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揚げたてのフライドポテトを食べるか?とアリスに聞こうと北斗は後ろを振り向いた
なのに後ろにアリスはいない、ふとてっきり後ろから着いてきているだろうと思っていたのに
どこに行ったんだ?トイレか?
北斗はキョロキョロ店内にいるはずのアリスを探した
アリスは入口でじっと突っ立っていた
入口のど真ん中にじっと立っているので、センサーが働き自動ドアが忙しく、開いたり閉まったりしている
「ア・・アリス?どうしたんだい?何かあったのか?」
慌てて北斗がアリスに駆け寄り、彼女の表情を読み取る
「案内係はどちらにいるのかしら?もうすぐいらっしゃる?」
手を前で組み、アリスが完璧なお嬢様口調で言った
「・・・・・?そこに立ってないで店に入ろうよ 」
アリスの後ろで開いたり閉まったりしている、自動ドアを見ながら北斗が言う、アリスが眉をしかめて言う
「まぁ!北斗さん!客が勝手に店内をうろつくのはお店の方に失礼だわ!まずはお店の案内係に店内を案内してもらって、入り用のモノを係に言うのよ、コーヒーかシャンパンかを振舞っていただけるなら、私はコーヒーを頂くわ 」
さも当然のようにアリスが人差し指を掲げる
「そして店員さんがお勧めしてくれるものを買うの、それがお買い物の礼儀というものよ 」
そこにじっと突っ立って、無駄に自動ドアのセンサーに引っかかっている方が、よっぽど礼儀知らずだと北斗はおかしくなったが、一応確かめておこうと思って半笑いでアリスに聞く
「え~と・・・・ちょっと確認させてくれ・・・君はもしかしてコンビニエンスストアに入ったことが無いのかな?」
「ええ!これが初めてよ 」
ニッコリ笑って言う、北斗はその場にしゃがんで爆笑した、一気に店内の人間に注目を浴びてアリスは恥ずかしくなった
なのに店員は自分達に声をかけてこない
「ほっ・・・北斗さんったら!私何かおかしなこと言った?!恥ずかしいわ、笑うのはやめて、お願いだから案内係が来るまでに笑いやんで 」
コンビニでは案内係は永遠に来ないことを、どうやってこの可愛い天然で、世間知らずなお嬢様に説明したらいいんだろう
可愛くておかしくて笑いが止まらない、アリスといるとなんて楽しいのだろう
しかしアリスが頬をふくらませて怒っているので、なんとか北斗は笑いをおさめた
北斗はハァハァ言いながら立ち上がった、腹が痛い、そしてぐいっとアリスの手を引っ張った
「わかった!ではコンビニエンスストアの礼儀作法を俺が教えてあげるよ!まず積み上げられている籠をひとつ取る!」
入口に設置してあるオレンジの買い物かごを、北斗が笑いに目を輝かせて持つ、そして陳列棚にずかずかアリスを引っ張っていく
「ほ・・・北斗さん? 」
「そして店内を自由にうろつくんだ、自分の欲しいものを勝手に取ってかごに投げ入れる、あそこの機械で金を下ろおしてもいい、トイレに入ってもいいしコピー機も勝手に使っていい、冷凍庫を好きなだけ開けてもいい、ただし開けたら閉める事!」
「まぁ・・・どういうシステムなのかしら・・・」
アリスがアイスクリームの冷凍ショーケースをマジマジ眺める
「ここでは何でも自由にしていいんだ、でも防犯カメラにはずっと映されているので、自分達のしてることは記録される」
アリスが北斗に手を引かれてキョロキョロしながら歩く、反対側の手は口にあてて、無遠慮に店内をウロついている自分達が今にも店員に呼び止められるのでは、と警戒している
「そしてコーヒーはなんと、セルフサービスだ」
さぁどうだ!とばかりに北斗が両手でコーヒーマシーンをかざす
アリスがじっとコーヒーマシーンを見つめる、そして横で面白そうにカウンターに肘をついて、ニヤニヤしている北斗に言った
「バリスタはどこ?」
もうこらえきれずに北斗はまた爆笑した