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「君は彼女を幸せにしてあげてね。ここの私はもう彼女に会えないかもしれないから」
「なに、なんのはなし」
カラカラと音がする。昔聞いたことがあるような、落ち着くようでそうでもない音。
床が揺れている。一定のリズムで緩く揺れている。安眠椅子みたいな、そんな感じ。
風を感じて、自分が目を開けていないことに気がついた。道理で真っ暗な訳だ。
目を開けるとキリンが頭上を飛んでいる。もちろん、おもちゃなんだが、どうやらそれが他のおもちゃとぶつかって音を立てているらしい。揺れている床は、よくよく確かめれば布が敷かれてあるらしく柔らかいし、これはそもそも床ではなく揺り籠の中のようだった。
状況はわかったが、場所がわからない。
全く知らない場所。いや、よくよく考えてみると、場所だけじゃない。自分は誰だ。目を開ける前、いや、そのもっと前だ、ここにたどり着くまで何をしていた。
気がついてしまうと、途端に不安になって呼吸の仕方が曖昧になる。今が吸っているのか吐いているのか分からない。耳の奥で高い音が鳴って、目の前が真っ暗になった気がした。
気がついた時には揺り籠の中で暴れて、そのまま倒れ転げ出す。そのままの勢いで走り出して、目に付いた扉をほとんど壊す勢いでぶつかって開けていく。その時、自分が何か叫んでいた気もするが、あれは勘違いで、実のところは声にもなっていなかったのかもしれない。
とにかく恐ろしくてどうしようもなかった。
とにかく扉をぶち破っているうちに外に出た。玄関と外では少し段差があって、そのせいでバランスが取れずに地面に伏せた。地面は柔らかい草がある訳ではなく、代わりに粘つく黒っぽい液体が浅く溜まっていた。
未完成
るるくらげ
陽藍.