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12 - 第3話 「幻想」

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2023年06月02日

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イタリア軍の猛攻は留まることを知らなかった。

彼らの装備を完全に舐めていた。

国産戦車、国産武器、彼奴らがいかに装備を鍛えようとも

アメリカ軍の前でひざまずくと考えていた。

しかしどうだ?結果はアメリカ軍だろうが、スペイン軍だろうが、ポルトガル軍だろうが、

結局紙のように破られ、紙のようにゴミ箱に捨てられた。

上層部は最善の策を出していた…しかし、その最善を毎度の如く破壊してきたのだ。

最善は最悪へ、最悪は最善へ。

スペイン、ポルトガルは結局消え、イタリアからは

「一時的に我らイタリアによって占領し、統治法やインフラを整え開放する。」

そう言ってるが、憲兵隊…もしくはナチスのような親衛隊みたいな奴らが

知らない奴を、名前しか知らない奴を、昔友達だった奴を、隣人を好き勝手に

殺したり、自分の欲に使ったり、人権は殆ど保証されてない。男女関係無く。

…最近は小・中学生ぐらいの子供を狙った性犯罪者が増加しているらしい…

神よ、どうかこのスペインに希望(ひかり)を……


オーストリア・ハンガリー帝国 ウィーン

「皇帝陛下、夜中すみません。」

「おぉ、ライン大臣、どうした?」

「イタリアのスペイン侵攻ですが…」

「…イタリアが勝ったのか。」

「はい。しかしイタリア内部はかなりボロボロで、現在諜報員によって、分かっている情報がございます」

「それは?」

ラインは懐から書類を取り出す。

「まず、イタリアでは殆どの法が機能しておらず、何もかもが無政府状態のようになっています。

更には民間人は薬物や快楽に沒れ、経済が回っているのかも分かりません。」

それを聞いた皇帝は驚愕した。

あの大国にもう一度上り詰めたと思ったイタリアが、中身は国のようなものじゃないと知ったからだ。

「…ではなぜ軍隊の指揮が取れているんだ…?」

「憶測ですが1つ…。それはイタリアにある武装組織「ドゥーチェ」と考えてます。

実際に内部を見てみると、実に軍隊らしい暮らしと食事、そして武器と兵器でした。

彼らは戦車も自走砲も、ヘリもCASも、戦闘機もミサイルも扱えます。」

…イタリアとは何なのだろうか。そう思える内容だ。

確かに過去の私達は「イタリアなど国ではなく概念そのものである」と言っていた。

しかしその時は「国」としての概念となっていた。

また、オーストリア国境付近にもイタリア軍と思われる部隊も確認されている。

我らのオーストリアを、ボヘミアを、ガリツィアを、そしてウンガーンを…

絶対に守り抜かねば…

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