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「ねぇルフィくん」
「なんだ?」
彼が家に来て、一体どれくらい経ったんだろう。
1ヶ月な気もするし、3ヶ月くらいな気もするし、あるいはそれ以上かもしれない。
「お仲間さんに、会いたい?」
なんとなく、気になった疑問を投げかけてみる。
「会いてェ!
最近よくあいつらが夢に出てくんだ!」
「夢に?」
「そうだ!
夢ん中でおれの名前をあいつらが呼んでてよ」
───ざわ・・・
胸騒ぎが、する。
「でよ、あいつら皆、ずーっと手招きしてんだ。
んでおれがあいつらの方に行こうとしたところで、いっつも目が覚めんだよ」
「・・・」
そりゃあ突然全く違う世界に飛ばされたんだから、いつか元の世界に戻るのは当たり前で。
でも、その日が来てしまうことがどうしようもなく怖いと思うくらいには、自分の中で彼の存在が大きくなりすぎてて。
「もうすぐ、お仲間さんのとこに帰れるのかもね」
自分の本音は押し殺して、彼が安心して戻れるように。
「ん~。でもおれ、まだここにいたい」
「・・・どうして?」
「だっておれが元の世界に戻っちまったら、○○と離れ離れになっちまう」
そしたら毎日会えなくなる、と彼は言う。
鼻の奥がツンと痛み、目に涙が溜まるのがわかった。
「・・・もう、馬鹿だなぁ、」
「馬鹿じゃねェ!」
「だって、私とルフィくんは生きてた世界が違うんだよ。ルフィくんが元いた世界に戻ったら、もう会えないに決まってる・・・」
ルフィくんが生きてた世界は海賊が当たり前で。
お金の単位は世界共通のベリー通貨。
車やバイクだってなけりゃ、次の島に行くにはログとやらを貯めなきゃいけないみたいだし。
それに比べて私が知っている世界なんてほんのちっぽけで。
海賊なんてそれこそ、映画でしか知らなかったし。
お金は国によって違うから株価がどうの、ややこしい。
車やバイクはもちろん、飛行機にロケット、それに電気自動車だって走れる世界で。
「そんなもんどーだっていい!
何でかわかんねェけどおれが来れたんだ、絶対その方法探し出して会いに来てやる!」
「生きてる世界が違うとか、そんな悲しいこと言うな!
おれはこっちの世界で、○○のおかげで生きれたんだ」
あともうひとつ!
私の目をまっすぐ見つめていう彼の黒い瞳に、吸い込まれそうになる。
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