テラーノベル
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「せんせ〜おはよ〜!!!」
「どぬ、珍しいね」
「でしょ?!俺早起き頑張ったんだ〜」
鼻を高くして俺を褒めろと言わんばかりに自慢げに話す。教師から見たら可愛くて仕方なかった。
「先生はお気に入りの生徒とかいるの?」
「いないよ笑」
「へー、ゆあんくんは?どう思ってるのー?」
「生徒だよ?笑」
謎の質問に困惑しながらも笑いながら返答する。
「そういえば先生って結婚したんだよね!?奥さん可愛い?」
「みんな聞くねそれ笑可愛いよ」
「ベタ惚れじゃーん」
「その人以外ありえないからね〜」
「あ、俺出さないといけない課題あって早起きしたんだった!!またね!せんせ!!」
「走らないでよ〜?笑」
軽く注意するがその声はどぬには届いてなかった。
「まったく、…」
正直そんなことよりも今はゆあんくんの家庭について探らなければなかなかった。いちばん手っ取り早い情報収集は俺の中で家庭訪問という方法しか無かった。
「今日は早上がりして行った方がいいか…」
できれば両親とだけでお話がしたい。だからゆあんくんが帰ってくる前に俺は家庭訪問に行かなければならない。
「早上がりするんですか?」
「っえ、あ、はい、ちょっと用事があって…笑」
いつどこで会話を聞かれてるか分からない。そしてゆあんくんの事もまだ話す訳には行かない。分かってる。うっすい情報でも可能性があるのならば話した方がいいと。でももしそれで本当にゆあんくんの家庭環境が悪かったとしてそれが広まったら間違いなく俺のせいになる。
「用事…ねえ、…なんの用事ですか?」
「それは個人情報というか…笑」
「あぁ、そうですよね、ごめんなさい笑」
苦笑いをし、どうにか切り抜けたがあの人はまだ疑ってるのを俺は見逃さなかった。
「すみません、今日月城くんの家庭訪問をさせて頂きたく、早上がりをお願いしたいんですが…」
校長室により、早上がりを申し出る。
「月城くんの家庭訪問…それは何故です?」
「月城くんの提出物についてです、この書類には両親からのサインがいるんですがそれを月城くんが記入しているようで…本人に確認しても何も話して貰えなくて…直接確認できたらなと」
それも事実だった。
「なるほど、分かりました。早上がりを許可します」
「ありがとうございます」
校長は意外とまともな方だ。上がクソなだけで。
「あれー?一ノ瀬先生って今日早上がりですかー?」
お昼、一ノ瀬先生を見かけなかったのでわざとらしく周りに尋ねるように零す。
「そうらしいですよ」
「なんでですかー?」
「さあ…でも生徒がなんとかって言ってたと思いますけど」
「ありがとうございますー!」
「いえいえ」
やっぱり僕に嘘をついている。早上がりのことは朝から知っていたが理由は”用事”と言われ伏せられた。まさかとは思うが
「自分から関わりに行ってるわけじゃないですよね、じゃぱぱさん」
「ここか…」
ゆあんくんの家の前につき、普通の外見で少し安心する。緊張していても仕方ないのでとりあえずインターホンを押すことに。
『…誰ですか』
少し待って聞こえてきた声は女性の声だった。多分ゆあんくんのお母さんだろう。
「すみません、月城くんの担任教師の一ノ瀬と申します」
『はぁ…あの子何かやらかしたんですか?だったら私に言わずに直接本人に』
「いえ、そういう訳ではなくて…書類にお母様のサインを必要とするものがありまして、それにサインをしてもらう為今日お伺いさせていただきました」
「もしお時間あればよろしいでしょうか」
『…はぁ…少し待っててください』
プツンと切れ、もうこの時点で嫌な予感が的中してると言っても過言では無い。
「最悪なビンゴだな…」
ガチャ、と扉をあけられどうぞと言って家におじゃまさせてもらう。
「本題のして欲しい書類のサインというものがこちらになっておりまして…」
このやり取りは嘘じゃない。普通にこのために来たみたいなものだ。それのついでにどんな家庭環境か見に来た。ただそれだけだ。多分今の一瞬で少し片付けたのだろう。だが誤魔化せない部分はたくさんある。散乱した物、冷凍食品やジャンクフードのゴミが沢山入ったゴミ袋が見えるだけで3袋ほど。これは普通の家庭じゃない。
「書きましたよ」
「ありがとうございます、あとここに印鑑を押してもらいたくて…」
「…印鑑、…どこだっけ、」
「探してくるんで、…」
「はい、お待ちしております」
おかしい。普通印鑑をどこに置いたか忘れるはずない。だいたいそういう大事なものは場所を固定するはずだ。
「っち、あいつ何処にやったのよ…」
小さく聞こえた声は間違いなく誰かに向けられた罵倒。お父さんか、もしくはゆあんくん。だが普通印鑑の場所など子供に任せるはずがない。だからきっと、ゆあんくんの母親の言う”あいつ”とは父親のことを指すのだろう。
「すいませんちょっと見つからなくて」
「またゆあんにもって行かせる」
「…わ、かりました…本日の訪問は以上です。お時間とっていただきありがとうございました」
まずい。非常にまずい。このままでは確実にゆあんくんに俺がここに来たことがバレてしまう。また面倒なことになる。
(まあでも母親自身が言ってたらどの道バレてたか…)
帰り道、とぼとぼと歩いて帰る。自分で首を突っ込んでしまったことに後悔もしつつ、でもわかったことも沢山あった。
「ゆあんくんはお母さんと2人暮らしか」
乾いた歯ブラシ2本。ひとつはピンク、もうひとつは青。多分母親とゆあんくんの歯ブラシだろう。そして多分、虐待も受けている。
「この情報収集が吉と出るか凶と出るか…」
凶と出る気しかしなくてもう色々嫌になって考えるのをやめた。
展開どうしようか悩みすぎて全然進めない…ほんとごめんなさい。
これからもこんな感じでゆっくり進んでいく形が多くなると思います💧
コメント
5件
投稿お疲れ様です!この物語大好きで長く続いて欲しいのでゆっくりでも嬉しすぎます!ゆったり投稿待ってます🫶🏻💕︎︎
投稿ありがとうございます!!!! 心に沁みました((