「うん、久々に小学校の同級生と担任の先生で集まって。校庭に埋めたんだけど全然見つかんなくて大変だったんだよ!」
「校庭が強盗入った後みたいになってそう」
テープでぐるぐる巻きにされていたカプセルを苦労しながら開封し、手紙やら名札やら雑貨やらを懐かしい気持ちになりながら見た、と報告する赤羽。もちろん五人が気になるのは彼が何を入れていたかだ。気乗りのしない様子の赤羽をなだめすかしてやっと白状させたところによると、20年後の自分への手紙を書いていたらしい。友達がやっているリアルケイドロの話や、将来の夢について純粋な少年の目で描かれた手紙はメンバーから賞賛と爆笑の嵐を受け、これ以上この話題について話したくないとばかりに彼は話を続けた。
「それで!タイムカプセル開けた後、担任の先生が一人ずつ名前呼んで中のもの配り始めたんだけど、最後に誰のか分からないネックレスが出てきて!参加してる人の中に持ち主がいなかったから先生が「今日参加していない三人の中の誰かのものかもしれない」って三人と仲が良かった俺がネックレスを預かる事になったんだ」
「どんなネックレス?」
「ちょっと待ってとってくる」
そのネックレスは、よくあるシルバーやゴールドのものではなく、珍しい黒いネックレスだった。小学生がこんなものを入れるか、とも考えたが、とりあえず持っておく事にしたらしい。
「黒いネックレスって初めて見たな」
「いかにも厨二病が持ってそう」
「でもなんか気味が悪いですね…」
ひとしきりネックレスの話題で盛り上がり、桃宮が信頼していいのか分からない鑑定をするなどの一幕もありながら、最終的には「このネックレスは誰のものなのか」というところに落ち着いた彼等。赤羽が言っていた「仲が良かった三人」は小学校の時よく遊んでいた仲で、その内の二人が女子の為、二人のどちらかが持っているのではないかという結論に達した。
「でも、俺その二人の連絡先知らないんだよね…」
「いきなり終わった」
「知ってる人とかはいないの?」
「うーーーん、男の方の連絡先は持ってるんだけど」
「じゃあそこに連絡してみればいーじゃん」
「確かに、女子の連絡先持ってるかもしれないしな」
「ころちゃん天才!」
早速連絡をしてみる赤羽。少しすると既読がついたのでネックレスについて聞いてみたそうだが、彼が入れたものではなく、女子二人の連絡先も知らないようだった。落胆しながらも、せっかくだし今度ご飯でも行かないかと誘ったところ、数日前にひき逃げにあって入院している、ときた。
「ひき逃げ⁈」
「警察に連絡した方がいんじゃね?」
「んー、なんか酔ってフラフラ歩いてるところをひかれたらしいから別にいいらしい」
「どっちもどっちだった」
「でも、連絡先結局わかんなかったね」
「もう自分のものにしちゃえば?」
「知ってるかころんそれ窃盗罪って言うんやで」
「二十年経ったらもう時効だって」
「……俺、その二人の実家行ってみる」
「え」
「いやいやいや」
「小学校の時よく遊びに行ってたし」
下手すれば自分が犯罪者になるからやめとけと総ツッコミを喰らう赤羽だったが、彼の意思は固い。もう行くことは決まっていると悟った五人は、今度は思いっきり茶化し始めた。「小学校時代はなんとも思ってなかった女子が大人になってすごく綺麗になってたりする」だの「『えっ、まさか莉犬くん?』『もしかして女子ちゃん⁈』『久しぶり、ねぇ、家上がって行きなよ』『え、でも…』『今親いないからさ…』『…!!』」だの。女声の才能をここぞとばかりに使って散々からかわれ、顔を真っ赤にしながら赤羽は、明日行ってみる、と宣言した。なんだかんだいって赤羽のことが心配な五人は相談して、黄星がSECOMとしてついていく事になった。
「頼んだよるぅとくん」
「生きて帰ってこい」
「変な事せんといてな」
「写真撮ってきて」
「ころジェルだけなんかおかしくね?」