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さち
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すいらん
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#すち受け
瀬那
227
__そんなこんなで集まった俺たち。春の暖かな季節から夏のアッツい季節へと流れていく、夏休みが始まる直前。
俺らは、部活が本格的に始まってからこの数ヶ月間…ずっと話し合いしてます。
※ ※ ※
🩵「こさ、この曲やりたい!!」
🩷「でもこれギターむずかしいけど…。」
❤️「ぅ゙っ…簡単なので、お願いしますっ……。」
💜「俺も、あんまムズイのあるのはまだ無理かもな。」
💛「なら、これなんてどうですか!」
💚「あれ…この曲、キーボードないな……。」
💛「ぅえっ!?ご、ごめんなさい…全然見てませんでしたっ!」
💚「全然いいよ。笑 焦らず、ゆっくり決めて教育機関のこ?」
なかなかみんなの納得のいく曲が決まらず、時間を大量に消費していたのだ。
❤️「曲のジャンルは似てるけど…」
🩵「聴く曲の雰囲気はバラバラだし、簡単なのないっ!!」
💛「困ったなぁ……。」
そんな感じで、話し合いばかりでぶつかり合いばかりの部活に、ちょっとギスギスしていた。
テストやら体力測定やらあって…どうしようかと少しずつ悩んでいたら、もう夏休み直前。
俺は、テーブルに置かれた1枚の紙を見た。
いるのかいないのか、分からない程度の存在感しかない、俺らの顧問先生からいつのまにか届けられていた。その紙には、こう書いてあった。
『 文化祭ステージ・一枠 』
俺らの初舞台。それは、うちの高校の文化祭で行われる、小さなステージの一枠。2、3曲ほど演奏したら終わってしまうような、小さな小さな枠。
❤️「う~ん……。」
ギターを抱えて触れながら、少しずつ曲を決めている。今の調子じゃ、練習にさけるのは夏休みの期間くらい…。
いや、このままきまらなければ。文化祭のステージに立つことも出来ず…解散になるかもしれない。
と、すこし不安を抱えている。
全然ギター上達もしないし。このままじゃまずい。と、焦りを感じ始めていた。
🩷「……ねぇ、俺らで遊びに行かない?」
突然、らん先輩からそう言われた。
❤️「ぇっ…?」
🩷「たとえば…明日っ!!」
💜「いくらなんでも早すぎるだろ。」
💛「楽しそうですっ!俺いけますっ!!」
🩵「っ…!こさもっ!!」
💚「俺も、明日はずっと空いてるよぉ?」
混乱した様子の俺を置き去りに、みんなに笑顔が戻っていく。明るい雰囲気に不安は跳ね飛ばされ、俺も楽しい気持ちになってきた。
❤️「っ…おれも、空いてますっ!」
そうして、明日。夏休み初日。唐突に、バンドメンバー全員で初の遊び。駅前のカラオケ店に、足を運ぶことになった。
※ ※ ※
夏休みに入って一日目。昨日約束した駅前のカラオケ店近く。
ワクワクしすぎて、少し早めに着いてしまった。暇をつぶしながら、ほかの人達の到着を待っている。
集合5分前にすち先輩とらん先輩。時刻ぴったりくらいのギリギリに、みこととこさめがやってきた。
💚「相変わらず、いるまちゃんは遅刻グセあるねぇ~…笑」
🩷「変わんねぇな。笑」
なんて、先輩たちが笑いあっているので。遅刻常習犯なんだろう。
俺らはそんな時間も、何歌おうだとか。これ一緒に歌わない?だとか。楽しそうに会話をしていた。
💜「わり、遅れた。」
集合時間の5分後、やっといるま先輩が現れた。
少し特徴的な服のセンスで、アクセサリーもバチバチ。白のパーカーにジーンズの俺とは、まるで違ったお洒落な格好。
やっぱ、かっこいいな…なんて思いながら。カラオケ店に入るまで、なぜか目がはなせなくなった。
※ ※ ※
🩵「こさ、これっ!!」
💛「うぇっ…!?マイクなんて、どれもおんなじやろ!!」
🩵「へへんっ!実は、マイクには違いがあって…一番右のマイクは絶対百点取れる魔法のマイクなんだよ、ミコちゃん!」
💛「うぇ、そうなん!?」
💜「なわけねぇだろ。」
入ってからもずっと楽しそうに騒ぐ2人を見ながら、なんだか微笑ましく思えてくる。
こさめがさっさと曲を入れて歌い出す。そこから時計回りで、全員が順番に曲を入れていった。
