テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
S×3
#キャラ崩壊
27
281
アメリカ とある建物にて 2:00 p.m.
コツコツ…
少し重みのある革靴の音が、廊下に響いた
前から一人、歩いてきた。
『ん?なんだお前、何運んでんだ?ソレ』
自分と相手が一定の間隔に達した時、一人の男がジブンが両手で持ってるダンボール箱を見てそう言ってきた。かなり重いものを運んでいるので、この状態で話すのは少し疲れる。が、断っても相手に悪い印象を持たれるのが嫌なので、質問に答えた。
「いや、ジブンも詳しくは分からないんですけど…まぁタブン、”いらなくなったもの”だと思います」
相手はふぅん…と口を開かず、中で鼓動させていた。
1秒ほどの沈黙の後、お互いがすれ違った
少し歩くと、左にあるドアを開いてその部屋へ入っていった
中は薄暗く、天井には小さな電球がぶら下がってるだけだった。不十分な明るさなので、下をよく見ながら、他の物につまずいて両手で持っている物を落とさないように注意して歩いた。
部屋の奥へたどり着き、ポツンとある木の素材で作られた机にダンボール箱を置いた。置いた後、「ふー…」と思わず息を吹き出した。かなり重量のある物が入っていたからだろう。
ダンボール箱を置いてから約5秒後、箱のフタが勝手に開き出した。中にはバラバラにされた
“いらなくなったもの”が詰められていた。最近は慣れてきてあまり匂いを感じなくなったが、直で目の前で嗅ぐとやはり少し匂う。普通の人なら吐くほどの匂いだろうが、ジブンはちょっと他のヤツとは違うので、この程度ですむらしい。
ミ゙ーーーッ ミ゙ーーッ
声が目の前から聞こえてきた。これも、慣れてきて最近は驚かなくなった。
目の前に、黒い”何か”が現れた。
「今回もよろしく頼むよ」
そう言うとその”何か”は体に付けてある黒い針のようなものをバラバラになった物に突き刺した。
ブシューと音をたて、その後に皮の溶ける音が聞こえた。
少しすると、ダンボール箱の中はカラになった。
普通では考えられないことだ。
いつ見ても異様な光景だとジブンは思う……
物を溶かすことができるこの力は、精神エネルギーの具現化、側に立つと言うところから、ジブンも含めて皆はこのような”何か”を「スタンド」と呼んでいる。
黒い”何か”……「スタンド」は毎回、このあとに姿を消す。霧が晴れるようにブワっと消えるのだ。
だが今回は少し違う。消えずに、その場にとどまっていた。それを疑問に思ったジブンは”何か”に対してこう言った。
「どうしたんだ?いつもはすぐに消えるじゃないか」
そう言うと、初めて、”何か”が言葉を発した。
何年もコイツを見ているが、これまでに一回も喋るところを見たことがなかったため、喋らないものなんだと認識していた。だが、それはどうやら違ったらしい
『F-18』
そう言葉を発した後、いつも通り姿を消した
ジブンはその言葉を知っていた。この建物……
アメリカのマフィア組織”カルポーネ”の本拠地である。
その凱旋門と同じ材質の6階建ての建物には沢山の部屋がある。
組織の下っ端の部屋、幹部の部屋、このような”処理用の部屋”等もある。それぞれの部屋のドアには番号が割り振られており、番号の最初にアルファベットが必ず付く。
アルファベットは1階の部屋がA、最上階の6階がFとなっている。
そしてその後に続く番号は、どの部屋かわかるように割り振られている。『F-18』…
これは、組織のトップである”ボス”の部屋を表していた。
「今のは……”ボスの部屋”の番号ッ…………向かえ、ということなのか……?」
部屋を出た。近くの階段を使い、6階へ上がっていく。
(ボスの部屋…………ボスへ会うのは始めてだ……………緊張でか、汗をかいているな…肌の毛も逆立っている…一体、ボスはどのような意図でジブンを…?いやもしかしたらあの”スタンド”のデタラメ…………もしそうだとしたら………考えたくもないな、ボスの機嫌を損ねてしまうかもしれない)
頭の中で考えを巡らせながら階段を昇った。
そしてついにボスがいる6階へついた。
部屋の位置は完璧に覚えていた。組織へ入団後、とある幹部に組織内部の図を叩き込まれたからだ。
コンコンコンコン
4回ドアを叩いたが、しばらく無音が続いた。ああ、もしやそうだったのかもしれない、悪い予感の的中だ……と心の中で思い、2秒の絶望が襲った。
