剣持side
「あの…社長」
「はい?」
「これは、いったい…」
「どうかしました?剣持さん」
「いや…どうかは、してるでしょ」
感動の再会後。今の社長の家に招待された僕とガクくんはデジャヴを感じる広い家に二度目の感嘆を溢した
今生でも『社長』ってどういう運命してんだこの人
ひとしきり家の案内をされ、一段落ついた所で離れていた時間を取り戻すようにお互いのこれまでを語り合うことにしたのだが
現在、ソファーに座っている社長の足の間に何故か僕は座っていて更には後ろから抱き締められている
なんで?
「そ、そろそろ離してくれませんか社長…」
「え…駄目ですか」
うっ…イケメンの切ない表情の破壊力ヤバい
綺麗な形の眉が下がっていて寂しげに揺れる瞳を見ていると、こちらが悪いわけでもないのに罪悪感すら湧いてきてしまう
社長ってこんな顔する人だったっけ?
僕の記憶の中の人と違うんだけど
「剣持さんが人形だった時の癖というか、こうしてると落ち着くんですよね」
「諦めろ刀也さん、これは俺らを置き去りにした刀也さんの罪だぜ」
「罪って…僕が悪いの!?…はぁ、まぁそうですね。好きにしてください」
半ば悟りの境地に達する事で色々と考えるのを放棄した
ぎゅう、と後ろから抱き締める力が増す
「でも私は人形の姿の剣持さんしかしらないので新鮮ですね…人間のあなたは柔らかくて暖かい」
「…なんか変態くさいです社長」
「えっ」
静かにショックを受けて落ち込んでしまった社長に言い過ぎたかと反省する
この二人になら別に触られても嫌じゃないんだけどな…なんて我に返ると恥ずかしい事を考えつつ今日の目的であるアレを取り出した
「うまそ〜!」
室内に広がる香ばしくてスパイシーな香り
「これぞ正真正銘の剣持カレーです」
ドヤ顔で言い放つ僕にテーブルについた二人が「おおー!」と拍手してくれる
「なるほど人間に戻ったらやりたかった事って料理だったんですね」
「はい、指示していたのは僕でしたが確かにあれじゃガクくんの手料理でしたからね」
「まぁ、なんだかんだ刀也さんの指示のお陰で俺も料理スキル上がったんだよな~」
ぱくりと一口目を皆で味わう
何種類ものスパイスの香りが一瞬で口内に散らばった
「っ〜んまい!剣持カレー最高!」
「なんだか懐かしい味がしますね」
それぞれが嬉しそうに食べる姿にこちらも満たされていく
「喜んでくれたなら良かったです」
これからも変わらず、こうして毎日を過ごせるだろうか
大好きな、この人達と一緒に。
おわり
番外編も読んで下さった方ありがとうございます✨
三人は、これからも幸せですよ!
長編を書ききったのは、初めてで自分の中でも大切なお話になりました。
コメント
10件
全編見させていただきました…! テラー結構やっているのですがここまで素敵な作品初めて見ました…✨ 番外編も素敵でした!!!! 三人が幸せでいてくれますように🍀
剣持カレー出たぁ!!3人幸せにイチャイチャしてくれー!! 個人的にはこの後剣持を取り合う2人のドタバタラブコメとかも読みたくなってしまう…愛され剣持可愛いんだ…。幸せに暮らせ!式(どっちとの?←)には呼んで下さい!!
番外編も最高です!微笑ましい😌