俺も一応誰でも知ってそうな曲を入れて、順番を待つ。
全員歌うますぎて…順番が回ってくるまでに、もう自信喪失。歌いたくなくなってきた……。
❤️「こさめは相変わらずだし…先輩も歌うめぇな…。」
ちょっと気まずそうに俺がそうこぼすと、みことも共感しながらとなりで苦笑いしている。
1代のタッチパネルを奪い合う3人、らん先輩、すち先輩、こさめを横目にみながら、俺とみことは何を入れるか。そもそも、歌うべきかを悩んでいる。
2人でタッチパネルを抱えたまま、次々に入れられる3人の曲を聴くので精一杯だった。
💜「…歌わねぇの?」
そう、声をかけたのは俺のもう一方の隣に座っている、いるま先輩。
いるま先輩もさっきから曲を入れておらず、歌っていないが。マラカスでガシャガシャと。わざとなのか、あり得ないくらいうるさくしている。
❤️「ぇっと……。」
💛「先輩たち、すっごい上手くて。」
💜「萎縮してんの?」
💛「はいっ!」
💜「元気に答えんなよ。笑」
明るい表情で萎縮(?)しているみことの横で、借りてきた猫のようにキュッと縮こまっている俺。
そんな俺の方に、いるま先輩は顔を傾けてきては、じっと見てくる。
突然、みことがお腹のあたりで抱えていたタッチパネルをヒョイッと持ち上げ、操作を始める。
❤️「…ぇっと……??」
💜「…お前ら、この曲知ってる?」
💛「あっ!それ、なっちゃん好きなやつです!!」
❤️「お前っ!言うなよっ…!!//」
勝手にみことに暴露されては、いるま先輩は予約リストに入れてしまった。
向こうの方にある、1台のタッチパネルを奪い合っている先輩たちやこさめは気が付かない。その間に、いるま先輩はヒョイッと次の曲に割り込み予約してしまった。
❤️(先輩、歌ってくれるのかな…。)
それは一人で歌うには息継ぎが大変なデュエットソングで。オクターブ下げたときのあたたかな低音が好きで、本家よりも歌ってみたとかを聞いてしまう。
こさめか、明るく透明感のある。さわやかな高音の夏の歌を終えて、ふぅっと大げさに息を吐く。
いつの間にか、目の前にこさめが「百点を必ず取れるマイク」と騒いでいた、あの右端のマイクが向けられていた。
その手は、アクセサリーが付いていて。男っぽくて、ゴツゴツしている。なのに、柔らかくてどこか気まぐれな猫みたいだ。
鼻を、すこしツンとした柔らかな香水がかすめる。あ、好きな匂いだな…なんて、無意識に感じてしまった。
みると、いるま先輩の手だった。
❤️「…ぇっ!?」
💜「ほら、好きなんだろ…?笑」
🩷「ちょっといるま!!次、俺の番だったっ……モゴッ!?」
💚「は〜い、らんらんストップ。次は、ひまちゃんの番ね?笑」
後ろから、吠えるようにこちらに騒ぎ立てるらん先輩の姿が見える。すると、後ろから手が伸びてきて口を塞いで奥の方へ引っ込めていってしまった。
❤️「でも、次らん先輩の…」
💜「いいから、前奏終わる。」
無理やりマイクを渡され、ギターが鳴り止む。ボーカルの、入る合図だ。
❤️「ッ…~、~~~♪」
緊張しつつ、少しずつ音をとる。いつも聞いている、オクターブ下げた下のところ。
やっぱり、デュエットソングだし…息継ぎのところが難しい。早口だし、緊張でいつものように舌が回らない。
💜「…~~~♪」
❤️「ッ…!!…~~♫//」
苦しそうに歌っているところを見てか、いるま先輩がもう一方のパートを担当してくれる。
その様子を、先ほどまで騒ぎ立てていたはずの先輩たちも、こさめも。
みんな、注目している。
❤️「~~~♪」
💜「………~~~♫」
いつも大好きで、直ぐ終わってしまうこの曲が。今日はとっても長く感じられる。
※ ※ ※
なんとか一曲歌い終え、ホッと息をついた。
🩵「すっごい!なつくん、めっちゃうまいじゃんっ!!」
❤️「そ、そぅ…?//」
🩵「次次っ!これ歌って!!」
❤️「ちょっ…も、もういいから!!お前が歌えっ!」
そんなことを言い合いながら、狭い部屋の中を逃げ回る。
❤️「もぅっ……次はみことっ!!」
🩵「それ、賛成っ!!」
💛「…ぅえっ!?俺ぇ!!?」
❤️「当たり前だろ、覚悟しろ…みことぉぉぉ!!」
💛「うわぁ!?」
🩵「あははっ!笑」
みことを追いかけ回し、なんとか最終的に歌わせることに成功した。
※ ※ ※