『入り給え』
ドアの奥からこもった声が聞こえた。
絶望は消え失せ、モヤがかかっていた視界が元に戻った。静かドアを開いたつもりだったが、キィーという音が鳴ってしまった。焦りつつも、ドアを閉めた。
顔は下を向いていた、緊張のせいである。
汗で濡れた顔をあげた。部屋には右奥に木のタンス、中央にはイス、天井には最新の電球が紐で吊るされていた。
『あ〜〜…水虫が痒いな、水虫が痒い。あ〜気にしないでくれ給え、そして唐突なんだが聞いてくれ…日本という国を知っているだろう?あの国特有の芸術や遺産が私は好きでね、何回か旅行もしてるんだ……だが一つだけ気になることがあってだな…』
目の前に、ボスらしき人の姿がなかった。
なのに、声が聞こえてくるのだ。どこかに隠れているのかもしれない…
『…かなり昔の話だ、田んぼで農作をしているとき、足に痒みや水ぶくれができたときに…それが”水の中で生きてる虫の仕業である”と勘違いし、”水虫”と呼ばれるようになったんだぜ……勘違いとは最も愚かな行為だとは思わないかい?そして……一番ムカつくのはこの間違いがいつまでたっても訂正されていないことだ…』
「……確かにそうですね…なんで間違いを正さないのか疑問です。日本人は…慣れ親しんだものに対して安心感を抱いてるんですかね、そのせいで慣れてる”水虫”から一向に呼び名を変えようとしないのかも……………しれません」
『……………………』
(な、なんで何も反応しないんだ…?)
……………………………何分経っただろうか、おそらく3分ぐらいだろう、だが体感はもう十数分経ったかのようだ。ボスの緊張感によるせいなのだろうか……
『ンン〜〜〜〜……君は実に良い答え方をするじゃあないか、すまないね…私の話に対してその答え方はとても素晴らしいと思った…美しいとも思った…だからちぃとばかし浸ってたんだよ…』
突然褒められて、戸惑いを隠せなかったが、とりあえず悪い気はしない。なんなら、心地よい気持ちさえ湧いてきた。
『さて、まぁそこの椅子に座ってくれ…話したいことがあるんだよ…』
お言葉に甘えて、中央にある木の椅子に座った
『いいかい、これはこの組織の歴史史上最大の任務…であると私は思ってる…………このアメリカには多数のマフィアが存在しているだろう、そのなかでこの組織はトップクラスに力や権力が強いものとなっている。おそらく勢力図では一番高い勢力だ。絶対にこの地位は失ってはならないのだ………………だが、最近組織のメンバー約3000人のうち、800人ほどが何者かによって始末された。お前が処理していた人間にも…数人ほど混じっていただろう』
800人………組織の約3分の1がいなくなっているという事実に驚愕した。
「そ、それは………つまり他の組織による犯行ですか?」
『マ、おそらくそうだろう』
「………ワタシに、何をしろと?」
引いた汗が再びぶり返した
『”無名の組織”だ………名前も知らん、どんな組織かも知らん、何をしているのかも………現状この組織のメンバーに危害を加えていることだけしか分かっていない』
「…………………」
『”君”だッ!その”無名組織”を壊滅するのに君が必要……と私は思った。正確に言うなら私の”幽波紋”だな』
ジブンはただ、無言になった
嘘だろ?ジブンはその組織を壊滅させれる?800人も消した組織を?嘘だろ、さすがにバカげている。ボスは見る目がないのか?と思うことしかできない
『…………ムリといいたいようだが、行ってもらう。
君1人で壊滅させるものではない。私が信頼しているメンバーも同行させる予定だ』
安心させる気なのだろう、だがまったく安心はできない。掠れた声で言葉を発した。
「……失礼かと思いますが………ワタシにそのような……………ことが……できるとは思いません……ッ」
ボスは声のトーンを変えずに言った。
声は平静を保ったままだった。まるでその言葉が来ることを事前に分かっていたかのように
『なるほど…ならば、君の大切な人の話をしよう』
To Be Continued
コメント
1件
読み終わったわ! スタンドって単語が出てきた瞬間に「あ、これジョジョオマージュ系か!」ってテンション上がったんだけど、まさかボスが水虫の語源から入るとは思わんかったわ(笑)。そのギャップが逆に不気味さを引き立ててて良かった。F-18って番号で「ボスの部屋に行け」って意味になるのも推理モノっぽくてワクワクする。続きめっちゃ気になる!