夜蛾)傑が任務先の村の人達を皆殺しにして行方をくらました
悟様)…は?
そう聞いて、俺の口から出たのは、驚きと動揺に満ちた、そんな言葉だった。
認めたくなかった。
あの、俺のたった1人…たった1人の、優しい親友が、非術師を…殺してしまうなんて…
最初は動揺が隠せず、そして自分を責める気持ちでいっぱいになった。
どうして気づけなかった?お前は傑の親友だろ?なのに…なんでだよ…
なんで…
なんで…!
自分に何度そう問うても、答えが出ることはなかった。
全く見つからない。
俺は傑を探しに行った。
どうしてこんなことをしたかを聞くために。
必死になって探していると、硝子から電話がかかってきた。
悟様)…なんだよ
硝子)夏油いたよ
悟様)…わかった、今行く
悟様)説明しろ、傑
俺はその言葉に怒りをのせて、アイツに言い放った。
アイツから帰ってきたのは、信じ難い答えだった。
悟様)非術師を皆殺しにして、術師だけの世界を作る!?無理に決まってんだろ!!
傑)君にならできるだろ。悟。
全身が凍りそうな程に、冷たく…鋭い視線で、アイツは俺のことを見た。
そして、まるで傑は、自分と俺がまるで、まるで違う人物かのように話して。
傑)自分にできることを、他人には「できやしない」と言い聞かせるのか?
傑)君は五条悟だから最強なのか?最強だから五条悟なのか?
悟様)…なにが言いてぇんだよ
俺は、その質問にそう答える他なかった。いや、その言葉しか返せなかった。
なんで、どうしてそんなこと言うんだ…俺とお前、2人で最強なのに、なんで…
そう思っている間に、傑は俺とは逆の方向に向き、まるで「もうお前と一緒に戦わない」と、
体で表すように、立ち去ろうとした。
バッ
俺は手を挙げ、傑に狙いを定めた。傑は後ろを向いたまま
傑)殺したければ殺せ それには意味がある
それを聞いて、俺は手を下ろした。
殺したくなかった?殺す気が失せた?
違う。
背きたかったから。
あの時、盤星教の信者共を殺すかと聞いた時、「意味がない」と言ったお前が、
自分が殺されそうになった時は「意味がある」と、
まるで、自分は殺されて当然の人間だと言っているようなお前に。
2017年12月24日
もう、覚悟は決めてきた。
傑)私はこの世界では、心の底から笑えなかった
そんなこと…言うなよ…
じゃあ、俺達の、青い春の、あの傑は…夏油傑はなんだったんだ?
偽物だったとでも、言うのかよ…
こんなことを考えたって…もう遅い。わかってる。
でも、これだけは…これだけは伝える。
悟様)傑。———————————————。
傑)…はっ
最期くらい、呪いの言葉を吐けよッ…
傑は、少し…ほんの少しだけ、声を震わせながら、僕に最後の言葉を言い放った。
優太のことから推測するに…僕にもきっと、傑を呪って一生現世にとどめることができる。
でも、しないよ。傑。
できるわけがない。
僕は感謝を込めて、傑に最後の一撃を喰らわせた。
2018年
僕は、世界でたった1人の親友を手にかけた場所で、言った。
悟様)…一生呪うからな。傑。
そこに、11本の青い薔薇の束を添えて、僕はその場を立ち去っていった。
END
コメント
11件
これめっちゃいいね 好きやわ。てか語彙力羨ましい(´;ω;`)
神すぎる!
初めてノベルに挑戦してみました!