🩷「…いるまが人前で歌歌うなんて、珍しいじゃん。」
💜「……。」
💚「どういう心境の変化かな?笑」
俺の周りを囲んで、まるで親かのような優しい目を向けてくる。相変わらずキモいやつらだとか、そんな毒を吐きながら息をついた。
💜「別に、なんもねぇよ。」
そう、ぶっきらぼうに答える俺を。二人はニマニマとしながら見つめてくる。
向こうの方では、後輩たちがマイクを押し付け合いながら笑っている。俺の傍にある時には見せない、明るい笑み。
いつか、俺の隣でも……。
そう考えだした自分の脳みその機能をとめるように、首を軽く振っては下を向く。
あいつが、こっちを見ている気がして。すぐに顔を上げ、先ほどのようにマラカス担当に専念する。
最初は下を向いていたあいつも、いつの間にか楽しそうにしていた。ホッと、胸をなで下ろす。
💜「かわ…、……。」
カラオケ店内。騒がしい音で、俺の小さな声はかき消され、誰にも届かない。
それが寧ろうれしくて、俺の変な言葉は勝手に地面に落ちて、おとなしくそこらへんの石ころと化してくれた。
※ ※ ※
🩷「いやぁ〜、歌ったね。」
💚「ホント、明日声出る気がしないよぉ。笑」
🩵「まだ歌いたりなぁーい!!みこちゃん、二次会行こ?」
💛「どんなけ体力バケモンなん!?勘弁してやぁ〜…!」
❤️「ははっ。笑」
他愛もない話をしながら、少し歩いて駅の方へと帰っていく。
空はオレンジ色に染まってきていて、結構遊んだな…店内じゃ気が向かないもんだな…なんて、適当なことを考える。
🩷「ま、今回のカラオケで歌いたい曲とかやりたいの、結構出てきただろ?」
💜「確かに、らんにしては名案だったな。」
🩵「こさ、色々リクエストしちゃった!!笑」
💚「いい難易度の曲も、決まったよね。」
💛「先輩たちの歌も…こさめちゃんも、どれも良かったです!!」
そう、今回カラオケに来たのはただの遊びだけではなく。らん先輩は、みんなの会話から聞こえてくる、あれやりたいこれやりたいをメモして。いい難易度で、みんながやりたい曲を探していたらしい。
さすがというべきか。らん先輩のノートには、線が引かれた楽曲から二重丸や星などのマークがつけられたものまで。様々な曲名が書かれている。
曲の心配は、もうしなくても大丈夫そう。
❤️「さすがっすね、らん先輩。」
🩷「な、なっちゃぁぁぁんっ!!」
❤️「ゲッ……」
先ほど、いるま先輩に強い言い方をされ、しょげていたらん先輩が飛びついてくる。後ろに引くも、避けきれない。
ぎゅっと目を瞑り、覚悟したが…らん先輩は俺のところまで到達しなかった。
少し距離があったからか、いるま先輩がらん先輩の後ろからフードを掴んで引っ張っていて、ここまで届かない様子だった。
🩷「ちょっ、いるま…!ギブギブっ……」
首が締まり、いるま先輩の方へ戻っていくらん先輩を見ながら、ちょっとだけホッとした。
💜「……。」
※ ※ ※
電車に揺られ、まばらな人の間に立っている。ぼーっと窓の外を見ては、横から香ってくるツンとするのに優しい匂いに、つい頬が緩んでしまう。
いるま先輩意外、全員別方向。カラオケ店に一番近い駅で別れ、今は二人っきり。
落ち着かない気もするのに、ずっとこうしていたい。そう、素直に思ってしまうのに違和感を感じる。
けれど、見て見ぬ振りを続けられるだけそうしていたい。
💜「…楽しかったか?」
電車を降り、改札を出て。夕日は沈み、外は暗くなってくる。夜道は怖くて歩かない。けれど、今日はいるま先輩がいる。
❤️「…楽しかった、ですっ…。」
言葉が喉に支える。出しづらい、そう感じた。
慣れていないのに、今日ずっと友達と喋って今からだろうか。それとも、カラオケで大声を出しすぎたからだろうか。
不格好で、引きつってて、可愛げもない言葉。でも、そんな俺の小さな小さな言葉にいるま先輩は笑みをこぼす。
💜「…よかったな。笑」
ニコッと笑いかけ、俺の頭に軽く手を置く。ワシャワシャと優しく撫で回しては、俺の家の直ぐ側までやってくる。
💜「じゃ、また。」
❤️「あ、はい?//」
💜「…部活、明日はあるらしいから。一緒に行くか?」
❤️「いいんすか?」
結局また、いるま先輩と一緒に部活に行く約束をして。
明日も、ギリギリにこっちに迎えに来るんだろうな…なんて、予想しながらクスリと笑う。
明日が待ち遠しくなった。