僕は生まれた頃から運がない。
そもそもこんな性格で、こんな場所に生まれてしまった時点で運がないの だ。
後悔?悲しい?
そんなことはないよ。
そのことに気がついたのは幼少期だったから。
僕が可笑しくて変だってことはすぐに分かった。
僕は一人称でわかる通り男。
でも、可愛いものが好きな変わり者。
皆は”ちゃんと”性別に合った【好き】がある。
だけど皆と違う僕。
勿論冷たい目を浴びせられた。
だから、何?
【好き】を続けるって、そんなにダメ?
【好き】を好きでいるって、そんなに変?
小学、中学と僕は好きな服で、大好きな僕として生きてきた。そう、中学までは。
高校になるととある生徒が僕に言ったのだ。
「アステリアさんって気持ち悪いよねぇ〜」
僕は彼女に
「どうして?」
と訪ねたが、彼女は僕が害をなしていないにも関わらず暴言を浴びせてきた。
訳が分からなかった。
そこからは【好き】を好きでいることが辛くなって、新しい服を買いに行くときもその言葉が離れなくなって怖くなった。
もしかしたらすれ違ったこの人も、あの人もそう思っているのではないか。そう思った。
ある人と僕がすれ違う時に目が合った。
僕はもう、怖くて怖くて仕方がなくてそこから走り出していた。
その日から髪を切って”ちゃんと”男でいて、当たり前で居た。
可愛いものもどうも思わなくなったし、
「ああ、これが当たり前なんだ」
そう思った。
大学生になったある日、学校から帰っているとそう、前僕と目が合った中華風の服を着た右にリボンの髪飾りを付けた人が僕とすれ違う時にぼそっとこう言った。
「…髪切ったんだ」
その声の方を向くとその人は聞こえてたんだ、といった表情で
「んねぇ、ちょっと話したいんだけど、いい?」
と言ってきた。
帰ってもやることもないし、別にいいだろうと思って少し話すことにした 。
「…なんですか?」
「いやぁ…?髪きれいだったし、服も似合ってたのに、変わったんだなぁって思って」
僕のこと、何にも知らないくせに。
そう思って少しイラッとしたが彼は続けて
「やっぱ、男の子だから?…でも、わたしはあのときの君が人混みの中で1番輝いてたけどねぇ」
それを聞いた僕は涙が溢れて、急に涙がいっぱいでて、ほぼ初対面の人の前で泣いてしまった。
そう泣いていたら、僕はやっぱり可愛いが好きで、あの頃の僕が好きだったんだなと分かった。
可愛いものもどうも思わなくなったなんて嘘だ、僕は僕が大好きだ。
そこからはまた【大好き】な僕として過ごすことにした、苦しくないために、僕が僕としていられるために。
彼とは今、ちょっとした組織?っていうのかな
なんかそういう物として活動してる。
ありがとう
【アステリア-過去編-END】
アステリア…イージスは神と歪むに登場する少年