部屋を飛び出した君の背中を追いかける。辿り着いた場所は、大きく架かった橋の上。最後のフィナーレの舞台には最高に相応しい。
既に橋の上にいた彼女に、君は震える声で声を掛ける。
「どういうこと…?本当に僕何もしてな…」
「ふざけないでよ!!アンタの髪留めが落ちてたって言うのに、なんでそんな言い訳できるわけ。」
本当に素晴らしい演技で、涙が出てくる。君が愛していた人間が、大切な人を傷付けられた憎しみを必死に喚く。複雑で、可哀想で、素敵だ。
「…アンタとなんて付き合わなきゃ良かった。」
「……。」
黙り込んでしまった、僕の愛おしい君。嗚呼、そうか。君なりのアドリブなんだ。色んな感情が混ざった、人間らしい表情が演技を際立たせている。
「最初から出会わなきゃ良かったのに。」
そう言い残して去っていく彼女の背に拍手を送りたい。何もかもが完璧で、僕の思い描いていた通りだ。
「……涼ちゃん。」
力なく崩れ落ち、蹲る君の体を両の腕で優しく抱き締める。
「元貴……っ…ぼく、っ…ぅ…」
向けられた君の涙に塗れた顔が、今までで1番美しかった。もう縋る相手は僕しかいない。
君の人生の中の悪役は僕だ。何も知らない君に罪はない。全てが僕のせい。だから、 君は何も悪くない。悪くないよ。
「悪くないから。」
コメント
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ほんとに言葉選びが神がかってる……!!😇😇私もRADWIMPSさん大好きなので満足感えぐいです🥹💞