テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
この話は二次創作です。腐向け、nmmn、hnnm等、苦手な方は閲覧しないようお願いします。何かありましたら非公開とさせていただきますので、ご了承下さい。
なんの気なしのプレゼント
「あ、それ」
何の気なしに見ていた遊戯王のカード。隣にいたちょんまげが、目を丸くした。
「なんとかカード」
「遊戯王、な」
昔、キングとカンタローと友情の証として持っていた、オベリスクのカード。今見ても特別感がある。……まあ、これがキッカケでキングとは絶交になったんだけど。
「ちょんまげ、遊戯王って興味あったっけ?」
そんな記憶はないなあと思っていると、ちょんまげは珍しく含んだ笑いを見せた。
「僕も持ってる」
「え? マジ?」
正直、ちょんまげの家は裕福ではなかったし、プレステは持っていたようだけどカードゲームを買うイメージはない。ただ頭はいいから、カードゲームは強いだろうなと何となく思う。いや、心理戦は苦手そうだけど。
「えー、見せようか?」
なんだ、随分もったいぶるな。何となく後ろに回って脇をくすぐれば、ちょんまげは「あひゃひゃっ」と身体を捩った。ざまあみろ。
「え、それって家にあんの?」
こいつのアパートは、まだ解約していない。一緒に住み始めてもう半年ほど経つのに、ちょんまげはなかなか解約をしようとはしなかった。まあ思い出もあるだろうと、俺も無理にとは言わないけど。
「うん。後で見せてあげるよ」
時計を見れば、キング達との約束が近づいている。
「分かった。イマクニで見せてくれよ」
「うん」
にこにこ笑うちょんまげの頭を撫でて、俺は支度を始める。ちょんまげも上機嫌で身支度をして、俺より早くマンションを出た。
イマクニにはキングとカンタローが既にいて、あーだこーだと話しているとコーヒーがやってくる。
「あれ? も一人は?」
店主に言われ、時計を見る。
「もうすぐ来ると思うんだけどな」
「ちょんまげ、一緒に来ると思ったんだけど」
キングもカンタローも、俺とちょんまげが一緒に住んでいる事は知っている。意外と批判的な反応はなく、カンタローは「じゃ、ターボーは日本にいるんだな、良かった!」と逆に喜ばれてしまった。なんか気恥ずかしくなる。
「あー、アパートの方に寄ってから来るってさ。遊戯王のカード持ってくるって」
ついでにオベリスクのカードを出す。キングはそれを見て、財布からオシリスのカードを出してきた。
「うわ、懐かしい! ってか、俺だけ無い……」
カンタローが唇を突き出す。まあ、ラーの翼神竜はあの時に奪われてしまったのだから仕方ない。
「カードが無くたって、友情は変わらないって」
「そうそう、こうやっていつも集まってるんだしさ」
キングと慰めると、カンタローはニヤニヤと笑う。拗ねたふりするとは、面倒な大人になったな、カンタロー。
「で? ちょんまげは遊戯王してないだろ」
キングに訊かれ、俺も頷く。あの頃の思い出では、ちょんまげが遊戯王をしていた記憶はない。全くない。
「だけど、あいつカード持ってるんだってさ」
俺が言うと、キングもカンタローも首を傾げた。
「……中学デビューした、とか?」
「あー、なるほど。小学校卒業してから別グループになったから、そこからはあんま覚えてないなあ。ターボーは受験したし、キングとは遊んだりしてたけど」
「俺も覚えてない。一緒の中学だったはずなのにな」
キングとカンタローは受験しなかったから、ちょんまげと同じ中学校にいたはずだ。だけど、小学校から中学校に入ると環境は一変する。交流も変わっていくから無理もない。
「あ、お待たせっ」
そこにちょんまげが来た。急いでいたのか、息が切れている。そんなに慌てなくてもいいのに。
「ターボー、顔がニヤニヤしてる」
カンタローの小声の忠告に、そっと顔を引き締めておく。
「ちょんまげ、カードあったか?」
そう訊くと、ちょんまげは赤い顔のまま頷いた。タイミングよく差し出されたアイスコーヒーを一気に飲む。
「いや、ちょんまげ、何でカード持ってるん だ? 遊戯王、やってなかったよな?」
カンタローが言うと、ちょんまげは「えへへ」と笑う。そして、俺を見た。
「ターボーにもらったんだ」
「え?」
マズイ。記憶にない。
「へえ、ターボーに」
「なんだよ、そんな頃から好きだったわけ?」
からかってくるカンタローには肘鉄を喰らわし、とりあえず記憶を辿ってみる。
そういえば……そんな事が……あったような──
二人と別れた後、オベリスクをじっと見つめる。
三人の友情の証……そう思うと、特別なカードがさらに特別になってくる。
ずっと大事にしよう、そう思ってると、後ろから声を掛けられた。
「それ、なあに?」
そこにいたのはちょんまげで、じっと俺のオベリスクを見ている。あれ、こいつ遊戯王知ってるっけ?
「これは、特別なオベリスクなんだ。友情の証だからなっ」
そう言うと、ちょんまげの目が丸くなる。
「友情の証……」
「まあな」
「いいなあ」
何! 俺のオベリスクが欲しいのか⁉︎
一瞬そう思ったけど、遊戯王をしないちょんまげがオベリスクを欲しがっても仕方ない。という事は……
「じゃ、ちょんまげにもやるよ。友情の証」
そう言うと、ちょんまげの顔がぱっと明るくなる。俺はカードケースから……
あ、やっぱりあげたな、カード。しかし、肝心のカードが思い出せない。
唸っていると、ちょんまげは大事そうにカードを出した。ちゃんとスリーブに入って綺麗に保管してある。あの荒れ果てた部屋からは想像つかないが。
「ほら」
出されたのは『プチテンシ』と書かれた丸い天使?が描かれたカード。それを見たキングは口の端を上げ、カンタローは思わず吹き出す。
「? これ、みんなのと違うカード?」
不思議そうに首を傾げたちょんまげの肩を、キングがたたく。
「いや、一緒だよ。良かったな、ちょんまげ(まさかのノーマルカード……)」
笑いを堪えるカンタローもキングに続く。
「そうそう、なんか可愛いもんな!(もっといいカードやれよ、ターボー……)」
二人の笑顔の奥の目が引いている。そう感じたけど、当時俺は小学生で、いくら家が裕福だからってカードが好きなだけ手に入るわけでも無く、さらにカードに興味がないちょんまげに自分の宝物のカードを渡すわけにもいかず……分かってくれよ!
「うん、テンシって書いてるし、お守りみたいな感じで持ってたんだ。ターボーとの思い出、だし」
そう思っていたけど、ちょんまげの可愛いセリフで思わず反省する。
「あー、今度またなんかプレゼントするわ」
「え? 別にいいけど」
「そう言わず、な」
次はもっといいやつを、もっといいシチュエーションで。
こっそりそう誓う俺を、キングとカンタローがニヤニヤしながら見ていた。
コメント
2件
支部で見た時から大好きな作品です!最初見た時プチテンシ調べてちょんまげすぎて萌え転げました。