テラーノベル
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年齢逆転 / 未成年喫煙描写 / 解釈不一致
⚠︎本ストーリーは未成年喫煙を助長するものではありません
ご理解ある方のみお進みください
何故かいつもより早く目が覚めちまった俺は、キッチンで換気扇を回しながら、火のついた煙草を片手に朝飯のことを考えていた。
リビングの扉が開く音。ふらふらとやってきたあからさまにご機嫌斜めなアキに、思わず吹き出してしまう。朝はいつもこうだ。
「…なんですか」
「んや、なんもねぇ」
わしゃわしゃと頭を撫でてやれば、気の抜けた笑みを浮かべるのだから、俺まで全身の力が抜けそうになる。
「あ、ちょっと…煙草吸うならベランダでって言ったじゃないですか」
「ゃべ。てか、いーだろもう。あんま変わんねぇって」
煙草を認識した途端、さっきまで柔らかかったその顔が、一気に強張る。眉間に刻まれた皺が、はっきりと不機嫌を主張していた。
俺が何を言っても、アキが自分の中の常識を譲ることはない。駄目です、と言いながら俺の至福に手を伸ばしてくる。
「おーい、お前に渡す方が駄目なんじゃねぇの」
「俺は俺のことを信用してるので」
「説得力ありすぎてうぜぇわ」
こんなバカ真面目くんにそう言われて仕舞えば、返しようがない。こうなると俺が曲がるしかないのだ。早く起きた朝の珍しいご褒美タイムは、コイツによって奪われてしまった。
「消すから灰皿くれ〜」
「消さなくても、外で吸えばいいじゃないですか」
「いや流石にさみぃって、凍え死ぬわ」
目の前に置かれる灰皿に、まだ長く残った煙草を擦り付けようとする。ふと、熱い視線が物に向けられているのを感じた。
「…吸う?」
「未成年なので」
「今なら俺と間接キスだぜ」
「だから気になってんですよ。煙草自体に興味はない」
「ほ〜ん、言うじゃねぇか」
恥ずかしがる様子も、悪びれる気配もない。その態度が癪で、年上の意地を張りたくなった。
まだ火が残る煙草を、もう一度見せつけるように吸ってやる。
「ぁ、だからここで吸うなって言っ」
「あい」
直前まで俺の口に付いていた煙草をアキの前に差し出す。思わず身を捩ったアキが、俺と煙草を交互に見て顔を顰める。
「未成年だって言いましたよね」
「でも気になってんだろ? 俺のせいにすりゃいい」
煙草を持つ指先はアキから少し距離を取ったまま、近づけすぎず、離しもしない。曖昧な位置で止めてやれば、一瞬だけ視線を彷徨わせて、それから煙草の持ち主を睨んだ。
「…悪い大人」
「おー、自覚あんぜ」
どぎつい視線が逸れることはなく、そのまま俺の手から煙草を奪い、自分の口元にやる。
俺が思っていたよりも一気に吸い込み、勢いよく咳き込んだ。想定外の出来事に目に涙を溜めながら笑ってしまう。
信じられない、と言う目で見てくるアキの手にある煙草を取り上げ、また小言を言われる前に一吸いする。
「間接キス目的ならふかしゃいいのに」
「……どうせなら同じ物味わいたい」
「…生意気アキくんがよォ〜」
一丁前にそんな口をきくようになりやがって。無自覚で煽ってくるコイツを、これからどう調理してやろうか。
半分ちょい残った煙草を、惜しみながら灰皿に押し付ける。
「今日の朝飯最強パンな」
「マジでやめてください」
早朝、白い靄が俺たちの間に薄く漂っていた。
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