ツギハギくんより少し背の高くなった
わたしからツギハギくんに口づけた
高揚する気持ちのまま
恋人同士のように舌を絡ませあった
唇を離すとわたしの口のなかに
甘い 甘い 彼の魂がある
そこから ツギハギくんの唇に
掛かっていた白く光る唾液の糸
が切れるとツギハギくんの身体は
力なくその場に座り込んだ
わたしは綺麗な青いあめ玉みたいな
彼の魂をくわえて飛び立つ
小さな世界を飛び出し月明かりの
もとにでた
ああ 世界はなんて美しい!
『オレが違う選択肢を選んで
いたらどうした?』
なにかに気が付いたのか彼の魂が
そんなこと を語りかけてきた
『選択肢は オレがつくって
いるんだよ?』
『 選択肢に戻る のも オレの
能力だよ?』
『無限ループさせる気だった?』
『違うよ』『それじゃ、答えの
強要じゃん そんなことしない』
『オレが過去の選択肢まで 戻って
アンタがYesと答えるように
過去をイジってくるんだよ』
『うーわ!怖っ!!』
『え?これ何周目なの?』
『フフ 内緒』
口のなかの彼の魂をあめ玉のように
舌先で転がして あやすように言った
『大丈夫 大丈夫』
『楽しいこと 気持ちのいいこと
いっぱいしよう』
『約束したでしょ 退屈は
させないよ』
『新しい世界 場所はあの深い森の
なかの洞窟なんか どう?』
『魂は一旦 なにか物に宿らせて
身体は ゆっくり好みのモノを
つくってあげるね 』
『えええ? なにか格好いい武器に
宿りたいの?』
選択肢
『日本刀』 『拳銃』
『あるかな…』
『急いで 探さないと』
『いつまでも舐めてたら
アンタ溶けてなくなっちゃうから』
『…フフ 嘘だよ
大丈夫 大丈夫』
出会った時にわたしはもう
キミに恋してた
バスごと異界に堕ちてきて大惨事
だったね バスのなか………
自分も血みどろで今にも死にそう
なのに 必死に仲間たちの名前を
叫んでたキミが美しくて
生きてるのが自分だけだとわかって
しまって絶叫するキミが可哀想で
可愛くて
つい助けてしまったんだ
大きい顔のコ に頼んで
壊れた 身体をツギハギの人形に
してもらった そこにキミの魂を
繋ぎ止めたんだ
キミが仲間たちと ここに堕ちてくる
ような おイタをしてたのも
悪いんだからね
バスを落としたのは わたし
じゃないよ
本当のキミの運命だ
キミにココまで 信用してもらうの
たいへんだったよ
人間の女の子になってみて
喰われ死 (ミステイク エンド)
もしたし
仲間になったあとも白いレインコート
のコが好きとか言い出したときには
焦った
嫉妬であのコを追い出そうとした
ことも あったんだよ?
そのために思いのほか昔までもどって
しまって世界を大混乱させちゃった
もどりすぎて混乱したオレは姿や
記憶まで人間の頃に もどって
しまった
でも 結果 それが良かった
キミが一番求めてたのは 彼女
じゃなく 仲間だった みたいだしね
まぁでも ただの仲間 にあんなコト
しないよね いくらキミでも
あれは特別な感情だよね?
そっちも期待してもいいのかな………
やさしくするために拘束したって
キミはいったよね
キミが手錠をかけて
わたしを縛り付けた ように
許してね キミをやさしく
愛するためだから………
このままコントロールされた
選択肢 でキミを縛るよ
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